住友商事、マダガスカル共和国で日加韓共同の大型ニッケル資源開発を推進
住友商事株式会社、マダガスカル共和国において、日加韓共同で大型ニッケル資源の開発を推進
住友商事株式会社(社長:岡 素之、以下住友商事)及びカナダのダイナテック社(Dynatec Corporation、社長:ブルース・ウォルター、本社:カナダ、オンタリオ州、以下ダイナテック)は、マダガスカル共和国でニッケルの鉱石から地金までの一貫生産を行うアンバトビィ ニッケル プロジェクト(Ambatovy Nickel Project)に関して、コリアリソーシズコーポレーション(Korea Resources Corporation、本社:韓国、ソウル、以下コレス)及びエスエヌシーラバリン社(SNC Lavalin Inc.、本社:カナダ、ケベック州、以下エスエヌシー)の参画を受け入れ、株主間契約書を締結致しました。権益構成は住友商事27.5%、ダイナテック40%、コレス27.5%、エスエヌシー社5%となります。
本プロジェクトは、世界的に非鉄金属を始めとした資源の獲得競争が激化する中で、日加韓の3カ国が初めて共同でニッケル資源の開発に取り組む事業投資案件となります。初期投資として25億米ドルを投じて、マダガスカル共和国で鉱山開発から精錬所までの一貫生産設備を建設し、2010年初頭にはニッケル地金生産6万トン、コバルト地金生産5,600トン、硫安年産19万トンを生産する能力の工場を稼動させる計画です。大手鉱山会社による寡占が進む中、本プロジェクトは日加韓共同による世界最大規模の独立系新規ニッケル供給者となります。また、日本・韓国という主要需要国がプロジェクトファイナンスの組成を含めて共同推進する初めての資源開発案件ともなります。現時点で、鉱山の寿命は少なくとも27年間を想定しており、プロジェクトの操業コストは世界屈指の競争力を持つことが可能と想定しています。
本プロジェクトは、現時点では事業化調査の段階を経て、更にプラント建設の詳細設計と建設予算確定の作業中であり、今後、年内にマダガスカル政府による環境許認可取得、2007年第一四半期にプロジェクトファイナンスの組成を経て、各株主での機関決定を得た後、2007年中旬に建設着工を目指す計画です。総所要資金の50%~60%をプロジェクトファイナンスで調達する予定であり、既に協調融資に積極的な姿勢を示している国際協力銀行、韓国輸出入銀行、カナダ輸出開発銀行、ヨーロッパ投資銀行等と融資条件交渉を開始致しております。
ダイナテック社は操業を担当、非鉄金属の湿式精錬における世界第一級の技術を持ち、とりわけニッケルについては、最高レベルの知見・経験を持ったカナダのエンジニアリング・鉱山会社です。エスエヌシー社は鉱山開発・工場建設の設計/資機材調達(EPCM)を担当します。同社は食品、アルミ、化学品、医療品、石油、鉱山、精錬、電力等の幅広い分野で設計・エンジニアリング・建設・操業マネジメントを実施する世界有数のエンジニアリング会社で、主要なニッケルの湿式製錬プロジェクトを手がけた実績を持っています。コレスは韓国の海外資源開発投資の国策会社です。既に鉄鋼・非鉄関連の資源開発プロジェクトの調査・探査、並びに韓国企業への鉱物資源の長期安定供給のために海外資源開発プロジェクトへの投融資等を行っています。ダイナテック社とエスエヌシー社が技術と操業ノウハウを提供し、住友商事とコレスが、ファイナンスの組成と販売を担当することで本プロジェクトの成功を目指します。
ニッケルはステンレスを中心に特殊鋼(耐熱・耐食高合金)・電池材料・電子材料など用途が多岐に亘っており、ハイテク関連の材料として、世界的に堅調な需要の伸びを示している金属です。一方、ニッケルは資源が偏在するという特殊事情があると共に、大手生産者による寡占状態となっており、大型鉱山開発は極めて希であり、且つ大規模投資が必要とされることより新規参入の障壁が極めて高いという状況にあります。本プロジェクトは寡占メジャーに属さない世界で初めての独立系案件であり、また日本企業にとって地金精錬までの初の海外投資案件であります。
現在ニッケルは需給が逼迫しており、流通在庫は史上最低水準に落ち込んで、史上最高値の市況にあります。このような状況下、日韓企業がカナダ企業と共同で海外のニッケル資源の開発を推進することで、ニッケル市場の需給改善に寄与できることとなります。
また、マダガスカル共和国は世界で4番目に大きな島で、現在世界銀行の指導の下で環境調和型の着実な経済発展に努めており、本件は同国最大の海外投資受け入れ案件となります。住友商事は、本プロジェクトが同国の地域経済の発展に大きく貢献できるものと確信しております。
大手鉱山会社による寡占が進行する中、住友商事は本案件を日加韓の協調により世界最大級のニッケル資源を開発して、長期に亘り日本・韓国を初めとする世界市場に供給できる有意義な案件と位置付けており、当社の資源ポートフォリオの有力な柱の一つとなるものと考えております。
以 上