MM総研、「IPテレフォニーシステム市場動向調査」結果を発表
中小企業への普及が進むVoIP製品市場
―IPテレフォニーシステム市場動向調査―
■IPテレフォニー市場は2008年度に1,000億円市場へ
■IP-PBX、SIPサーバ市場に強いNECが約3割のシェア
MM総研は12月1日、2006年度上期実績でのIPテレフォニーシステム市場を調査し、結果をまとめた。それによると、IPテレフォニーシステム市場は05年度出荷実績835億円、06年度出荷見込み894億円と7%の成長となる見通しだ。
06年度上期は416億円の製品出荷で05年度上期に比べ約6%の増加となった。06年度上期のメーカー別出荷金額を見るとIP-PBX、SIPサーバ市場に強いNECが3割のシェアを占める結果となった。
ここ数年で、ブロードバンド&IPサービスの普及に伴い、通信コスト削減などを目的にしたIP電話システムの導入が進んでいる。さらにSIPサーバやIP-PBXによるオフィス内線のフルIP化も進展し、電話のIP化に加えて、音声とデータ通信の融合ソリューションも拡大している。ただし、ユーザー規模別に見ると、大手企業においてはIP化が浸透し、市場拡大が望みにくい状況となってきた。しかし、中小・中堅企業では、まだIP化の進んでいないことが多く、今後の市場拡大が見込まれる。
MM総研では、IPテレフォニーシステム市場は08年度に1,028億円にまで成長すると予測する。
■IPテレフォニーシステムが市場の61%を占めるまでに成長
05年度IPテレフォニーシステム市場は835億円に達している一方、旧タイプの非IP対応テレフォニーシステム市場は498億円までに落ち込んでいる。フルIP化を実現するIPテレフォニーシステムは2003年頃から普及が進み、メーカーもすでに販売する製品の大半をフルIP対応製品に切り替えている。ただし、IP対応製品であっても、ユーザーがIP内線等を実装していないケースも多く、実需ベースのIPテレフォニーはまだ拡大の余地が大きい。
■100回線未満の小容量システム市場は4年間で5倍に成長
04年度の小容量システム市場規模は市場全体のうち6%に留まるが、05年度には市場全体の8%まで上昇し、08年度には04年度の5倍まで成長する見込みだ。市場構成比では、中小容量システム合計で全体の5割を占めるものと予測した。この背景には中小市場のIP投資が活性化し始め、各メーカーがVoIP対応の小容量システム・ソリューションを積極的に投入していることなどが上げられる。中小企業市場で音声系ネットワークのIP化を牽引しているのは、コスト削減への期待感が最も大きな要因として考えられる。現状では大企業のように音声/データの統合や、そこから生まれる付加価値の高いアプリケーションが利用されているわけではなく、当面は「コストメリット」の市場をめぐって、各社の製品競争・価格競争が展開されるものと考えられる。しかし、大容量光回線の普及により、企業のブロードバンド回線に余裕が生じることから、いずれは、動画などのコンテンツを活用したアプリケーションが、中小企業のIPテレフォニーシステムで利用されるようになっていくだろう。
(※参考資料は添付資料参照)