NTTファシリティーズと東邦ガス、情報通信装置向け空調システムの実用化開発に着手
情報通信装置向け新型空調システムの実用化開発を開始
~漏水リスク回避を可能とする情報通信装置向け冷却システム~
株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長:森 勇、以下NTTファシリティーズ)と、東邦ガス株式会社(代表取締役社長:水野耕太郎、以下東邦ガス)は、コンピュータやネットワーク機器といった情報通信装置の冷却を目的として、水と冷媒(フロンなど)を複合的に利用する空調システムの実用化開発に着手します。
本システムは、NTTファシリティーズがこれまで研究開発を進めてきた情報通信装置向けの空調技術と、東邦ガスが個別空調の熱源として吸収冷温水機を利用する際の熱搬送技術を組み合わせたもので、情報通信装置を冷水から熱交換した冷媒で直接冷却できる空調システムが実用化されれば世界初となるものです。
1.背景と開発のねらい
情報化社会の高度化に伴い、情報通信サービスを提供するための情報通信装置は高速化・大容量化し、その結果、装置からの発熱量が増加して装置室内の冷房負荷が急増しています。
情報通信装置室を冷却するための空調システムとして、室内機と室外機を冷媒配管で接続して空調する方式が一般的ですが、室外機を設置するバルコニーや屋上などのスペースに限りがあるため、増設には限界があります。さらに、増設により情報通信装置を冷却するのに必要な冷風の風量も増すため、室内の作業環境が悪化するほか、ファンをまわすための消費電力量も増加します。
一方、大型冷凍機を建物内の1ヶ所に設置し集中的に冷水を作り、これを各部屋に送ることで、空調設備スペースの問題を解決でき、省エネルギーも実現できます。しかし、情報通信装置室においては、万が一の漏水による機器トラブルを避けるため、情報通信装置の近傍はもちろんのこと情報通信室内に冷水を持ち込む方式も採用されてきませんでした。
そこで、今回は、NTTファシリティーズが持つ情報通信装置向けの空調技術と、東邦ガスが持つポンプによる冷媒搬送技術を組み合わせることで、漏水による機器トラブルのない新しい空調システムの実用化を目指します。
2.システムの概要と構成
本開発の空調システムは、「冷媒ポンプユニット」と「室内ユニット」とから構成されます(図1)。
「冷媒ポンプユニット」では、建物の配管から供給された冷水とガス状の冷媒を熱交換させ、凝縮した液状の冷媒をポンプにより圧送します。「冷媒ポンプユニット」は、情報通信機室の隣室やバルコニーなど、情報通信装置とは別室に設置します。
「室内ユニット」では、「冷媒ポンプユニット」から配管により供給された冷媒により室内空気を冷却します。
図1 開発する空調システムのイメージ
添付資料をご参照ください。
3.期待される効果
(1)万が一の漏水による機器トラブルの回避
情報通信装置室内の空調には冷媒を用いるため、漏水による機器トラブルの恐れがありません。空調の熱源には、大型冷凍機や地域冷暖房施設などを自由に選択でき、コージェネレーションシステムを利用することによりエネルギー利用効率の向上も期待できます。
(2)室内機の自由配置による空調効率の向上
従来の空調方式では、室内機を情報通信装置から離れた場所に設置するため、情報通信装置の冷却に要する室内機ファンの動力が増し、その動力が空調システム全体の消費電力量のうち1/4程度を占めていました。本システムでは、漏水や冷凍機オイル飛散による機器トラブルの恐れがないため、室内ユニットを情報通信装置の近傍に設置することが可能となります。これにより、室内機ファン動力を大幅に低減することが期待でき、空調効率が向上します。
4.共同開発の役割分担
NTTファシリティーズは、情報通信装置向け空調に関して国内トップレベルの技術を有しており、これまでの実績、ノウハウを活かして、「室内ユニット」と「冷媒ポンプユニット」の仕様検討及び空調システム全体の設計、システム制御手法の確立を担当します。
東邦ガスは、ポンプによる冷媒搬送に関して国内トップレベルの技術を有しており、「冷媒ポンプユニット」の仕様検討、運転制御方法の確立を担当します。
5.開発スケジュール
システム仕様や運転制御方法の検討を進め、2007年度上期の製品化を目指します。その後、既存の情報通信装置室への導入を想定し、本システムの販売を実施する計画です。
以 上