沖電気、利得結合型DFBレーザ技術を用いた光アイソレータフリーを実用化
世界初、利得結合型DFBレーザで光送信モジュールの光アイソレータフリーを実用化
~光アイソレータフリー化技術でFTTHの長距離化普及へ弾みをつける~
OKIはこのたびFTTH(ファイバ・トゥー・ザ・ホーム)(注1)などで長距離通信に使われる光モジュールを小型・低価格にするための、光アイソレータ(注2)の要らない光源用半導体レーザを利得結合型(注3)DFB(分布帰還型)レーザ技術(注4)を用いた独自の光アイソレータフリーを世界ではじめて実用化しました。今後、MEMS(注5)技術を用いたOKI独自のシリコンレンズ(注6)と組み合わせて商品化をめざします。
通常のFTTHなどで使われる光源は、短距離(~10Km以内)の場合、多モード発振するファブリペローレーザ(注7)が使用されます。一方、長距離(~20Km)の場合、単一モード発振する屈折率結合型(注8)DFBレーザが使用されます。この場合、屈折率結合型DFBレーザは反射戻り光によって雑音が増えて送信後の受信感度劣化を引き起こします。このため、反射戻り光を遮る光アイソレータを挿入する必要がありました。光アイソレータは、モジュール部品の中でも高価で、サイズもミリオーダーを要するため、コスト・サイズの点で、光アイソレータフリーの要望が非常に強くあります。
今回OKIは、反射戻り光耐性を向上させて反射戻り光入射時の相対強度雑音劣化を改善させる利得結合型DFBレーザを光アイソレータフリー化技術に応用させること成功いたしました。利得結合型DFBレーザを用いることにより光モジュールの通常動作温度範囲である0-70℃において、強制的に反射戻り光(-14dB)を入射させた状態で、ビットレート1.25Gb/s、距離25kmの伝送実験をした結果、受信感度劣化がほとんどなく、通常の屈折率結合型DFBレーザ(注8)と比較しても反射戻り光耐性が向上していることを確認致しました。
製造工程は、従来構造のDFBレーザとほぼ同等なため、チップ製造コストも同程度の見込みです。OKIでは、2007年6月には評価用サンプルを提供予定です。長期的には、OKI独自技術であるシリコンレンズを用いた小型・安価な光通信用部品に搭載する商品化をめざしています。
今回得られた技術開発成果については、米国カリフォルニア州アナハイム市にて開催されている Optical Fiber Communication Conference and the National Fiber Optic Engineers Conference (OFC/NFOEC2007)(http://www.ofcnfoec.org/)で米国時間3月26日(月)に論文発表を行いました。
(図1)光アイソレータフリー化送信モジュール用に利得結合型DFBレーザをCANパッツケージに搭載した例
添付資料をご参照ください。
【 用語解説 】
注1:FTTH(Fiber to the home)
加入者宅まで接続された光ブロードバンド網。
注2:光アイソレータ
光を単一方向にだけ通す光部品、途中で反射して戻ってくる光を遮る機能がある。
注3:利得結合型
レーザ内部の導波路層において、利得(損失)を周期構造にして単一モードで発振させること。
注4:DFB(Distributed Feedback)レーザ
半導体レーザの活性層近傍に、回折格子構造を形成し、その周期に依存した波長だけが強まるので、単一モードで発振するレーザ。
注5:MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)技術
機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を1つのシリコン基板上に集積する技術。
注6:シリコンレンズ
OKIにより2002年に開発され、LSI製造技術で量産加工できる光通信用の超小型レンズ。
注7:ファブリペローレーザ
均一な構造の活性層内部の光が、共振器内を往復して増幅されるため、レーザ発振は、共振器長に依存した多数のモードで発振する。基本的に反射戻り光の影響が、モード内に分散されるので雑音増加がすくないため光アイソレータを必要としないレーザ。
注8:屈折率結合型 DFBレーザ
レーザ内部の導波路層において屈折率を周期構造にして単一モード発振させるDFB レーザ。
※沖電気工業株式会社は、グローバルに認知される成長企業を目指し、通称を「OKI」とします。
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【 本件に関するお客様からのお問い合わせ先 】
研究開発本部 ネットワークデバイスラボラトリー
e-mail:rdc-info@oki.com