NECエレクトロニクス、3G携帯電話端末向け半導体ソリューション「Medity」を構築
3G携帯電話端末向け半導体ソリューション「Medity」の構築について
~W-CDMA方式の3G携帯電話端末向け半導体でトップシェアを目指す~
NECエレクトロニクスはこのたび、W-CDMA方式の3G携帯電話端末向け半導体ソリューション「Medity(メディティ)」を構築し、本日より第一世代ソリューションとなる「Medity1(メディティワン)」の提供を開始いたしました。また当社は同時に、Medity1の半導体製品として、デジタルベースバンド(DBB)LSIおよびアプリケーションプロセッサーを1チップ上に集積したシステムLSI(以下DBBアプリ統合LSI)「M1(エムワン、製品名称:MC10038)」のサンプル出荷も開始いたしました。
当社はMedity構想をもとに、W-CDMA方式の3G携帯電話端末向け半導体分野でトップシェアを目指し、積極的な事業展開を図ります。
Medityは、当社がNECと共同で開発した3G通信コアを基本として構築された半導体ソリューションで、(1)DBBアプリ統合LSI、無線周波数処理(RF)IC、および電源ICなどからなる半導体チップセット、(2)システムLSIを動作させるためのソフトウェア、(3)ソフトウェア開発用の評価ボードなどのリファレンスデザインキット、(4)通信ソフトウェア、アプリケーションソフトウェアの開発を支援する開発ツール、および(5)OSやミドルウェア移植などを行なうシステムインテグレーションサービスの5つの製品およびサービスで構成されております。当社は本日より、その第一世代ソリューションとなるMedity1の提供を開始いたしました。
当社はMedityの構築において、協賛する開発会社などとパートナー契約を締結し、Medityをオープンな半導体ソリューションに育成いたします。
また、本日からサンプル出荷するM1は、当社がNECと共同で開発した3G通信コアと当社が独自で開発したアプリケーションプロセッサーを1チップ上に集積し、低消費電力化を実現するとともに高度なメディア処理を可能としたシステムLSIです。M1は、3G通信機能と高性能CPU、DSPを用いたアプリケーション処理機能の外部メモリを完全に共有することに成功した優れた製品でもあります。これにより従来、通信とアプリケーション処理用にそれぞれ必要であったメモリを1つで共有できるようになり、部品点数の削減による端末の小型化、端末のコスト低減を可能とします。
M1のサンプル価格は、8,000円/個、量産規模としては2006年10月より、月産30万個を予定しております。
当社は2002年11月に独立して以来、携帯電話端末向け半導体事業を戦略分野のひとつと位置づけ、積極的な事業を展開してまいりました。特に国内市場向けの通信処理LSIの分野では、PDCシステム向けLSIにおいて業界No.1のサプライヤーの位置を維持しており、当社の技術力は市場から高く評価されております。また当社は、2000年にW-CDMA方式の携帯電話向けの3GデジタルベースバンドLSIを出荷して以来、この分野においても積極的な事業展開を継続し、2005年には世界第一位のシェアを獲得しております。さらに、携帯電話端末用アプリケーション処理LSIの分野では、2004年9月以降、当社独自の低消費電力化技術、高性能なバスシステム、メディア処理に最適なDSP等を活用したアプリケーションプロセッサーを市場投入するなど、積極的な開発活動を展開しております。
一方、携帯電話端末市場では、製品の小型化、低価格化、アプリケーションの多様化および長時間対応化が進み、あらゆるアプリケーションが携帯電話端末で実現できるようになり、またシステムの通信速度も2Gから3Gへと着実に高速化しております。
これらの状況のもと携帯電話端末メーカーは、1)部品に係る開発工数の低減とセットの差異化のための集中投資、2)部品点数削減などによる端末の原価低減、および3)端末の小型化、など解決すべき多くの課題を抱えております。
Medityはこれらの課題を解決するため構築されたもので、5つの製品およびサービスにより構成された優れたソリューションであります。
Medity1の概要は次の通りとなっております。
(1)半導体チップセット
DBBアプリ統合LSI、RFICおよび電源ICの3つの半導体を中心に構成されている。RFICおよび電源ICはパートナー企業が当社との協業を通じ開発を推進し、販売もパートナー企業各社が行なう。
1)DBBアプリ統合LSI「M1」
3G通信機能とTV電話、デジタルTV受信、音楽配信などのアプリケーション処理機能を1チップ上に集積している。また、当社独自のクロック制御技術により、当社従来製品比30%以上の低消費電力化を実現するとともに、5種類の電力モードを準備しており、携帯電話システムの省電力化に貢献できる。さらに複数のチップをスタックする実装技術により小面積化を実現している。
2)RFIC
旭化成マイクロシステム株式会社製RFIC「AK1521/1526」および同社製アナログベースバンドLSI「C2767」を採用している。「AK1526」は日本国内向けで800/1700/2000MHzに対応し、「AK1521」は海外向けで850/1900/2100MHzに対応している。
3)電源IC
株式会社リコー製「RC5T733」および「RC5T734」を採用している。「RC5T733」は、RF部の電源処理を行い、「RC5T734」はDBBアプリ統合LSIの電源処理とアナログ信号処理を行う。
(2)ソフトウェア
通信ソフトウェアパッケージとアプリケーションソフトウェアパッケージの2種類を準備している。
1)通信ソフトウェア
NECとの共同開発品であり、NECと協業して提供する。
2)アプリケーションソフトウェア
LinuxなどのOS、ドライバー、ミドルウェアなどのアプリケーションソフトウェアは、当社のplatformOViAに準拠している。これらソフトウェアは当社および各パートナー企業で開発され、platformOViAの枠組みで当社が提供する。
(3)リファレンスデザインキット
携帯電話端末機器の開発に必要なソフトウェア開発用の評価ボード、回路図、基板図面などのリファレンスデザイン、チップセットのデータシート、マニュアル一式をキット化して当社が提供する。
(4)ソフトウェア開発ツール
通信ソフトウェア開発にかかわる開発ツールは、NECと協業して提供する。また、アプリケーションソフトウェア開発にかかわる開発ツールは、当社がplatformOViA準拠のツールを提供する。
(5)システムインテグレーションサービス
顧客のシステムに合わせてOSの移植、ドライバーの開発、複数のミドルウェアの移植などをplatformOViAパートナプログラムの中で当社が提供する。また、開発環境の立上げやトレーニング、さらにはコンフォーマンスなどのテストについても当社がサポートメニューを用意して対応する。
当社は、Medityが携帯電話向け半導体ビジネスの中心的なソリューションになると考えており、関連事業を積極的に展開していく予定です。また当社では今後、Medity構想の普及を図るためにパートナーとの協業を推進し、Medityを3G通信プラットフォームのデファクトスタンダードに育成したいと考えております。
以上
(備考)
・MedityおよびplatformOViAは、当社の日本、ドイツおよびその他の国における登録商標または商標
・文中で言及した製品名やサービス名は全て、それぞれの所有者に属する商標または登録商標
