松下電工、乗馬型他動訓練機を用いたトレーニングによる姿勢とO脚への改善効果を発表
乗馬型他動訓練機を用いたトレーニングにより姿勢とO脚への改善効果を検証
~第21回 生体・生理工学シンポジウム(2006年11月開催)で発表~
松下電工株式会社は、愛知医科大学丹羽滋郎名誉教授ら(※1)のグループと乗馬型他動訓練機(※2)の姿勢維持に必要な筋力の向上効果に着目し、軽度O脚を有する中年女性を対象に合計1年におよぶトレーニングを行い、O脚、姿勢への改善効果を検証しました。
その結果、乗馬型他動訓練機の長期トレーニングにより、O脚の改善と姿勢の改善が確認されました。同時に軽度膝痛者の改善も認められ、乗馬型他動訓練機を用いたトレーニングは、姿勢悪化、O脚、膝痛への予防効果があることがわかりました。
(※1)愛知医科大学丹羽滋郎名誉教授 :
愛知医科大学医学部整形外科学元教授、日本整形外科学会名誉会員、日本膝学会名誉会員、日本運動療法推進機構理事他、膝痛症、ヘルスプロモーション関連著書多数。
(※2)乗馬型他動訓練機 :
馬の歩行動作を簡素化した揺動パターンを繰り返すことにより、座っている使用者に対して、姿勢維持のための無意識の運動をさせる機器。今回は、騎乗時の姿勢を安定させ、さらに股を挟み込む力を働かせる工夫を施したシートを搭載した機器を実験に使用した。
■検証結果
軽度のO脚と膝痛を持つ後期中年女性20名(56.6±3.7歳)を対象に、乗馬型他動訓練機の1回15分から30分、週4回、24週間のトレーニングを実施した結果、
(1)O脚と姿勢の改善効果を認めました
(2)膝痛の改善効果を認めました
(3)これらの改善効果は、股関節内転筋力をはじめとする股関節、さらに体幹・大腿・膝の筋力向上によることが示唆されました
■検証方法(2005年3月~2006年4月)
運動習慣のない、軽度のO脚と膝痛を持つ後期中年女性20名(56.6±3.7歳)を対象としました。対象者はA、Bの2グループに分け、(Aグループ)前半24週間騎乗、後半24週間非騎乗群(Bグループ)前半24週間非騎乗、後半24週間騎乗群として観察しました。
乗馬型他動訓練機には、それぞれ12週目までは1回15分、12週目からは1回30分、週4回騎乗してもらいました。計測は、・トレーニング前・12週目・24週目・36週目・48週目に行いました。1)デジタル写真による全身姿勢撮影(※3) 2)下腿のレントゲン写真撮影 3)股関節内転筋力・外転筋力測定(※4) 4)膝痛の自覚症状の評価(※5)を実施しました。
(※3)デジタル写真による全身姿勢撮影 :
身体の解剖学的指標計20か所にマーカーを付け、正面、背面、左側面の3方向から同時に写真撮影を実施。
(※4)股関節内転筋力・外転筋力測定 :
ベッドに仰臥位姿勢で左右同時に計測できるように自作した筋力計を使用。
股関節内転筋力は太股を閉じる力。股関節外転筋力は太股を開く力。
(※5)膝痛の自覚症状評価 :
日本整形外科学会版膝関節症機能評価尺度(JKOM)を使用。
■背景
高齢化社会に急速に移行しつつある我が国において、中高齢者の健康は大きな社会的な話題です。さらに、女性にとっていつまでも若々しくありたいと言う願いは世代を超えたものです。
老いを表す代表的な身体的な特徴の一つが姿勢であり、姿勢も加齢に伴って変化し、この変化は加齢に伴う筋力の衰えと生活習慣によって起こって来ます。姿勢の変化は、猫背(円背)、腰曲がり、膝の変形(O脚:ガニ股、屈曲拘縮:膝が伸びない)で代表されます。このことは、立位姿勢と膝の変形との関連が深いことを示しています。特に、女性に多い変形性膝関節症の多くではこの変化を明らかに示しています。
今回、乗馬型他動訓練機を用いることによって、健康な姿勢を維持する各部位の筋力向上と姿勢との関連について検証を試みました。
■ 検証結果
※ 関連資料 参照