イーソル、μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」が「PowerPC 603eコアをサポート
μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」がPowerPC(TM) 603eコアをサポート
~ネットワーク機器などのPowerPCを使う高機能・高性能な組込みシステムを、短期間・低コストで開発~
イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、イーソルのμITRONベースシステム開発スイート「eBinder」がPowerPC(TM) 603eコアをサポートし、「eBinder for PowerPC」としてリリースしたことを発表します。今回サポートしたPowerPC 603eコア搭載プロセッサは、フリースケール社製MPC82xx PowerQUICC IIプロセッサです。PowerPC 603eコアをサポートする製品には、本年5月にリリースしたμITRON4.0準拠リアルタイムOS「PrKERNELv4 for PowerPC」があります。
このeBinder for PowerPCのリリースにより、PowerPCを使う組込みシステムの中でも、μITRONをベースとするソフトウェア開発のための本格的な開発環境が整いました。これまでPowerPCのソフトウェア開発向けには、機能や使い勝手が十分ではない汎用的な開発ツールや、高価なOSと開発環境の組み合わせなどがありましたが、多くの選択肢がないのが現状でした。eBinder for PowerPCとPrKERNELv4 for PowerPCをあわせて利用することで、安価で高性能なPowerPCベースのμITRONシステムを効率的に開発できるようになります。
PowerPCは、通信機器などのネットワーク機器に最適化された、高機能・高性能なCPUですが、PowerPC以外のCPUを使って構築された既存のμITRONベースのシステムを、高性能化・高機能化のニーズに伴ってCPUを変更する場合の、有力な選択肢のひとつになります。こうした場合にもeBinder for PowerPCが提供するリアルタイムOS特有の複雑な問題を容易に解決できるさまざまなツールや機能を利用することで、システムのPowerPC上での動作検証や、新たな付加価値機能を搭載するための開発・デバッグをスムーズに進めることができます。
このたびeBinderが対応したMPC82xxは、PowerPC 603eコアとRISCベースの通信プロセッサモジュール(CPM)を統合したデュアルコアアーキテクチャをもつプロセッサです。最大400MHzのCPU周波数、同200MHzのCPM周波数、同100MHzのバススピードを実現する高い性能を持ち、厳しいコスト要求とセキュリティ機能を必要とするネットワークアプリケーション向けに最適化されています。業界標準の暗号化アルゴリズムをサポートした強力なセキュリティエンジンがハードウェア上に実装されています。
eBinder for PowerPCは、MPC82xxの評価用ボードであるフリースケール社製MPC8272ADS上で動作します。また、コンパイラはGNUコンパイラに対応しています。
なお、11月15日~17日にパシフィコ横浜で開催されるEmbedded Technology 2006 組込み総合技術展の弊社ブース(A-13)にて、本製品のデモを展示します。
▽eBinder詳細
http://www.esol.co.jp/embedded/ebinder.html
▽フリースケール社製「MPC82xx PowerQUICC IIプロセッサ」詳細
http://www.freescale.com/webapp/sps/site/taxonomy.jsp?nodeId=0162468rH3Jk192977
▽フリースケール社製「MPC8272ADS」詳細
http://www.freescale.com/webapp/sps/site/prod_summary.jsp?code=MPC8272ADS&parentCode=MPC8248&nodeId=0162468rH3Jk192977
イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「フリースケール社との協力のもと開発を進めてきたeBinder for PowerPCは、μITRONベースシステムでPowerPCを使うソフトウェア開発向けに最も適した開発環境です。新規開発時にはもちろんのこと、既存のμITRONベースシステムをパフォーマンスの高いPowerPCを移行する際に有用です。イーソルは、eBinderとPrKERNELv4のほか、高速なTCP/IPプロトコルスタックやメールクライアントライブラリ、SNMPスタックやWebサーバなど、各種のネットワークプロトコルを取り揃えています。あわせて使うことでシステムの雛型が即座にできあがり、上位のアプリケーション開発にすぐに着手できます。開発現場のニーズに合わせて、単体の製品から、トータルなソリューションまでを提供していくことで、PowerPCを使うシステム開発のエンジニアをバックアップしていきます。」
■補足資料
○eBinderについて
eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。
▽eBinder詳細
http://www.esol.co.jp/embedded/ebinder.html
○PrKERNELv4について
PrKERNELv4は、1999年のリリース以来、携帯電話やデジタルカメラなどのデジタル家電、カーナビゲーションシステム、プリンタからFA機器までの幅広い分野で多くの実績を持つ、代表的なμITRON仕様のリアルタイムOSです。μITRON4.0スタンダードプロファイルに完全準拠しており、各種組込みシステムに最適なプログラムサイズで、優れたリアルタイム性能を実現します。また、ミューテックス、可変長メモリプール、資源の動的生成などのさまざまな拡張機能やPrKERNELv4独自の拡張機能を実装しています。カーネル共通部分はMISRA-Cに準拠しています。
▽PrKERNELv4」詳細
http://www.esol.co.jp/embedded/prkernelv4.html
○イーソル株式会社 について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群「eParts」 のラインナップがあります。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。
*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectはイーソル株式会社の登録商標です。
*eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARD、PrMTPはイーソル株式会社の商標です。
*PowerPCは、IBM Corporationの商標です。
*TRONは"The Real-time Operating system Nucleus"の略称です。
*ITRONは"Industrial TRON"の略称です。
*μITRONは"Micro Industrial TRON"の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernelはコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。