出光興産、次世代リチウムイオン電池向け固体電解質の開発を加速
次世代リチウムイオン電池向け固体電解質の開発を加速
-HEV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)用電池への適用を目指す-
当社(本社:東京都千代田区、社長:天坊昭彦)は、かねてより高純度硫化リチウム※1を出発原料とする「次世代リチウムイオン電池向け固体電解質※2」の開発をすすめてきましたが、この固体電解質が自動車メーカーが開発しているHEV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)用電池の電解質※3材料として好適であると判断し、開発を加速することにしました。
当社が開発を進めている固体電解質は、現在リチウムイオン二次電池に使用されている有機系電解液※4と同等のリチウムイオン伝導性※5(4×10-3S/cm,室温)を有していますが、有機系電解液とは異なり、高電圧、高温状態でも分解・揮発し難く安定性に優れるのに加え、他の固体電解質では困難とされてきた0℃以下の低温での電池作動が可能であることが確認されました。
この固体電解質の特長は以下の通りであり、車載用電池に求められる特性を備えており、性能向上に大きく貢献できるものと考えております。
(1)過酷な温度条件下での、性能および安全性の維持
(2)電極材料の適用(選択)範囲の拡大による電池性能の向上
今後は、更なる性能向上と量産化技術の開発を加速するとともに、共同開発先との「全固体電池」※6の実用化に向けた検討も推進してまいります。
開発中の「固体電解質」とそれを用いた「全固体型電池」は、10月23日(月)よりパシフィコ横浜で開催される「EVS-22」に出展・発表いたします。
※1 高純度硫化リチウム
当社が開発した製法で合成した硫化リチウム(化学式Li2S)は、硫黄酸化物等の不純物や副生物が極めて少ない。
※2 固体電解質
固体であるために、有機系電解液のような液漏れ、揮発逸散の恐れはないが低温領域でのイオン伝導性に課題があるものが多い。
※3 電解質
リチウムイオンが正極と負極間を移動するための媒体。低沸点の有機溶媒にLi塩を溶解した「有機系電解液」と、リチウムイオン伝導性をもつ無機化合物やポリマーを使う「固体電解質」がある。
※4 有機系電解液
主成分が低沸点の有機溶媒であるために、液漏れ防止、高温での揮発逸散防止、分解反応防止等の課題への対応が必要。
※5 リチウムイオン伝導性
材料中をリチウムイオンが移動する速度。リチウムイオン伝導性の高い電解質を用いる方が好ましいとされている。
※6 全固体電池
固体電解質のみを電解質として用いた(全ての構成材料が固体である)電池。