サカタのタネ、トルコギキョウの中生大輪一重咲き新品種「ノーブル」2品を発売
茎が剛直で伸長性に優れ、秋出荷を含めたより広範な作型に対応できる大輪・一重咲きF1品種
トルコギキョウの中生新シリーズ『ノーブル』2品種を発売
翡翠(ひすい)を思わせる濃いグリーンの「ジェイド」と高級感ある濃い紫の「バイオレット」の2色
サカタのタネでは、茎が剛直で伸長性に優れ、秋出荷を含めたより広範な作型に対応できるトルコギキョウの中生大輪一重咲きF1品種『ノーブル』シリーズとして『同ジェイド』および『同バイオレット』の2品種を開発いたしました。同品種のシリーズ名は、茎の剛直性や優れた伸長性から受ける凛(りん)とした印象と、夏から秋の一重咲きトルコギキョウながら発色がよく、高貴(=Noble)な気品漂うツヤのある花色のイメージから命名されたものです。
『ノーブル ジェイド』は、"ジェイド=翡翠(ひすい)"の名のとおりツヤがある濃いグリーンの花色で、『ノーブル バイオレット』は、花弁が厚くツヤのある今までにない高級感あふれる濃い紫の花色の品種です。また、両品種とも高温期において晩生品種並みの茎の伸長性と剛直性を示すため、これまで中生品種では採花が難しかった秋出荷も可能になりました。さらに『ノーブル』シリーズは、夏から秋における高温の影響による色あせし難いなど、安定して高品質な切り花を採花できる特長を持っています。新品種『ノーブル』シリーズの種子の販売は、全国の種苗店を通した生産者向けに2006年10月2日から開始し、税込希望小売価格は2品種ともペレット種子3,000粒入9,450円、初年度販売目標は、シリーズ合計で1,000万円です。
『ノーブル』シリーズは、これまでの中生品種にはない草勢の強さを持つことから、草丈ェとれ、茎も太く、剛直で、ボリュームのある草姿が特長のトルコギキョウです。そのため、これまでの中生品種では採花が難しかった秋出荷も可能にした万能品種です(下図参照)。これらの特長は、荷傷みが少なくなるなど流通上の問題も軽減します。
また、これまで日本では、「ホワイト」「イエロー」「ピンク」といった淡い色の需要が高く、濃い花色の品種はあまり人気がありませんでした。一方、濃い花色の品種は、ヨーロッパを中心に海外でおもに人気がありました。しかし、近年、日本でもブライダルブーケやアレンジメントに、インパクトやアクセントを与えられる花色として濃い花色のトルコギキョウに対しフラワーデザイナーを中心に急速に注目が集まっています。
今回、当社が開発した『ノーブル』シリーズの2品種は、濃色のトルコギキョウの可能性をさらに拡げるべく、今までみられなかった深みのある濃い花色を目指し開発した新品種です。従来のグリーンが夏から秋にかけての高温期に発色が悪くなる傾向があるのに対し、『ノーブル ジェイド』は、色あせしにくい安定した濃いグリーンで、『ノーブル バイオレット』は従来の紫のトルコギキョウに比べて花弁が厚くより色ツヤがあり高級感のある濃い紫であることが特長です。
『ノーブル』シリーズが、夏から秋の高温の影響による花の色あせも少なく、草丈がとれ、茎が剛直で晩生の作型もカバーする能力を持つことから、産地のリレー出荷を駆使することでこのシリーズのみで4月下旬から11月上旬まで安定して高品質なトルコギキョウを出荷できます。『ノーブル』シリーズは、トルコギキョウの市場をさらに広げる斬新なシリーズとして今後、期待されます。
●写真 トルコギキョウ「ノーブル・ジェイド」
●図 中生品種の比較(左:当社既存品種「あすかの紫」右:『ノーブル バイオレット』)
(※ 関連資料を参照してください。)
【 『ノーブル』の作型 】
(※ 関連資料を参照してください。)
【 価格(税込希望小売価格) 】
ペレット種子3,000粒 9,450円
※営利以外の一般向け絵袋の発売は未定
【 生花出荷開始 】
2007年5月より主要生花市場へ出荷開始、2007年7月より本格出荷
【 初年度販売目標 】
1,000万円(2006年10月~2007年9月期)
<トルコギキョウについて>
トルコギキョウ(Eustoma grandiflorum)は、北アメリカ原産で、原種は草丈が約90cmで、花は一重で、花色もブルーに限られていました。戦前、主にヨーロッパで改良され、同時期、日本へも導入されました。戦争をはさみ海外では多くの品種が絶え、日本に残った品種から現在までに花色や一重咲きなど花形の充実がなされ、茎を強健にする、あるいは生態型などでの育種が進められてきました。当社においても1975(昭和50)年には1品種しかなかったものが、現在では93品種を有するまでになっており、パンジー、ペチュニアなどと並ぶ当社の代表品目のひとつとなっています。日本のトルコギキョウ品種がけん引役になり、現在では世界のトルコギキョウ市場の約7割※を日本の品種が占めるようになっています。
多くの切り花品目で、作付面積、出荷量が、減少傾向にあるなかで、トルコギキョウは前年度比同等の生産状況を示しており、平成17年花き卸売市場調査結果の概要(農林水産省)によると年間出荷量は、1億2,473万本で、キク、カーネーション、バラ、ガーベラ、ユリ、スイートピー、スターチスなどに次ぐ、出荷量第9位、卸売金額6位、1本あたりの単価は103円で、品目別ではユリに次ぐ第2位の品目となっています。また、トルコギキョウは、冠婚葬祭、ホームユースなど、すべての切り花ジャンルで周年を通し利用されています。
※:当社データに基づく推定値
< 読者からのトルコギキョウ『ノーブル』シリーズに関するお問い合わせ先 >
株式会社サカタのタネ 花統括部 電話045-945-8804