カルピス、「ラクトトリペプチド(VPP・IPP)」に血管内皮機能改善など研究成果を発表
日本薬学会(3/28)にて発表
血圧降下作用のある『ラクトトリペプチド(VPP・IPP)』に血管内皮機能改善を確認
~循環器障害予防の可能性も示唆~
カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:石渡 總平)基礎研究フロンティアラボラトリーは、当社が発見した食品由来のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドであるVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)が、血管内皮機能を改善するとともに、循環器障害を予防する可能性があることを、国立循環器病センター 内科心臓血管部門の北風政史部長の協力により確認しました。この研究成果は、本日の日本薬学会(3/28)で発表します。
当社はこれまで、軽症高血圧者を対象にした試験でVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を含む『カゼイン酵素分解物』が、低下した血管内皮機能を改善することを確認しています。
今回の研究により、この改善が「ラクトトリペプチド」を有効成分としてもたらされる可能性が示されました。また、同じ試験により、「ラクトトリペプチド」が循環器障害を予防する可能性が示されました。
【 背 景 】
当社は、発酵乳「カルピス酸乳」の生理機能研究を1970年代に本格的に開始し、血圧降下作用などを実証してきました。
血圧降下作用の研究では、「カルピス酸乳」の発酵過程で、乳たんぱく質のカゼインから得られるVal-Pro-Pro(VPP)、Ile-Pro-Pro(IPP)の2種類のペプチドが、血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する作用があることがわかり、「ラクトトリペプチド」と名づけました。現在まで、正常高値血圧者、軽症および中等症高血圧者への血圧降下作用や安全性などの研究で成果をあげています。
昨年10月、当社独自の素材で食品由来のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドであるVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を含む『カゼイン酵素分解物』を摂取した研究を実施し、『カゼイン酵素分解物』に血管内皮機能(*1)を改善する働きがあることを国際高血圧学会で発表しました。
このたび、当社は、『カゼイン酵素分解物』に含まれるVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)が血管内皮機能を改善する成分であるかを確認するため、国立循環器病センター北風部長の協力を得て研究を行いました。
【 試 験 】
血管内皮は、一酸化窒素(NO)などの血管調節因子を産出し、血管の収縮や弛緩、血液の線溶、凝固をコントロールすることなどにより血管機能を維持し調節します。今回の試験では、生後8週のラット(Wistar系雄ラット)に、一酸化窒素合成酵素阻害薬を水に溶解して摂取させることで、血管内皮に障害を持たせるようにしました。
この血管内皮障害ラットに、水に溶解した一酸化窒素合成酵素阻害薬に加えて、VPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を溶解した水を摂取させました。
血管内皮機能の測定は、それぞれを摂取した後に胸部大動脈を摘出し、血管を収縮させた時の血管内皮に依存した血管拡張反応を測定して、内皮障害の指標としました。
また、摂取後の心臓と腎臓を摘出し、組織学的な検査により各臓器の障害の程度を評価しました。
*以下、詳細は添付資料をご参照ください。