NEC、多機能な端末機器を実現する並列プロセッサー仮想化技術を開発
ユーザニーズに合わせた多機能な端末機器を実現できる
並列プロセッサ仮想化技術を開発
NECはこのたび、携帯電話やデジタル家電、車載情報システム等の多機能化に向けて、初期搭載されている基本機能ソフトの動作に支障を与えることなく、ユーザニーズに合わせて、端末機器上で多様なアプリケーションソフトを柔軟に、かつ安全に追加できる並列プロセッサ仮想化技術の開発に成功しました。
この並列プロセッサ仮想化技術は、高性能・低消費電力性に優れたNECの組込みシステム向け並列プロセッサ技術をベースに実現したもので、主な特長は次の通りです。
(1)端末に初期搭載されている基本機能ソフトと、ユーザが後から追加したアプリケーションソフトとを異なるプロセッサへ割り当て、物理的に分離した上、個々のプロセッサ上に割り当てられた複数の追加アプリケーションをさらに種類毎に仮想的なプロセッサに分離しました。これにより追加ソフト間での干渉をなくし、多種多様なアプリケーションの柔軟かつ安全な追加を可能としました。
(2)これらの仮想プロセッサ間でのプロセッサ間通信やメモリなどへのアクセスをハードウェアで監視することにより、追加アプリケーション間に関しても高い安全確保を可能としました。また、ソフトウェアのみで仮想プロセッサを実現する従来の手法に比べ、ハードウェア支援により大幅な性能向上を達成し、追加アプリケーション間の切替時間を約2分の1に短縮しました。
近年、携帯電話やデジタル家電、車載情報等の端末機器は、ユーザニーズの多様化に伴い、例えばパソコンのように、ユーザがさまざまなソフトを後から追加できることが求められています。そのため、追加ソフトの万一の不具合から基本ソフトを保護する安全性を保ちつつ、さまざまな種類のソフトを追加できる柔軟性と、追加ソフトを高速に実行できるという高性能性とを全て満足する必要がありました。そのような要求に対して、追加ソフトの種類が数種類程度であれば、従来のマルチコアセキュリティ技術(注1)は、柔軟性・安全性・高性能性に優れた方式でありました。しかしながら、ユビキタス社会の進展に伴い、より多種類の追加ソフトに対応できることへの要望がますます拡大していくものと考えられます。増加する追加アプリを相互干渉なく、かつまたプロセッサ数の制約を受けず拡張するため、個々のプロセッサ上に相互に干渉しない複数個のプロセッサを仮想的に構築する並列プロセッサ仮想化技術の実現が望まれておりました。
NECでは、かねてより、高性能・低消費電力性に優れた、組み込みシステム向け並列プロセッサ技術の研究開発を進めてきました。さらに、携帯電話、デジタル家電、車載情報システムなどの端末でソフトを追加する際に、柔軟性と安全性を両立させるという、組み込みシステムにて顕在化する課題にいち早く着目し、その課題を克服する並列プロセッサ仮想化技術を開発しました。
当社では、今回の並列プロセッサ仮想化技術が、ユビキタス社会において、ユーザ個人のニーズに合わせた、携帯電話やデジタル家電、車載情報システム等の多機能化の実現に極めて重要と考えており、今後も継続して、積極的な研究開発活動を展開していきます。
なお、今回の成果を、7月24日から28日まで、米国のカリフォルニア州サンフランシスコ市で開催される学会「設計自動化国際会議(DAC2006)」において、26日に発表する予定です。
以 上
(注1)
基本ソフトと追加ソフトに対して、ハードウェアとして実現されたプロセッサを別々に設けることで、追加ソフトに対する基本ソフトの安全性を向上する技術
2005年02月09日発表のNECのプレスリリース
(http://www.nec.co.jp/press/ja/0502/0904.html)を参照下さい。
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 研究企画部 企画戦略グループ
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