日立工機、タナカ工業の事業再生支援でエンジン工具事業を譲り受け
タナカ工業株式会社の事業譲り受け等のお知らせ
当社は、2007年1月10日に千葉地方裁判所から民事再生法に基づく再生手続開始の決定を受けたエンジン工具メーカーのタナカ工業株式会社(以下「タナカ工業」という。)からの要請を受け、同社の事業再生支援を目的として協議、検討を進めて参りましたが、今般、当社がタナカ工業のエンジン工具事業を譲り受けることで合意しましたので、お知らせ致します。
また、あわせて、今般米国の大手建材商であるBlueLinx 社との新たな全面取引開始についても合意しましたので、お知らせ致します。
記
<1> タナカ工業の事業譲り受けについて
1.事業譲り受けの目的
当社は、これまで電動工具業界での世界のメジャープレーヤーを目指して、各種の経営施策を推進して参りました。特に、製品開発力の強化と開発期間の短縮を推進し、市場ニーズを的確に捉えた新製品をタイムリーに市場へ投入することによって、売上の拡大ならびに利益の増大を図って参りました。今後は、当社のコア事業である電動工具、空気工具等のいわゆる電動工具事業にとどまらず、消耗品及びエンジン・園芸工具等の電動工具周辺事業への取組みを今まで以上に積極的に行い、更なる業容の拡大を図るべく各種の経営施策を推進して参ります。
消耗品事業につきましては、2005年3月に三京ダイヤモンド工業株式会社を、2007年1月にはオランダのCarat社を買収し、子会社化することによって、日本と欧州にそれぞれ橋頭堡ができましたので、今後この両社を通じて本格的な展開を図って参ります。
一方、エンジン・園芸工具事業につきましては、かねてより進出の機会をうかがっておりました所、今般タナカ工業より事業再生支援の要請がありました。タナカ工業は、足掛け45年にわたる歴史と伝統があり、長年培われた技術力及びブランド力には一定の評価を得ているエンジン工具メーカーです。今般、タナカ工業の事業を引き継ぐことにより、エンジン・園芸工具2兆円の世界市場への本格参入が可能となり、加えて当社グループの技術開発力、生産拠点、販売網等を有効活用することによって、更なる業容の拡大が見込めることから、事業の譲り受けに合意致しました。
2.譲り受け方法
当社は、事業の受け皿会社となる子会社を新たに設立し(株式会社日工タナカエンジニアリングの予定)、タナカ工業の事業を譲り受けます。また、当社の米国子会社(Hitachi Koki U.S.A.,Ltd.)も同時期に受け皿会社を設立し(Nikko Tanaka Engineering U.S.A.Ltd.の予定)、タナカ工業の米国子会社(Tanaka America, Inc.)の事業を譲り受けます。
なお、今回の事業譲り受けは、必要な資産のみを引き継ぎ、負債は引き継ぎません。
3.タナカ工業の概要
* 関連資料 参照
4.当社新会社の概要
* 関連資料 参照
5.事業譲渡の日程
2007年 3月29日: 事業譲渡契約書締結
2007年 4月18日: 裁判所意見聴取会
2007年 5月 1日(予定): 事業譲渡期日
(注)今回の事業譲渡は、裁判所の許可が得られることが条件となります。
6.今後のエンジン工具事業の方針
当社のエンジン工具の売上高は、現在年間約4億円ですが、今般の事業譲り受けによって、当社独自ブランド製品の積極的な展開も開始し、2007年度には約80億円の売上高を見込んでおります。
今後は、独自ブランド製品の展開や両社販売網の有効活用等によるシナジー効果が期待できるほか、次期排ガス規制対応製品の開発や現在タナカ工業で本格的に着手していない4サイクルエンジン製品の開発等新たな取組みを積極的に推進していくことによって、売上高の大幅な伸長を図って参ります。
<2> BlueLinx 社(BlueLinx Corporation)との全面取引開始について
米国事業においては、当社は全米第2位のホームセンターであるLowe’s社とのアライアンス推進による電動工具の飛躍的な売上伸長や、空気工具市場での高いシェアを有する釘打機及び連結釘の順調な売上増等により、業容を拡大して参りました。
しかしながら、昨今の米国住宅市場の調整及び米国経済の先行きに対する不透明感がやや高まっており、当社の米国における業績もその影響を受けております。
かかる状況下、今般、BlueLinx 社との新たな全面取引開始について合意に達しました。
BlueLinx社(親会社のBlueLinx Holdings Inc.がニューヨーク証券取引所に上場)は、全米規模の大手建材商で、全米に63 箇所の倉庫を持ち、木材販売店や建築資材販売店等約11,000店にのぼる販売店ルートがあり、年商約5,000億円をあげております。取扱製品に空気工具や釘等があり、これまでは当社以外のメーカーからの供給でしたが、より高品質な製品を求めるBlueLinx 社と、新規に大口販売ルートの獲得を図る当社の思惑が合致し、2007年4月より、空気工具、釘等を全面的に当社品に変更するほか、当社の電動工具等も新規で取扱うことになりました。
米国市場は、引き続き景気減速リスクの可能性が見込まれるものの、当社の米国事業は、BlueLinx社との新たな全面取引、エンジン工具事業の新たな展開によって、2006年度実績見込との比較では2007年度は、約60億円以上の売上増が期待できると見込んでおります。
さらに、大型販売店や広域販売店等の更なる新規開拓の積極的な推進、今後のエンジン工具事業への本格的な展開等により、より一層の売上規模の拡大を目指して参ります。
以上