中外製薬、抗悪性腫瘍剤「ハーセプチン」のHER2過剰発現手術可能乳がんの適応追加を申請
抗悪性腫瘍剤「ハーセプチン(R)」
HER2過剰発現手術可能乳がんの適応追加申請について
中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山治](以下、中外製薬)は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体抗悪性腫瘍剤「ハーセプチン(R)注射用60、同150」[一般名:トラスツズマブ(遺伝子組換え)]の、HER2過剰発現が確認された手術可能乳がんに対する適応追加申請を本日、厚生労働省に行いましたので、お知らせします。
「ハーセプチン(R)」は、がんを誘発する特定の遺伝子により産生されるHER2と呼ばれる蛋白質を標的とし、その機能を遮断するように創製されたヒト化モノクローナル抗体です。同剤は、日本を含む90以上の国または地域で承認され、米国ではジェネンテック、米国および日本を除いては、ロシュにより販売されています。国内では「HER2過剰発現が確認された転移性乳癌」を適応として2001年4月に承認を取得、同年6月に発売されました。
HER2の過剰発現は乳がん全体の25~30%で認められており※、このような患者さんでは予後が不良であると報告されています。現在「ハーセプチン(R)」は、HER2が過剰発現している転移性乳がんの患者さんへの標準治療薬として国内外で広く使用されています。
「ハーセプチン(R)」の早期乳がんに対する術後補助療法としての有効性を確認する目的で、四つの大規模なグローバル臨床試験が実施されており、日本からもその臨床試験の一つであるHERA試験に参画しています。
中外製薬では、HERA試験全体の中間解析結果に加え、本試験に国内から登録された患者さんにおける有効性および安全性についての結果を取りまとめ、本日、適応追加の申請をいたしました。
なお、海外での「ハーセプチン(R)」の早期乳がんに対する適応に関しては、本年5月に欧州医薬品審査庁、11月に米国食品医薬品局より承認を取得しています。
※Slamon DJ et al.Science 1989;224 (4905):707-12
HERA試験について
ロシュと欧州の乳がん臨床研究グループであるBreast International Groupが国際共同治験として実施しているHERA試験は、乳がん患者を対象として実施された術後補助療法に関する試験では最大規模のもので、患者登録は2001年12月に開始され、世界39カ国、約480施設から、約5,100名のHER2陽性患者が登録されました。
HERA試験は無作為化比較試験であり、HER2陽性の早期乳がん患者を対象に、標準的な術前または術後補助化学療法および放射線治療(該当患者のみ)を施行した後、1年または2年にわたる3週間毎の「ハーセプチン(R)」投与群と非投与群で、有効性および安全性に関する比較検討が行われています。
なお、HERA試験には国内医療機関も参加していますが、既に患者さんの登録は終了しています。
以上