森永乳業、「ラクトフェリン」などに歯周病の原因菌の発育抑制作用など研究成果を発表
~森永乳業株式会社食品基盤研究所より~
森永乳業と新潟大学の共同研究
ラクトフェリンとラクトフェリシンの
歯周病原菌に対する抗菌活性について
~日本農芸化学会2007年度大会(2007年3月26日)発表内容のご報告~
森永乳業は、新潟大学大学院医歯学総合研究科との共同研究により、乳由来のたんぱく質『ラクトフェリン』とラクトフェリン由来の抗菌ペプチド『ラクトフェリシン』に、歯周病の原因菌の発育を抑制する作用があることを確認しました。この結果を、3月24日~27日に東京農業大学で開催される「日本農芸化学会2007年度大会」にて発表いたします。
【 ラクトフェリン、ラクトフェリシンとは? 】
『ラクトフェリン』は、ヒトなどの哺乳類の乳汁や唾液などに含まれるたんぱく質で、抗菌活性や免疫調節作用など様々な生理機能を示すことが知られています。
また、『ラクトフェリシン』はラクトフェリンが胃の酵素であるペプシンで消化されてできる強い活性を持った抗菌ペプチドです。
【 歯周病とは? 】
歯周病は、う蝕(虫歯)とならんで歯科の二大疾患で、成人の約80%が罹患していると言われています。歯周病になると、歯と歯肉の間に歯周ポケットが作られ、そこに歯周病菌が激増して歯肉に炎症を起こし、歯を支える歯槽骨を破壊します。なお、「プレボテラ・インターメディア」と「ポルフィロモナス・ジンジバリス」は歯周病の主要な原因菌です。
【 試験の概要 】
森永乳業は2006年での新潟大学との共同研究によるヒト試験で、ラクトフェリン入りトローチ錠の摂取をすることで歯周病患者の歯周病の原因菌「プレボテラ・インターメディア」の菌数が減少することを明らかにしております。
今回は試験管内で『ラクトフェリン』と抗菌ペプチド『ラクトフェリシン』が直接、「プレボテラ・インターメディア」などの歯周病菌を抑制するかどうかを検証しました。
<日本農芸化学会2007年度大会発表内容>
1.試験方法
「プレボテラ・インターメディア」ATCC25611株を対象菌とし、5または8時間培養後の歯周病菌の発育量を測定しました。
2.試験の結果
菌数107/mlの「プレボテラ・インターメディア」を8時間培養すると、8mg/mlの『ラクトフェリン』または0.4mg/mlの『ラクトフェリシン』の存在下で発育量が抑制されることが示されました(図1)。
また、菌数104/mlの「プレボテラ・インターメディア」を5時間培養すると、0.13mg/mlの低濃度の『ラクトフェリン』でも発育を抑制することが明らかになりました(図2)。同様の結果は「ポルフィロモナス・ジンジバリス」についても確認されました。
以上の結果から、『ラクトフェリン』と『ラクトフェリシン』は「プレボテラ・インターメディア」などの歯周病菌に対して直接抗菌活性を示すことが明らかになりました。これにより、歯周病患者での『ラクトフェリン』の効果が裏付けられ、新たに抗菌ペプチド『ラクトフェリシン』の抗歯周病菌活性が明らかになりました。
森永乳業では今後もラクトフェリンの歯周病に対する研究開発に積極的に取り組んでまいります。
【図1.ラクトフェリンまたはラクトフェリシン存在下でのプラボテラ・インターメディア発育量】
※ 関連資料参照
【図2.ラクトフェリン存在下でのプラボテラ・インターメディア発育量】
※ 関連資料参照
以上
今回発表した研究成果は、森永乳業製のラクトフェリンを用いた試験結果となりますが、森永乳業(株)および森永乳業グループ会社より販売しておりますラクトフェリンを使用した商品の効果・効能を示したものではございません。
(※参考資料あり)