三菱商事、岩手大と「ダイカストにおけるフラーレンの離型効果の評価」の共同研究に着手
ダイカスト分野におけるフラーレン離型効果に係る岩手大学との共同研究
この度、三菱商事株式会社(東京都千代田区、社長:小島順彦)と国立大学法人岩手大学(岩手県盛岡市、学長:平山健一)は、「ダイカストにおけるフラーレンの離型効果の評価」に係る共同研究に着手しました。
アルミニウムやマグネシウムなどのダイカスト製品は、自動車部品やパソコンの部品として広く使われており、成長著しい産業分野です。しかし、ダイカスト製造時に金型への焼き付きが頻発し、生産効率が上がらないという製造現場での問題が生じています。
100%ピュアーな炭素素材であるフラーレンは、金型素材である鉄と馴染みが良く、一方で、アルミやマグネシウムとは馴染まない特性があります。さらに、工業素材としてのフラーレンは、柔らかい球状分子結晶構造であるが故に、金型表面のこまかな凹凸に均一に塗布出来ると考えられています。また、フラーレンの反応性の高さから、アルミ溶湯熱によって金型面と反応し、強固な炭素膜を形成する効果も期待されています。
三菱商事は、ダイカスト金型の冷却兼離型剤として、フラーレンを一般的に用いられている水系離型剤と併用して使用することにより、金型への焼き付き頻度を大幅に削減出来るのではないかと考えました。そして、フラーレンの用途開発の一環として、これまで、フラーレンの製造販売会社であるフロンティアカーボン株式会社(東京都千代田区、社長:奥山克己)と共同で、ダイカストメーカーの協力を得て、フラーレンの離型効果の確認を行って参りました。その結果、使用条件にもよりますが、現象面でフラーレンの優れた離型効果が確認出来ました。そこで、今回、離型メカニズムの解析と各種データの取得を目的に、本年4月より日本初の「金型・鋳造工学専攻」過程を設けるなど、本分野において先駆的な役割を果たしている岩手大学との間で、共同研究を実施することとしたものです。
共同研究期間は本年11月より来年7月までを予定しており、その成果をフロンティアカーボンによる商品開発にフィードバックし、出来上がった商品を三菱商事の販売ネットワークに乗せてダイカストメーカーに販売して行く計画です。又、共同研究で得られたデータを販売ツールとして活用する考えです。
以 上
<国立大学法人岩手大学の概要>
学長: 平山 健一
所在地: 岩手県盛岡市上田町3丁目18-8
設立: 昭和24年岩手大学設立
学部等: 工学部、人文社会科学部、教育学部及び関連大学院を有する
平成18年度学部入学者は1,100名余り。教職員数は800名を超える。
その他:
北上市に工学部附属の金型技術研究センターを有し、地域金型関連企業とも連携を取り、金型技術の研究開発及び人材育成に力を注いでいる。
また上述の通り、本年4月より大学院に日本で初めて金型・鋳造工学専攻過程を設置。
<フロンティアカーボン株式会社の概要>
会社名: フロンティアカーボン(株)式会社
代表取締役: 奥山 克己
所在地: 東京都中央区京橋1-8-7
設立: 2001年12月
従業員: 約30名
資本金: 60.5億円(2006年10月25日現在)
株主
三菱化学株式会社
三菱商事株式会社
ナノテクパートナーズ1号(ファンド)
事業内容: フラーレン等のナノカーボン製品の製造及び販売