三菱重工プラスチックテクノロジー、型締力2300トンの超大型電動射出成形機を発売
型締力2300トン電動射出成形機「2300em」
クラス世界最小スペースを実現
三菱重工プラスチックテクノロジー株式会社(社長:渡邊 正、本社:愛知県名古屋市中村区、三菱重工業が100%出資)は、自動車用などの大物プラスチック部品成形に高い生産性を発揮する型締力2300トンの超大型電動射出成形機「2300em」を開発、10日から発売する。2004年末に市場投入した世界最大の型締力3000トン電動射出成形機3000emのワンランク下位機種で、スペースをとらないクラス世界最小ボディ(機長13.7m)を実現したのが特徴。
「2300em」は、業界に先駆けて型締力3000トンを実現した3000emの技術(当社独自の高トルク低回転の大容量DDサーボモーター※1、電動型開閉/電動メカ割ナット開閉システム※2、自動車部品材専用のMDメルタ付UBスクリュー※3など)を導入して開発したもの。これらにより、従来の同クラス油圧機比約30%のサイクル短縮を実現して、インストルメントパネルやバンパー、大型液晶テレビなどの自動車・家電向け大物プラスチック部品成形の生産効率化とコスト削減に大きく貢献する。
当社独自の2プラタン型締機構※4とハイブリッド型電動システム※5の採用により、省エネルギー、省スペース両面で顕著な改善を達成したのも「2300em」のポイント。省エネ面では、消費電力を油圧機比で約60%低減。また省スペース面でも、同クラス電動機の機長で世界最小を実現した。さらに、低騒音型エコポンプシステム※6と射出の大容量DDサーボモーター化により機械回りの低騒音化を実現、作業環境を改善する。
また、型盤デザインの変更により、バリ不良を解消し、コスト低減に貢献する好評の「新型センタープレス型盤(特許出願中、3000em標準装備)※7」の導入も可能。
バンパーなどの自動車用大物部品成形の主要な課題は「ハイサイクル」と「薄肉化」。今回の「2300em」は、高速射出(大容量DDサーボモーター)、高速型開閉(電動型開閉/電動メカ割ナット開閉システム)、高速可塑化(電動高速スクリュー回転機構)などの機能を備えて成形の高速化に対応。また、多点ゲート充填(シーケンシャルゲート制御)※8などにより部品の薄肉化にも余裕を持って応えることができる。
当社は今回の「2300em」の投入を機に、大物自動車部品関連はもちろん、大物家電部品関連に対しても、超大型電動射出成形機の営業を一層積極的に展開していく。
なお、本機は、11月12日から15日までの4日間、愛知県名古屋市のポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)で開催される「2006名古屋プラスチック工業展」でパネル展示する。
※1 大容量DDサーボモーター
射出軸ボールねじを減速機構なしにモーター軸と直結する当社独自開発のサーボモーター。このモーターを採用することで、ベルトレス構造となり、騒音・粉じんやメンテナンス項目の低減、立ち上がり応答性能の向上が可能となった。
※2 電動型開閉/電動メカ割ナット開閉システム
適切に配置されたボールねじとサーボモーター制御により、高応答な型開閉を実現、従来の油圧機に比べ、型開閉ドライサイクルを大幅に短縮した。
※3 MDメルタ付UBスクリュー
スクリューの先端に多角形断面形状を持つミキシングを装着することで、可塑化能力を落とすことなく、ハイサイクル成形時の未溶融樹脂の混錬性能を向上させた。
※4 2プラタン型締機構
固定盤と可動盤の2枚のプレートから構成される型締機構。
トグル機構のように3番目のプレートを持たない、当社の大型油圧機が従来から採用している方式で、省スペース化をはかれるのが特徴。
※5 ハイブリッド型電動システム
射出成形工程での駆動で電動と油圧を使い分けるシステム。力制御精度が必要な型締工程、ノズルタッチ工程などは油圧システムを採用し、速度、圧力制御の精度と再現性が不可欠な射出、可塑化、型開閉とエジェクターの工程は電動システムを採用する。
※6 低騒音型エコポンプシステム
油圧ポンプとサーボモーターを組み合わせ、成形工程で必要なタイミングのみ回転数を所定値まで上げて油圧駆動させるポンプシステム。油圧の脈動変化を抑え、低騒音を実現する。
※7 新型センタープレス型盤
型盤デザインの変更により、型盤面の湾曲変形を防ぎ、型内圧が高い場合のバリ発生を抑制する。
※8 多点ゲート充填(シーケンシャルゲート制御)
金型内に樹脂を充填するゲートが複数あり、高圧にしなくても樹脂が充填できる低圧成形の手法。シーケンシャル制御によりゲートを樹脂の流動方向にあわせて順次開けていくため、より低圧での成形が可能。
◇「2300em」の主な仕様(*添付資料参照)
以 上