東京海上日動、台風リスクに備え証券化で約230億円の再保険カバーを調達
日本国内における台風リスクの証券化
東京海上日動火災保険株式会社(社長:石原邦夫、以下「東京海上日動」)は、本格的な台風シーズンを前に、日本国内における大規模な台風による保険金のお支払いに備えるため、証券化の手法で約230億円(200百万米ドル)の再保険カバーを調達いたしました。
当社の証券化手法を用いた再保険の調達は、1997年の地震リスクを対象としたものに続き、2度目となります。
1.証券化の背景
近年、欧米の金融市場では保険リンク証券(キャットボンド)の取引が急速に拡大しており、自然災害リスクに対する強い投資需要が見られます。しかし、発行されているものの多くは欧米の自然災害リスクを対象としたもので、日本のリスクを対象としたものは限られています。
そのため、リスクの地域分散の観点から日本の自然災害リスクに対する投資家のニーズが高まっており、日本のリスクの証券化は実施し易い環境にありました。
一方、伝統的な再保険市場は2001年の米国同時多発テロや昨年のハリケーン・カトリーナ等の大規模災害発生の際に見られたように再保険料(大規模災害発生で再保険料が高騰)や信用力(大規模災害発生で再保険会社の格付が低下)の点で安定性に懸念があります。
このような状況を踏まえ、証券化手法を用いた5年間に亘る安定的な再保険カバーを調達することとしたものです。
当社では、安定的な台風リスクの引受能力確保を目的として、これまでも伝統的な再保険に加え、リスク・スワップの導入等、リスク・ヘッジ手段の多様化に取り組んできました。今回の証券化をリスク・ヘッジ手段の選択肢に加えることにより、これを一層進めることができました。今後もこうした取り組みを通じて、お客様により安定的に保険商品のご提供が行えるよう更に努めてまいります。
2.取引の仕組み
今回の取引は、スイス再保険会社(本社:スイス、S&P格付:AA-)が、東京海上日動から再保険を引き受け、それをケイマン諸島の特別目的会社(フウジン・リミテッド(Fhu-Jin Ltd.))に移転し、その特別目的会社が欧米およびバミューダの機関投資家向けに米ドル建て証券(満期:5年、額面 200百万米ドル)を発行したものです。この証券は観測された風速に基づくインデックスが一定規模を超える台風が来襲した場合に、元本が減額または没収され、当社への再保険金の支払いに充てられる仕組みとなっています。なお、本証券は累計500百万米ドルまで追加発行が可能なノート・プログラムと呼ばれる発行方式となっております。ノート・プログラム方式による国内損保のリスクの証券化は初めてのケースとなります。
【取引の仕組み】
【証券概要】
(※ 関連資料を参照してください。)
以上