NTT-AT、電磁ノイズなどを低減したインバータ式蛍光灯器具「EcolonLIGHT(エコロンライト)」を発売
電磁ノイズ、環境負荷を低減したインバータ式蛍光灯器具「EcolonLIGHT(エコロンライト)」の販売を開始
データセンタ、病院、IC工場等の精密電子機器を使用する環境でも使用可能
NTTアドバンステクノロジ株式会社(以下:NTT-AT、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:石川 宏(いしかわ ひろし))は、NTT環境エネルギー研究所のインバータ回路に対する電磁ノイズ低減技術を利用し、発光効率の高い小径蛍光ランプを組み合わせることにより、電磁ノイズ強度が小さくかつ省エネルギー効果の高いインバータ式蛍光灯器具「EcolonLIGHT」を製品化し、2006年10月25日(水)から販売を開始します。
本製品は、インバータ式蛍光灯の使用が制限されていたデータセンタや病院などの精密電子機器を扱うところで特に有効で、また電力使用量を大幅に削減できることから環境に優しい蛍光灯です。NTT東日本の通信機械室などへ先行導入されています。
【 背 景 】
インバータ式蛍光灯は、消費電力が少なく小型軽量化に適し、また点灯管式の蛍光灯と比べて、ちらつきが少ないという特長から、オフィスや家庭の照明器具として幅広く普及しています。しかし一方で、インバータ式蛍光灯は蛍光ランプを高周波で点灯するため、高強度の電磁ノイズ(定常ノイズ)が広帯域にわたり発生するという短所があります。また、蛍光灯の電源スイッチを入れる際、大きな振幅の突入電流が電源線を伝ってインバータに流れ込み、これに伴い電磁ノイズ(過渡ノイズ)が発生するという短所もあります。これらの電磁ノイズ発生により、通信機械室やコンピュータ室、病院などといった、精密で、誤動作の影響が甚大な電子機器を使用する環境では、インバータ式蛍光灯の使用を差し控えるところもあります。
これまで、NTTの通信機械室でも安定した通信品質を維持するため、電磁ノイズ強度の低いラピッドスタート式蛍光灯が使用されてきましたが、重いトランス型安定器を使用し、また消費電力が大きいため、改善を図る必要がありました。
このような状況の下、NTT-ATでは、NTT環境エネルギー研究所で開発されたインバータ回路に対する電磁ノイズ低減技術を利用し、また発光効率の高い小径(T5)蛍光ランプと組み合わせることにより、一般のインバータ式蛍光灯と比べ定常ノイズ、過渡ノイズとも大幅に低減し、かつラピッドスタート式蛍光灯などと比べて最大約50%の低消費電力化をはかったインバータを開発しました。この度、これを組み込んだ蛍光灯器具として製品化を行い、販売を開始いたします。現在、20形1灯・2灯および40形1灯・2灯タイプの出荷を進めています。
●製品化したインバータ(手前)と器具の一例
(※ 関連資料を参照してください。)
【 EcolonLIGHTの特徴 】
「EcolonLIGHT」の最大の特長は、インバータ回路の電源オン時に発生する過渡電流、およびこれに伴って発生する電磁ノイズを抑制する「突入電流抑制回路」を設けたことです。この過渡ノイズは一般のインバータ式蛍光灯と比べて約100分の1に低減されています(別紙参照)。また、インバータ回路に「EMIフィルタ回路」を設けることにより、空間および電源線を伝って常時放射される広帯域の電磁ノイズを抑制しています。本製品では、この定常ノイズも同様に大幅に低減されています。(別紙参照)。これらの蛍光灯が発生する電磁ノイズ(定常ノイズ)については、国際規格(CISPR 15)で一定の許容値が定められていますが、本製品はこの許容値も十分に下回っています。また、本製品はAC100V、AC200V共用ですが、両電源電圧においても低ノイズを実現しています。
さらに、このような低ノイズ化と同時に、発光効率の高い小径(T5)蛍光ランプと組み合わせることにより、最大約50%の省エネルギー率を実現しています。電力使用量の削減とともに、管径・質量が従来の普及ランプと比べて2分の1以下であることから資材、梱包材の削減と環境負荷の低減にも大いに貢献しています。また、本ランプは、寿命終期(12,000時間経過後)の明るさとして初期の88%を維持するため(光束維持率88%)、従来の普及ランプ(同70%)と比べ、長期間にわたって明るい環境を維持することができます。そのほか、ランプ寿命終期を検出し、ランプの点滅を数秒以内で停止させる機能も備えています。
価格の面でも、本製品は電磁ノイズを抑制するための「突入電流抑制回路」、「EMIフィルタ回路」をインバータ回路と同一基板上に一体化することにより、コストを抑え、従来の定常ノイズを抑制した蛍光灯器具と比べ同等以下の低価格も実現しています。
【 技術的なポイント 】
低ノイズ・省エネインバータ式蛍光灯器具の技術的なポイントは以下の通りです。
1.低過渡ノイズ
「突入電流抑制回路」により、電源オン時にインバータ回路に流れ込む過渡電流を一般のインバータ式蛍光灯と比べ約100分の1に低減しています。
2.低定常ノイズ
「EMIフィルタ回路」により、常時放射される定常ノイズを一般のインバータ式蛍光灯と比べて大幅に低減し、国際規格(CISPR 15)に対応しています。
3.低消費電力
発光効率の高いT5蛍光ランプを組み合わせることにより、最大約50%の省エネ率を実現しています。
【 参考価格 】
トラフ型器具(ランプを含む一式)
40形1灯器具:13,000円 40形2灯器具:18,000円
20形1灯器具:10,000円 20形2灯器具:15,000円
図1:電源オン時の突入電流の比較例
図2:放射妨害波(30MHz~300MHz)
図3:電源線雑音端子電圧(9kHz~30MHz)の比較例
(※ 関連資料を参照してください。)
※ 「EcolonLIGHT」は、NTT-ATの商標(出願中)です。