アジレント、FlexRay搭載製品のデバック・評価を行うテストソリューションを発表
アジレント・テクノロジーが、自動車業界向けにFlexRay搭載製品の
デバックおよび評価を簡単に行なうことができるテストソリューションを発表
アジレント・テクノロジー株式会社(社長:海老原 稔、本社:東京都八王子市高倉町9番1号)は、自動車業界のエンジニアが、電気関連製品を品質基準にあわせながら迅速かつ低コストで開発するのに役立つFlexRayの解析向けの製品群を発表します。これらのFlexRay向けテストソリューションは、自動テストシステムに組み上げることも可能となっており、設計評価から製造段階まで幅広く利用することができます。
今回発表する製品は以下の2製品です。
*Agilent N5432A MSO6000シリーズ用FlexRay用トリガ&デコード・オプション
*Agilent 16800/16900 FlexRay対応プロトコル・デコード・オプション
FlexRayは、タイムトリガ方式を採用した車載用ネットワーク向けのシリアルバスです。現在車載ネットワークでの採用が進んでいるCANやLINと比べて、高性能であると同時に、プロトコルに冗長性を持たせエラーに強いという特長を持つシリアルバスで、高級車におけるサスペンション関連のアプリケーションなどを手始めに、設計段階での採用が広まりつつあります。エラーに強いという特長を持つことから、FlexRayは今後、X-by-Wire技術(*1)や衝突防止システムなど、安全性の要求の高いアプリケーションでの採用も見込まれています。
従来のイベントドリブン型のバスでは、オシロスコープで簡単にトリガをかけ、それをきっかけにデコードを行なうことができました。しかし、タイムトリガ方式のFlexRayでは、時間情報と波形の相関をとったり、トリガをかけたりすることが波形観測上、難しい問題となっていました。
当社ではFlexRayに携わるお客様の声を反映させながら測定ソリューションの開発を進めてきましたが、このたび、広く一般向けとして製品化しました。
当社では、今回発表の製品を、4月18日(水)から20日(金)にかけて幕張メッセで開催される「TECHNO-FRONTIER(テクノフロンティア)2007」、ならびに5月23日(水)から25日(金)にかけてパシフィコ横浜展示ホールで開催される「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2007」に出展します。
■「Agilent N5432A MSO6000シリーズ用FlexRay用トリガ&デコード・オプション」新製品紹介
この測定システムは、「Agilent 6000シリーズ ミックスド・シグナル・オシロスコープ(MSO)」「Agilent N5432A MSO6000シリーズ用FlexRay用トリガ&デコード・オプション」、およびDependable Computer System GmbH(DECOMSYS)社の「DECOMSYS::BUSDOCTOR 2プロトコルアナライザ」を組み合わせたものです。業界で初めて、オシロスコープ上で、FlexRayのタイムスケジュール上の指定したスロット/セグメントの境界とFlexRayの信号波形を、時間情報と相関をとりながら表示することができるようになりました。
今回の測定ソリューションを使うことで、FlexRay全体のスケジュールを制御・定義しているFIBEXファイルを直接、「Agilent 6000シリーズ ミックスド・シグナル・オシロスコープ」に取り込み、セグメント/スロットの境界情報の同期をとり、時間相関を保ちながら表示することが可能となります。この機能により、外付けのPCなしで、単体で測定を行なうことが可能となります。もしくは、DECOMSYSのVISIONソフトウェアを使い、DECOMSYS::BUSDOCTOR 2とMSOの同期をとるという構成も可能です。このシステム構成の場合、PC上で高レベルのFlexRayプロトコル解析を行ない、オシロスコープの画面上には時間相関をとったFlexRay測定結果が表示されます。
ハードウェアによるデコード機能と「Agilent 6000シリーズ」の最大10万回/秒という波形更新速度により、測定データをリアルタイムで表示することが可能です。また、ヘッダ/フレームのCRCエラーだけでなく、境界違反をはじめとする各種プロトコルレベルでのエラートリガ設定が可能です(2007年4月現在、14種類)。
■Agilent 16800/16900シリーズ ロジックアナライザのFlexRay対応
「Agilent 16800/16900シリーズ ロジックアナライザ」では、FlexRayパケットのデコード機能を無償提供します。これは、車内システムの複数のバス間の動作のデバッグ、評価時に不可欠なものです。この解析機能には、主要なバスに対応した信号間のタイミング解析、逆アセンブル、パケット表示のほか、CPUやメモリバスの動作と時間相関をとったプロトコルパケットの解析も可能です。このソフトウェアは無償で提供します。
先端の自動車エレクトロニクスシステムの電磁波放射規制向けには、CISPR 25標準に定義され、広く採用されている測定手法に対応していきます。IEEE EMC 2006で公開したとおり、当社のCISPR 16完全対応の規格適合試験ソリューションは今年後半に正式発表予定です。加えて、「Agilent PSAシリーズ」をベースとした当社のソリューションは、従来のEMIレシーバでは実現できなかったようなスループットを競合力のある価格で実現する予定です。
【販売方針】
*目標市場:
車載ネットワークとしてFlexRayを採用予定の車両メーカ、車載用チップベンダ、車載用電装品メーカ、車載用パワートレイン関連商品メーカの研究開発および製造検査向け
*参考販売価格:
Agilent N5432A 約30万円
※「DECOMSYS::BUSDOCTOR 2」はDECOMSYSの販売代理店からの提供となります。
※「Agilent 16800/16900 FlexRay対応プロトコル・デコード・オプション」は無償提供となります。
*販売開始日: 本日
*出荷開始時期: 2007年4月末
■お客様からのお問い合わせ先:
計測お客様窓口 電話:0120-421-345
■アジレント・テクノロジーについて
アジレント・テクノロジー(NYSE:A)は、コミュニケーション、エレクトロニクス、ライフサイエンス、化学分析市場における世界のプレミア・メジャメント・カンパニーであり、またテクノロジー・リーダーでもあります。19,000名の従業員を擁し、110カ国以上でビジネスを展開しています。アジレントは、2006年度、50億ドルの売上高を達成しました。アジレント・テクノロジーの情報は、以下のウェブサイトでご覧ください。
http://www.agilent.co.jp
*1 X-by-Wire:
従来の機械的な仕組みではなく、電子制御によりステアリングやブレーキを制御する仕組み。Steer-by-WireやBrake-by-Wireなどがある。