応用医学研究所、遺伝子多型の解析業務を開始
遺伝子多型の解析業務を開始
~ゲノム解析により治験薬の有効性と副作用のエビデンスを解明~
当社は、このたび遺伝子多型解析の受託業務を開始しましたのでお知らせいたします。解析にあたっては、FDA( アメリカ食品医薬品局) が医療用DNAチップとして最初に承認したAmpliChip CYP450」を採用しており、遺伝子多型を簡便かつ短時間に判定することが可能です。今後、解析された遺伝子情報に基づいて、治験薬の有効性の判断と副作用の原因究明・予測を行うことにより、医薬品開発における治験期間の短縮と経費の削減につながることも期待されます。
薬剤が体内に取り込まれてから肝臓で代謝される能力には個人差があり、この能力の高低により期待される薬理作用や副作用の発症に影響を及ぼします。多くの薬剤の代謝に関与する酵素としてチトクロームP450が知られており、この酵素には多くの種類とそれぞれに多型といわれる遺伝子の型が存在しています。この多型を解析することにより治験薬の有効性と副作用のエビデンス解明ができます。
従来、チトクロームP450に関する多型を判定するためには、複数の手法を組み合わせた煩雑な操作と長時間を要しておりました。この状態を改善するため、先ず本年5月にチトクロームP450の代謝効率を決定する遺伝子の型(多型)を判定するDNAチップ「遺伝子多型解析キットAmplichip CYP450」が研究用試薬として販売されました。当社が今回、FDA(アメリカ食品医薬品局)がAmplichip CYP450を認可した際のワークフローで採用されているアンプリチップ用自動解析機器を国内で初めて導入したことにより、簡便に且つ短時間に多型を判定することが可能になるとともに、FDA基準を満たしたサービスの提供が可能となります。
当社は、医薬品開発における安定性試験、医薬品保管、生体試料中薬物濃度測定試験を受託し、法的規制であるGLP、GCP 対応には長い経験と実績をもっています。遺伝子関連の試料採取から測定までPGx(ファーマコゲノミクス)においては、インフォームドコンセントや被験者フォローなど、いわゆるGCP 対応のノウハウが不可欠です。従って、この新しい遺伝子多型解析業務において、当社の経験を十分に活かし、製薬企業等に対し効率的な医薬品開発支援を行ってまいります。
なお、本業務の今期業績に与える影響については、売上高51 百万円を計画しておりますが、当期全体の売上計画への影響は軽微であります。
以上
<用語説明>
多型:SNPs などのような、ある一定以上の頻度で出現する遺伝子により構成されるDNA配列の個体差
チトクロームP450 :別名CYP。脂溶性の薬物を水溶性に変えて排泄させやすくする、肝細胞内にある薬物代謝酵素。
インフォームドコンセント:informed consent〔医師が患者に対して病状・治療法・手術法などについて十分に説明をした上で患者がその治療・手術を受けることに同意すること〕。治験参加希望者の、説明を受けた上での同意
GLP :Good Laboratory Practice
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準。
GCP :Good Clinical Practice
医薬品の臨床試験を実施するにあたり遵守すべき基準。