NECと中国電力など、高精度の位置・方向検知システムを開発
高精度の位置・方向検知システムの開発について
中国電力株式会社(本社:広島市中区,取締役社長:山下隆),有限会社アール・シー・エス(本社:尼崎市,代表取締役社長:河野公則)および日本電気株式会社(本社:東京都港区,代表取締役 執行役員社長:矢野薫)は,このたび,高精度で位置および方向を検知するシステムを開発しました。
本システムは,位置検知精度が±30cm程度,方向検知精度が±1度程度であり,汎用無線を用いたシステムとしては世界最高クラスの検知精度となります。
本システムは,ユニバーサル社会(※1)の実現を目指して開発が進んでいる自律移動支援システム(※2)への適用を目指しており,今後,更なる高精度化などの改良を進めるとともに,工場等における作業員の位置の把握や倉庫内における保管物の管理など,様々な用途への活用を目指して取り組んでいきます。
1.システム開発の目的
近年,ユニバーサル社会の実現を目指して,自律移動支援システムの開発が盛んに行われており,国土交通省と民間企業等による共同研究・社会実験の実施,自律移動支援プロジェクトの立ち上げなど,システムの開発・実証試験が続けられています。
しかし,これらのシステムが実用化されるためには,装置を設置するための支持物,装置間を結ぶ通信ネットワークなどが必要であり,多額の設備投資等が必要になることが予想されます。
中国電力グループでは,電柱,通信ネットワークなどの設備を保有しており,これらの設備やグループ会社の持つノウハウなどを有効活用することで自律移動支援システムの普及に貢献することが可能であると考え,システムの開発を促進するために,コア技術となる高精度で位置・方向を検知する技術の開発を行ってきました。
2.システムの概要
(1) システムの構成
本システムは,現在の位置・方向を確認してPDA(個人用携帯情報端末)などに情報を提供する「携帯端末」,位置および方向検知のために必要な情報を携帯端末に送る「基地局」,基地局の管理・制御を行う「基地局制御サーバ」の3種類の装置で構成されており,各装置間の通信には無線(IEEE802.15.4(※3))を使用しています。
(2)システムの特長
<1>高精度な位置・方向検知
アンテナの構成や携帯端末における計算処理方法などに独自の工夫を加えることで,高精度な位置・方向検知を行うことが可能になりました。
なお,7m間隔で基地局を設置して実験を行った結果,位置検知精度が±30cm程度,方向検知精度が±1度程度であることが確認できました。これは,携帯電話やカーナビゲーションシステムなどで一般的に使用されているGPSシステムと比較して,約10~100倍程度の高い検知精度になります。
<2>低価格でのシステム構成
基地局制御サーバと基地局間を無線で通信する構成にすることで,基地局ごとに通信線を布設する必要がなく,また汎用無線(IEEE802.15.4)を用いることで,安価なシステム構築が可能となりました。
<3> 初期設定・保守が容易
基地局制御サーバから無線で基地局の初期設定やメンテナンスを行うことができるため,初期設定や保守を容易に行うことができます。
3.開発スケジュール
※ 関連資料 参照
●位置・方向検知システム概要図
※ 関連資料 参照
以上
(※1)ユニバーサル社会
「誰もが安心して暮らすことができ,その能力を最大限に発揮できる社会」といった意味で用いられる。
(※2)自律移動支援システム
「移動経路」や「目的地」などの情報について,利用者に適応した形で情報提供・情報交換できるシステム。ユニバーサル社会実現のために必要なシステムとして開発が行われている。
(※3)IEEE802.15.4
短距離無線通信規格の1つであり,低消費電力,到達距離が大きいなどの特長をもつ。
<お客様からのお問い合わせ先>
NEC エネルギーソリューション事業部IT営業部
電話:(03)3798-6934