NECエレクトロニクス、デバイス・ワイヤー・アダプター構築用LSIを発売
USB対応の周辺機器をワイヤレスUSBシステムに接続できるようにする
デバイス・ワイヤー・アダプター構築用LSIの発売について
NECエレクトロニクスは、マウスやプリンタなどのUSB対応周辺機器を無線(ワイヤレス)USBのシステムに接続して利用できるようにするLSIを製品化し、「μPD720180」の名称で本日よりサンプル出荷を開始することにいたしました。
新製品は、接続された有線のUSB機器と、ワイヤレスUSB機能を持ったパソコンやデジタル家電との間を、業界標準のインタフェース規格「Certified Wireless USB」(注1)に基づいて中継し、無線通信できるようにするデバイス・ワイヤー・アダプターを構築するためのLSIであります。
このLSIを用いると、最大480メガビット/秒(Mbps)という、音楽1曲分のデータを1秒未満で伝送できる高速なワイヤレスUSBシステム(注2)が、現行のUSB対応の周辺機器を有効に活用して経済的かつ容易に構築できるようになります。
新製品のサンプル価格は5,000円であり、量産の開始時期としては本年12月を計画しております。当社では、今回の新製品を含むワイヤレスUSB 関連製品全体で、2008年度には年間約60億円の売上を達成する計画であります。
新製品の主な特長は次の通りであります。
(1)現行のUSBを用いてワイヤレスUSBシステムが容易に構築できる
米国インテルコーポレーションを始めとした業界のリーダー企業で組織され、USBの開発、発展を司る団体「USBインプリメンターズ・フォーラム」が策定した規格「Certified Wireless USB」に準拠したワイヤレスUSBと、現行のUSBとの中継機能を実現している。
これにより、当社が昨年12月に発売したホスト(本体側)コントローラLSI「μPD720170」と組み合わせてワイヤレスUSBシステムが容易に構築できる。
(2)最大4つのUSB機器が接続できる
集線装置(ハブ)機能を搭載しており、最大4つのUSB機器を接続し、ワイヤレスUSB化することができる。
この結果、ユーザーの要望に最適となる多様なシステムが容易に構築できる。
ワイヤレスUSBは、現行のUSB2.0の拡張規格として、パソコンやデジタル家電製品を接続する際の次期標準インタフェースになると期待されるものであります。この技術を採用することにより、現行のUSB2.0と同等の最大480Mbps、直径最大10メートルの無線通信が実現できるようになります。
これにより、配線が不要になるため、(1)接続の煩わしさから開放され、美観を損ねること無く高速なデータ伝送を実現すること、(2)配線の存在を意識する必要が無く、使いたい場所で自由に機器同士を接続すること、などが可能になり、パソコンやデジタル家電製品の用途を大幅に拡大し、新たな使い方の発見を促すことが可能になります。
当社は、現行のUSB2.0製品において、米国インテルコーポレーションを始めとした業界のリーダー会社で組織され、USBの開発、発展を司る団体USBインプリメンターズ・フォーラムのコアメンバーであるNECのグループ企業として、技術開発、市場開拓の中心的な役割を果たしてまいりました。その結果、2000年4月のUSB2.0の量産出荷開始以来、約1億個という業界最高の製品出荷数を達成しております(2004年6月末現在)。
このように、当社はUSBに関して卓越した技術力と経験を有しており、この力をもとにUSB2.0を無線化する技術であるワイヤレスUSBの仕様をワイヤレスUSBプロモータ・グループ(注3)およびWHCI(注4)策定グループのメンバー企業と協力して進め、技術開発を行ってまいりましたが、このたび、現行のUSB機器を有効に活用し、少ない投資でワイヤレスUSBシステムが手軽に構築できるようにすることを目的に、今回のLSIを提供することにいたしました。
当社では、ワイヤレスUSBの技術が、機器間接続の標準インタフェースとして、パソコンおよびその周辺機器やデジタル家電製品を始めとするあらゆる電子機器の発展に大きく貢献するものと期待しているため、積極的な製品開発を継続する計画であります。
なお、当社では今回の新製品を、本年9月26日から28日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコにて開催される、米国インテル・コーポレーションが主催する開発者向け会議「インテル・デベロッパ・フォーラム」にて展示、実演する計画であります。
新製品の主な仕様については別紙をご参照ください。
以上
(注1)Certified Wireless USB:
ワイヤレスUSBプロモータ・グループ(注6)によって、策定されたUSBの無線版の仕様。
2005年5月に仕様が策定された。ワイヤレスUSBプロモータ・グループによって策定された仕様以外のワイヤレスUSB製品と区別するための仕様の正式名称。
(注2)3メートル以内の距離で通信する際のデータ伝送速度は最大480Mbps。最大約10メートルまで無線通信が可能であり、10メートルの距離で通信する際のデータ伝送速度は約110Mbps。
(注3)ワイヤレスUSB プロモータ・グループ:
ワイヤレスUSB規格を策定したグループ。参加企業は、米アギア・システム、米インテル、韓国サムソン電子、米ヒューレット・パッカード、蘭フィリップス・セミコンダクター、米マイクロソフト、NECの7社。仕様策定に当たっては、技術的な貢献企業として、米アペアレント・テクノロジー、米アレレオン, 仏伊合弁STマイクロエレクトロニクス、イスラエル・ウィザーなども参加している。
(注4)WHCI:
Wireless Host Controller Interfaceの略。米国インテルコーポレーションが主導して策定が進んでいるワイヤレスUSBホストコントローラの仕様。パソコンなどホスト側からの制御に関して規定する仕様で、ワイヤレスUSBプロモータ・グループが策定した規格を補完するもの。
<別紙>
「μPD720180」の主な仕様
・ワイヤレスUSB 規格(Certified Wireless USB Specification) Rev.1.0準拠
・53.3, 80, 106.7, 200, 320, 400,480Mbpsのデータ速度をサポート
・WiMedia MAC-PHY インタフェース規格Rel.1.0準拠
・WiMedia MAC規格Rel.1.0準拠
・USB Rev.2.0規格準拠
・32までのリモートパイプをサポート
・コントロール, バルク, インターラプト転送をサポート
・AES-128 CCM暗号化をサポート
・セルフビーコニングデバイス
・最大4つのUSB ダウンストリームポートをサポート
・システムクロック: 30MHz クリスタル
・電源電圧: 3.3V, 1.5V