東レ、プラズマディスプレイ用感光性ペーストの生産設備を増設
PDP用感光性ペーストの生産設備の増設ついて
東レ株式会社は、このたび、PDP(プラズマディスプレイ)用感光性ペースト事業について、生産設備の増設を行います。松下電器産業株式会社様と当社の合弁事業である松下プラズマディスプレイ株式会社(以下MPDP社)が現在、兵庫県尼崎市に建設を進めている世界最大規模の新工場(第4工場)に対応するために、当社の滋賀事業場(滋賀県大津市)で、月産205トンの生産設備を増設し、現状の2,700トン/年(225トン/月)から5,160トン/年(430トン/月)へ増強します。2007年7月に第1期の稼働を開始し、2008年2月にフル稼働を予定しています。
PDP市場は、世界的な放送のデジタルHD化の潮流を背景に拡大しており、世界需要は2005年の550万台/年から2010年には3,000万台/年に達し、テレビ全体に占める比率は現在の4%から15%に増加すると見込まれています。特に35インチ以上の大型テレビにおいては、PDPがその投資効率と価格優位のため中期的に主流であり続けると予測されます。地域別では北米が最大の市場であり、欧州、中国も順調に拡大しています。国内では、地上デジタル放送が全国展開され、2011年のアナログ停波に向けても大画面での高画質が特長であるPDPテレビ需要が追い風となる見通しです。
このような市場動向の下、MPDP社では現在、茨木第1工場および第2工場(大阪府茨木市)と尼崎第3工場(兵庫県尼崎市)の合計で月産40万台のパネル生産能力(同じ松下グループの「パナソニック・プラズマディスプレイ・上海有限公司(PPDS社)」(中国・上海市)を含めると月産43万台の能力)を有しており、更なる市場拡大に対応するため、兵庫県尼崎市の臨海地域に世界最大級の月産50万台の能力を有する新工場(第4工場)の建設を急ピッチで進めております。この第4工場の完成・稼働後には、MPDP社を中心とする松下グループのPDP生産能力が年間1,110万台(42インチ換算)となり、世界シェアNo.1の地位を確固たるものにする方針です。
当社は、PDPの重要部材である背面板の製造技術開発に取り組み、世界に先駆けて開発・実用化した「感光性ペースト法隔壁形成技術」を核とする独自の背面板製造プロセスを確立し、MPDP社に技術供与しています。このプロセスは、感光性隔壁ペーストなど数種の「ペースト材料」を順次ガラス基板に塗布し、微細パターン加工するものです。「ペースト材料」は、本プロセス専用の材料として当社の先端材料技術を結集して開発・設計したもので、当社滋賀事業場内に設置した専用設備で生産され、100%松下Gに販売されています。
東レは、本年5月に策定した中期経営課題“プロジェクト Innovation TORAY 2010 (略称:IT-2010)”において、情報・通信・エレクトロニクス分野を有力な成長領域の一つと認識し、先端材料を中心に事業拡大を行って参ります。戦略的拡大事業と位置付けられた情報通信材料事業拡大のために、世界トップレベルの「先端材料事業」「ナンバーOne事業」等の拡大を推進しています。東レは今後も、保有する先端技術の深耕と強化を梃子に、先端材料事業群を拡大していく所存です。
以 上