アンリツ、ベクトル信号発生器「MG3700A」の機能を強化
業界初
Mobile WiMAXのMIMO機能受信系評価に対応
ベクトル信号発生器MG3700A機能強化
アンリツ株式会社(社長:戸田 博道)は、ベクトル信号発生器MG3700A用アプリケーションソフトウェアであるMobile WiMAX IQproducer MX370105Aの機能を強化。Mobile WiMAX(※1)のMIMO(※2)機能のダウンリンク(基地局から端末)の受信系評価に必要な波形パターンの生成を可能としました。本ソフトウェアの販売を12月26日から開始いたします。
MX370105Aは、Mobile WiMAXの標準規格であるIEEE802.16eに準拠したMobile WiMAXの波形パターンを自由に生成できるソフトウェアです。生成した波形パターンをMG3700Aで使用することで、Mobile WiMAX機器の評価に利用できます。今回、Mobile WiMAXの特徴として大きな注目を集めているMIMOの波形パターン生成機能を追加しました。この機能により、従来は任意波形発生器・信号発生器・位相調整器など数種類の測定器が必要とされていたMIMO機能のダウンリンクの受信系評価がMG3700Aで行え、設備コスト削減や開発作業の効率化に貢献いたします。
ベクトル信号発生器MG3700A
MG3700Aは、GSM/EDGE、 W-CDMA、CDMA2000 1X/1xEV-DO、Mobile WiMAX、IEEE802.11a/b/g 、ISDB-T1セグメント/BS/CS/CATVに準拠した各種移動通信やGPS、Bluetooth、無線LANなど主要な通信方式のデジタル変調信号を出力できます。160MHzの任意波形ベースバンド発生器を標準で内蔵しており、各波形パターンファイルを選択するだけで様々な通信方式のデジタル変調信号が出力できます。さらに標準で内蔵している2つのメモリにより、希望波と変調妨害波/AWGNの出力が可能。従来は2台の信号発生器を必要としていた受信特性試験を、1台のMG3700Aで行えます。マルチシステム化する携帯電話端末、モジュール、デバイスなどの性能評価を効率良く行えます。
[開発の背景]
通信システムの高速化・広帯域化は急激に進展しており、次世代通信方式の開発が常に進められています。現在、次世代通信方式の一つとして注目されているのが、Mobile WiMAXであり、世界各国でトライアルが活発化し、一部の国ではサービスが始まっています。Mobile WiMAXは、Mobile Certification Wave2(※3)により、機能が規定されていますが、特にMIMO機能は、同一周波数上で異なるデータを転送できるため、周波数を効率良く利用できることから注目を集めています。
従来、MIMO機能の評価を行うためには、任意波形発生器・信号発生器・位相調整器など数種類の測定器を使用する必要があったため、開発作業の効率化が大きな課題となっていました。
アンリツは、2006年6月にベクトル信号発生器用PCソフトウェアとして、IEEE802.16eに準拠したMobile WiMAXの波形パターンを自由に生成できるMobile WiMAX IQproducer MX370105Aを開発。今回本ソフトウェアの機能強化を図り、MIMO機能を含めたMobile Certification Wave2へ対応しました。本ソフトウェアにより生成された波形パターンをMG3700Aで使用することで、MIMO機能に対応した機器・デバイスのダウンリンク(基地局から端末への通信)の受信系評価が可能。数種類の測定器を使用する必要がなく、開発効率の改善に貢献いたします。
[製品概要]
Mobile WiMAX IQproducer MX370105Aは、グラフィカルユーザインターフェースを備えたベクトル信号発生器MG3700A用PCソフトウェアです。モバイルWiMAXの標準規格であるIEEE802.16e に準拠した波形パターンが自由に生成できます。
今回新たに機能を強化し、Mobile WiMAXの各種機能を定めているMobile Certification Wave2に対応いたしました。MX370105Aで生成した波形パターンをMG3700Aで使用することにより、Mobile Certification Wave2が規定する各種機能の受信系評価が行えます。特にMIMO機能においては、数種類の測定器が必要とされていた作業がMG3700Aで行えます。
Mobile WiMAX IQproducer MX370105A
IEEE802.16e WirelessMAN-OFDMA(※4)のMAC(※5)仕様、PHY(※6)仕様に沿ったパラメータを自由に編集でき、MG3700A用波形パターンの生成が可能。また、Zone/Burst(※7)エリアの設定ならびにエリア拡大/縮小がマウス操作で簡単に行え、Sub-channel MAP(※8)の確認が容易に行えます。
MX370105Aにより生成した波形パターンをMG3700Aで使用することで、WirelessMAN OFDM変調のベースバンド信号およびRF信号を出力できます。また、ハードウェアオプションであるBER測定(MG3700A-031)を内蔵することで、一般的なBER測定器では対応できないIEEE 802.16eが求める「固定パターン」※9を用いた測定も可能です。
[対象市場]
■ Mobile WiMAX対応の機器/モジュール/デバイスの評価
[営業情報]
■販売開始 :平成18年12月26日
■予定販売台数(初年度1年間):国内/海外 合計 250セット
■価格 : Mobile WiMAX IQproducer MX370105A 70万円
<構成>
MG3700A + MG3700A-031 + MX370105A 390万円
[用語解説]
(※1) Mobile WiMAX
IEEE(米電気電子学会)で標準化が進められている高速無線通信規格。
モバイルWiMAXは、この規格を標準としており、モバイル機器でのブロードバンド接続を実現するもの。時速120kmの移動環境でも通信速度15Mbps(周波数5MHz幅利用時)という安定した通信が可能になることが見込まれている。
(※2) MIMO:Multi Input Multi Output
送受信ともに複数のアンテナを持ち、同一周波数軸上でデータの送受信を行う無線通信技術。
(※3) Mobile Certification Wave2
MIMOなどの機能を含むMobile WiMAXの認証に必要な機能の要件。
(※4) WirelessMAN OFDMA
WirelessMANは、Wireless Metropolitan Area Networks の略。都市エリア無線ネットワークのこと。OFDMAは、Orthogonal Frequency Division Multiple Access の略。直交周波数分割多重アクセスを意味する。
(※5) MAC:Medium Access Control Layer
WirelessMAN-OFDMAの制御層を表す。
(※6) PHY:Physical Layer
WirelessMAN-OFDMAの物理層を表す。
(※7) Zone/Burst
Zoneは、時間軸上でダウンリンクやアップリンクに割当てられたエリア。Burstは、時間軸及び周波数軸でユーザごとに割当てられたエリアのこと。
(※8) Sub-channel MAP
ZoneやBurstなどの割当てエリアを示した図。
(※9) 固定パターン
ある特定のビット列でBER測定をおこなう際に使用するデータ。IEEE802.16eに準拠した受信特性試験では、テストメッセージで固定パターンによる評価が求められている。