砂付着防止 水着素材「Ｓａｎｄｐｒｏｏｆ（ＴＭ）」の開発について
東レ（株）は、このたび、遊泳水着市場に向けて浜辺で水着を着用中に砂が付着しにくい「砂付着防止性」を有する新素材「Ｓａｎｄｐｒｏｏｆ（ＴＭ）」（サンドプルーフ）を開発し、２００７年春夏シーズン商品向けから販売を開始します。販売計画は初年度２千反（１反＝約５０ｍ）、３年後１万反を予定しております。
＜昔からの課題だった「砂付着」＞
遊泳水着では、濡れた水着で浜辺で直に砂の上に座ったり、浅瀬で砂の上に座ったりする事で、水着に砂が付着します。付着した砂は、水着が濡れているため払ってもうまくとれず不快であったり、また、ファッション性の重要な遊泳水着にとっては、見た目にも好ましくない状態になってしまいます。砂を落とすために水で水着を洗い流しても、水着は濡れたままなので砂が着きやすい状態に変わりはなく、何度も付着を繰り返すという煩わしさがありました。
「砂付着」は、水着あるいは砂の一方、または両方が濡れた状態で接触する事により、水着に砂が付いてしまう現象で、手で払っても取れにくかったり、払うことで余計に付着面積を広げてしまったり、更に、そのままにしておくと砂が生地編み目の中に入り込み取れなくなる「砂噛み」現象にまで至るケースもあります。
こういった問題に対して、市場からの「砂付着」防止素材へのニーズは非常に高く、以前より素材メーカー各社は開発にチャレンジしてきましたが、砂付着のメカニズム解明が不十分のためか満足な性能を有する水着の提案ができていませんでした。
添付資料：東レナノテクノロジーシンボルマーク
＜ナノスケール加工技術を応用＞
新素材「Ｓａｎｄｐｒｏｏｆ（ＴＭ）」は、繊維に東レの最先端技術であるナノスケール加工技術（“ナノマトリックス”）を駆使することにより、高い「砂付着」防止性と優れた洗濯耐久性の両立に成功しました。
本加工技術は、単繊維１本１本の表面にナノサイズの機能剤皮膜を形成させる技術で、今回は新たに設計した撥水剤と撥油剤をバランス良くかつ同時に皮膜させることで微細な砂や泥の毛細管現象による水着生地への浸透を阻止すると共に、通常粒径（直径換算で約１５０～７００）の砂を海水と共に弾き落とすことにより生地への付着を防止し、かつ浜辺に存在するサンオイル等の油系汚れによる性能低下も防いでいます。
この加工は洗濯耐久性にも優れる為、効果の持続性が十分にあり、また多少の砂が付着しても手で簡単に払い落とせる他、生地編み目への砂の入り込み現象である「砂噛み」の軽減効果を併せ持っています。
「Ｓａｎｄｐｒｏｏｆ（ＴＭ）」には当社の誇る最先端技術である“ナノマトリックス”加工を採用しています。単繊維１本１本の表面を機能材料で皮膜することにより、高い砂付着防止性と耐久性の両立に成功しています。
この加工により、微細な砂や泥の毛細管現象による水着生地への浸透を防止すると共に、通常粒径の砂は高い撥水性能により、海水と共にはじき落とすため、水着への砂付着を防止することが出来ます。
低迷する婦人遊泳市場ですが、長年の懸念事項であった「砂付着」防止機能を新規に投じることで、着用上の制約を軽減し広く多面的なシチュエーションで水着を楽しんで貰える仕掛けをアパレル・小売店と共に業界一丸となって推進して参ります。
また、遊泳水着以外にも、ラッシュガードを中心とする水辺のスポーツアイテムへの拡大を推進して参ります。
なお、詳細は下記の通りです。
記
１．商品名：「Ｓａｎｄｐｒｏｏｆ（ＴＭ）」
２．商品特長
（１）優れた砂付着防止性
（２）高い耐久撥水性、撥油性
（３）優れた洗濯耐久性
３．技術概要
（１）原糸： 当社が遊泳水着用途に展開している高発色性のポリエステル原糸やフルダルナイロン原糸など幅広い素材に適用が可能であり、素材を選びません。
（２）要素技術：（１）ナノスケールの皮膜形成技術（“ナノマトリックス”加工）
（２）撥水・撥油バランス制御技術
４．特 許：関連技術含め７件出願済み
５．販売展開
（１）発売時期：２００７年春夏シーズン商品向けから
（２）主な展開用途：婦人遊泳水着
（３）販売目標：初年度 ２千反（１反＝約５０ｍ）
３年後 １万反
以 上
