古河電工、分析・検査向けファイバーレーザーの製造販売を開始
高性能ファイバレーザの製造販売開始
-エレクトロニクス,バイオメディカル分野の分析・検査に最適なレーザ光源-
古河電気工業は、エレクトロニクス分野やバイオメディカル分野の分析,検査,精密加工に用いるレーザ光源として最適なファイバレーザ(注1)を開発し、2007年4月より製造販売を開始します。光通信分野で培った光関連技術を生かし、信頼性の高い高性能なファイバレーザを実現しました。最大50Wのシングルモード(注2)光出力で、特に偏波保持型(注3)ファイバレーザでは、波長変換デバイス(注4)と組み合わせることにより、可視光レーザや紫外光レーザを得ることができます。
本製品及び関連の製品を2007年1月17日から19日に東京ビックサイトで開催される第36回インターネプコン・ジャパン内のレーザ&オプティクス2007に出展します。
■開発の背景
ファイバレーザは、YAGレーザ(注5)に代表されるような従来の固体レーザに比較して、そのエネルギー変換効率の高さやビーム品質の良さから、近年注目を集めています。
当社では、国内の最大手として光通信用の光増幅器を長年にわたり開発、製造販売してきました。そこで培った増幅用光ファイバ、光半導体レーザ、受動部品、光制御技術、光ファイバ融着技術などを生かし、信頼性の高い高性能なファイバレーザを開発しました。
■製品の特長
本製品はコア径10μm以下のシングルモードファイバからレーザ光が出射されることにより、高いエネルギー密度と真円に近い良好なビーム品質を有しています。さらに、光受動部品技術と光制御技術を組み合わせることにより、高い光出力安定性と波長安定性を実現しています。
本製品の特性を生かすことで、分析や検査の分野では解析の高感度や高分解能化が期待でき、材料加工分野では精密加工が可能となります。特に偏波保持型ファイバレーザでは、波長変換デバイスと組み合わせることにより、高い変換効率で可視光レーザや紫外光レーザを得ることができます。
また、古河電気工業及び関連会社のOFSにはファイバレーザを構成する要素部品技術を有しており、お客様の要望に沿うようなカスタム製品の開発も迅速に対応できます。
<図1:ファイバレーザ製品の一例>
※ 関連資料 参照
<図2:ファイバレーザの応用例(緑色レーザ)>
※ 関連資料 参照
■製品データスペック(一例)
・シングルモード ランダム偏光型
動作モード : 一定光出力
最大光出力 : 50W
光出力安定性 : ±2%
波長 : 1030~1120nm
波長安定性 : ±1nm
ビーム品質(注6) : M2 <1.1
・シングルモード 偏波保持型
動作モード : 一定光出力
最大光出力 : 35W
光出力安定性 : ±2%
波長 : 1030~1120nm
波長安定性 : ±1nm
ビーム品質(注6) : M2 <1.1
■備考
本製品及び関連の製品を2007年1月17日から19日に東京ビックサイトで開催される第36回インターネプコン・ジャパン内のレーザ&オプティクス2007に出展します。
(お問い合せ先)IR・広報ユニット
TEL : 03-3286-3050
■用語解説
(注1)ファイバレーザ :
ファイバレーザは光ファイバを媒質に用いたレーザの総称です。レーザは誘導放出が可能な媒質の中に光を閉じ込め、光を増幅させます。この媒質に気体を用いるレーザ(例えば炭酸ガスレーザ)や固体を用いるレーザ(例えばYGA レーザ)、さらには半導体や液体など多種多様なものがあります。
(注2)シングルモード :
光ファイバのコア径を小さくして基本モードのみを伝播するようにしたものです。基本モード(単一モード)のみなので、到着時間のズレによる波形の歪を生じません。
(注3)偏波保持型 :
通常のシングルモードファイバでは、光がファイバを伝播中に偏波方向がランダムに変化してしいますが、これを抑制して一定の偏波で光が伝播出来るようにしたものです。
(注4)波長変換デバイス :
光ファイバの非線形効果を用い、光の波長を1/2、1/4などに変更できる光学素子です。
(注5)YAG レーザ(Yttrium Aluminum Garnet;イットリウム・アルミニウム・ガーネット) :
イットリウム・アルミニウム・ガーネットの結晶(Y3Al5O12)を共振媒体にした固体レーザで、現在エレクトロニクス分野などに幅広く使用されています。
(注6)M2 :
ビーム品質を示す指標として、M2が用いられます。M2は回折限界との比率を表しており、M2=1が理想的な光となります。