富士キメラ総研、「2006年 ハイブリッドマテリアルの現状と将来展望」の調査結果を発表
『2006年 ハイブリッドマテリアルの現状と将来展望』
~機能付与ベース材料市場、2006年4,790億円を見込む~
近年、有機・無機ハイブリッドマテリアル、ナノハイブリッド化の研究開発が盛んに進んでおり、次世代に向け絶え間なくハイテクノロジー化が要求されている。行政によるハイブリッドマテリアル化推進の動きもあり、ブレースルーをもたらす同素材への期待は益々高まっている。
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(本社:東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 社長:表良吉)では、『2006年 ハイブリッドマテリアルの現状と将来展望』(A4判272頁)をまとめた。本調査資料は、樹脂系、金属系、セラミックス系などの材料を複合化することより高機能化したハイブリッドマテリアル市場に於いて、主要な機能付与ベース材料、及びエレクトロニクス分野や医療分野等に於ける先端製品の市場分析、技術トレンドを把握することで、ハイブリッドマテリアル市場の今後の方向性を明確化することを目的とした。
調査対象は、A.機能付与ベース材料…22品目、B.先端ハイブリッド製品…27品目、計49品目。
ナノテクノロジーの延長で、数多くのハイブリッドマテリアルのトライアルが注目されている。その中で、市場の立ち上がりを期待できるのはほんの一握りだが、生活のインフラが利便性を追及し、さらに環境といった要因が加わり続ける限り、マテリアルのハイブリッド化が終わることはない。現在は1次元的な(2種材料中心)のハイブリッド化だが、将来的には2次元、3次元のハイブリッド化にまで進展することも十分に考えられる。
ハイブリッドの目的は"機能付与"であり、その大半は有機・無機のハイブリッド化となっている。ハイブリッド化によって環境対策・高機能化を実現することが可能になるわけだが、調達リスク、コスト低減といった面からも期待されている。
しかし、ハイブリッド化は単なる従来品の機能アップとは異なり、新たな市場の創出(既存市場の代替)に結びつく。例えば炭素繊維(PAN系)は樹脂とマトリックスし金属代替(軽量化等)する材料だが、当該市場は2006年では840億円の市場が見込まれ、その後もスポーツ・レジャー、航空宇宙といった幅広い用途での需要増が見込まれ、2010年までには1,365億円の市場を期待されている。
その他、本調査では機能付与を主な目的とした材料の市場を分類しており、これによると2006年で約4,790億円が見込まれている。そのほぼ半分を繊維系が占めている(52%)が、メソポーラス材料市場が2007年以降に立ち上がりを見込まれており、さらにはナノマテリアル市場においても現時点では殆ど市場を形成していない場合が多いため、2010年までに倍近い市場が立ち上がると予測される。そのため当該市場は2010年までに約7,599億円と、2006年比で1.58倍の市場規模を形成するものと期待されている。
※添付資料を参照
先端ハイブリッド製品は2006年1兆400億円の市場が見込まれているが、セラミックコンデサや有機ELなど成長が期待される品目が多く、2010年予測で約1兆2,413億円と約1.2倍の規模が予測されている。
今後の成長が特に期待される品目の一例を挙げると、銀ナノペーストは、各種配線を従来スクリーン+フォトリソからインクジェットパターンへの直描のトライアルがある。銀ナノベースを利用することで低温焼成も見込め、基盤のプラスチック化も考えられる。2006年は2.5億円の見込みと市場は立ち上がったばかりだが、2011年には12億円と堅調な拡大が期待できる。