米ザイリンクス、I/O機能を最適化したFPGA製品「Spartan-3Aファミリ」を発表
ザイリンクス、多ピンでI/O機能を重視、世界で最も低コストのFPGA、
Spartan-3Aプラットフォームを発表
高いI/Oゲート比、低消費電力、不正コピー対策機能が要求される
量産アプリケーション向けに低コストFPGAの新しい選択肢を投入
プログラマブル・ロジック・ソリューションの世界的リーダであるザイリンクス社は12月5日(中国:北京時間)、低コストの量産向けSpartan-3シリーズを拡充しI/O機能を最適化したFPGA製品Spartan-3Aファミリを発表した。このSpartan-3Aプラットフォームは、ロジックの集積度よりもI/Oの数や性能が重視されるアプリケーションに向けて低コストなソリューションを提供する。業界で最も広範囲なI/Oスタンダード(26種類)および優れた低消費電力モードとコンフィギュレーションモード、さらには不正コピー対策機能をサポートするSpartan-3A FPGAは、ディスプレイ・パネル・インターフェイス、ビデオ/チューナ・ボード・インターフェイスおよびビデオ・スイッチングのような民生機器や産業機器分野における新しい量産アプリケーション向けに、柔軟性に富み、コスト低減を可能とするソリューションを提供する。
株式会社ナナオの映像技術開発部 山本正人氏は「最新の当社ディスプレイにはザイリンクスのSpartan-3を採用して量産出荷している製品があります。
採用の理由はSpartan-3 FPGAは低コストである上に、輝度均一性の実現により画像品質を向上させるユニフォミティ補正機能やOSD(On Screen Display)など多くの機能を実現するのに十分な高い性能も兼ね備えていたことによります。またASICの開発期間やコストと比較すると、製品のタイム・トゥー・マーケットにも大きく貢献しています。ザイリンクスのFPGAは、このようなソリューションとともにナナオ製品には欠かせないデバイスとなっています」と語っている。
◆応用範囲を拡大するFPGA
量産市場におけるザイリンクスのシェア拡大には、高い柔軟性とコストメリットを備えたSpartanシリーズが大きく寄与している。Spartanシリーズの実績は、1998年の導入以来現在までに累積2億個の出荷を記録し、ザイリンクスの全社売上で26%を占めるまでに成長している。
I/O機能を重視したプラットフォームが追加されたSpartan-3ジェネレーションは、家庭や自動車内および製造工場など、先端的ネットワークの領域で大きな需要が期待されるアプリケーションを狙った低コストFPGAで、10億ドル規模の世界市場をさらに拡張するものである。フラットパネル・ディスプレイ、ワイヤレス・ネットワーク、住宅用ゲートウェイ、およびIPセットトップ・ボックスのような民生機器や無線機器はアジア太平洋地域において2億8,000万ドルのPLD市場を形成している。アジア太平洋地域ではSpartan-3ジェネレーションが最近の四半期(2006年7月~9月)に1年前に比べて275%という大きな成長率を記録している。産業機器部門で需要の伸びを支えているのはビデオ・セキュリティおよびロボット関連製品のアプリケーションであり、この傾向は特にヨーロッパで顕著である。
◆Spartan-3Aプラットフォームの特徴
90nmテクノロジを適用した新しいSpartan-3Aプラットフォームは、最大140万システムゲート、最大502個のユーザI/Oを搭載した5種類のデバイスで構成されている。1 I/Oあたりのコストで業界で最も低コストを実現したこの新ファミリは、電力管理、コンフィギュレーション方法、およびデザイン・セキュリティの面でも大きな利点を備えている。Spartan-3Aプラットフォームは以下の特徴を備えている。
・最も広範囲なI/Oスタンダードのサポート:
民生用ビデオ・アプリケーション用DVI(Digital Visual Interface)およびHDMI(High-Definition Multimedia Interface)のサポートを可能とした業界初のTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)適合FPGAであり、26種類の一般的なシングルエンドおよび差動信号スタンダードに準拠した業界唯一のFPGAでもある。コスト面でも最適化されたソースシンクロナス・インターフェイス・テクノロジを採用することで、最善のデザイン・マージンを保証する。PCI、PCI Express、USB、Firewire、CANおよびSPI(Serial Peripheral Interface)等の各種インターフェイス向けの検証済みのソリューションに加えて、最高333Mbpsまでの一般的な低コストDDRおよびDDR2メモリ・インターフェイスをすべてサポートしている。
・業界唯一の2種類の電力管理ソリューション:
40%を超えるスタティック消費電力削減が可能なサスペンドモードでは、1マイクロ秒以下で立ち上がる高速再起動、複数の時間ドメインにまたがるシステムレベル同期等の機能を搭載。ハイバーネートモードではスタティック消費電力の99%低減となり、100ミリ秒以下の再起動速度を可能とする。
・包括的なコンフィギュレーション機能:
最善のデザイン・マージンを保証するソースシンクロナス・インターフェイス・テクノロジを採用。マルチブート機能を強化させるとともに、ウォッチドッグタイマ機能を使用することで、いかなる状況においてもゴールデンコンフィギュレーションファイルの起動を約束。
・不正コピー対策機能:
Spartan-3Aは、DeviceDNAとよばれる各デバイスごとに違ったシリアルナンバを備えた業界初のFPGAである。この永久的なIDコードはハードウェアおよびソフトウェアIPを保護し、デザイナに認証、不正コピー防止、およびIP活性化の管理等のためにカスタム・アルゴリズムの実行を可能とする柔軟性を提供する。
◆価格設定と供給体制
ISEデザイン・ツールセットや豊富なSpartan-3ジェネレーション用IPライブラリ、さらにはSpartan-3Aスタータ・キットにより、Spartan-3Aの評価、設計をすぐにでも開始することができる。エンジニアリング・サンプルして現在XC3S700AとXC3S1400Aデバイスが提供されており、XC3S50A、XC3S200AおよびXC3S400Aは2007年の第1四半期に提供される予定である。
量産開始は2007年から、価格はXC3S700Aが11.95米ドル、XC3S1400Aが16.95米ドルを予定している(25万個購入時)。
◆ザイリンクスについて
ザイリンクス社(NASDAQ:XLNX)は、プログラマブル ロジック ソリューションを提供するリーダである。1984年に創立され、米国カリフォルニア州サンノゼに本社を持つ。日本においては、1989年にザイリンクス株式会社を設立し、FPGAおよびCPLD製品とその開発支援システムの販売とサポートを積極的に行っている。同社についての詳細な情報は日本語対応ホームページhttp://www.xilinx.co.jpで公開している。