ソフトバンクテレコム、福岡大学病院などに臨床研究・治験支援ソリューションを提供
ITを活用した「治験」プロセスの効率化で新薬開発のスピート化とコスト削減を実現
~福岡大学病院、近畿大学医学部附属病院が、ソフトバンクテレコムのネットワーク利用型の治験実務支援システムを導入~
ソフトバンクテレコム株式会社(本社:東京都港区、社長:孫 正義、以下 ソフトバンクテレコム)は、この度、新薬開発の臨床試験(以下、治験)にかかわるプロセス業務を短縮し、円滑かつ効率的な実務の実現を支援する医療機関共同利用型(ASP)のネットワーク型システム‘臨床研究・治験支援ソリューション「クリニカルエフォート」(以下、クリニカルエフォート)’を開発し、福岡大学病院(福岡県福岡市城南区、病院長 瓦林 達比古)、および近畿大学医学部附属病院※1(大阪府大阪狭山市、病院長 塩 均)に導入いたしましたのでお知らせいたします。
『治験』とは、新薬開発のプロセスの中で「有効性」「安全性」を確認するために、協力の同意を得た患者、参加者(以下、被験者)と、製薬会社、医療機関とが行う臨床試験です。ここで得られたデータを元に新薬の審査申請手続、評価を得て新薬が承認されますが、通常の開発期間に9年~17年、また、創薬を依頼する製薬会社が負担する費用は約200億円~300億円かかると言われており*、日本の新薬開発は海外と比較して、開発費の投入からその回収までのタイムラグが極めて大きいところが問題と言われています。
* 平成15年厚生労働白書・資料編
通常、『治験』の業務では、案件ごとに関係者間で膨大な量の書類が取り交わされており、内容の確認作業では、製薬会社・被験者が医療機関に書類を持参して担当医と面会するなど、物理的な負担を強いられるケースがほとんどでした。これまで、個別に独自のシステムを構築してきた医療機関では、複数の案件と関係機関が関与する治験環境に合わせた更なるシステムの拡張・開発については、他機関との互換性や費用的な問題からも現実的ではなく、医療規制の変化も激しい中で、柔軟に対応するための自前システム構築もまた、難しい状態にあります。
ソフトバンクテレコムは、「自前」でシステムを構築する考え方ではなく、治験環境など様々な変化に対応し、お互いがメリットを享受しながら「共有していく」というコンセプトから、製薬会社と同じネットワークで使える共通のアプリケーションを導入することで業務改善を図れるよう、ネットワークシステム型実務支援システムクリニカルエフォートを開発いたしました。本サービスでは『治験』データをセキュリティの高いデータセンター内に集約し、関係各機関が利用しているインターネット回線からセキュアな環境でデータにアクセスし、リアルタイムで安全に案件確認や進捗管理ができる利用環境を提供します。
本サービスを共同利用型のASPサービスとして提供することで、各機関での作業の共通化、効率化向上といった業務改善を図り、治験プロセスのスムーズな遂行を実現することで、現在の『治験』で問題視されている「費用」「時間」「品質」の改善を目指します。
クリニカルエフォートには次の特長があります。
1.インターネット・Webを利用した情報共有
●『治験』関係機関が利用中のインターネット環境からリアルタイムに、ウェブブラウザを通じて申請中の案件内容・進捗状況が確認、共有できます。
●システム上の情報更新時に、関係者に対してメールで通知されるので、最新内容の伝達・共有を迅速に実現することができます。
●審査情報の受付・管理についても物理的に離れた関係機関の業務を円滑、かつスピーディに実現し、リードタイムが短縮できます。
●情報の共有化により、業務上のミス、手違いなどは訂正業務が減少します。
2.高度なセキュリティ対策によるデータ管理
●通信経路、通信データは全て暗号化されているため、機密性の高いデータもネットワーク上でやり取りが可能です。
●ID/PWのユーザー認証によるアクセス権限が設定できるほか、アクセスログ管理により、データの登録、削除作業の履歴管理が可能です。
●データベース管理は、24時間、365日監視下のソフトバンクテレコムのデータセンター内で管理し、データのバックアップも随時実施します。
3.ASP型サービスによる運用軽減
●本サービスは通常のインターネット環境を利用したASPサービスのため、導入の際は特別な設備などの必要がないため、個別にシステムを構築する場合などに比べて、導入・運用コストを抑えることができます。
●提出文書のテンプレート機能の提供により、システム上の関連データを自動的に割り当てることで、必須文書作成作業を簡易化することができます。
今回クリニカルエフォートを導入した福岡大学病院では、臨床研究支援センターを設置『治験』に積極的に取り組んできています。担当の福岡大学病院 臨床研究支援センター長、野田 慶太助教授は導入にいたった動機について「我々は、医療向上に繋がる『治験』を重要視しており、新たな治療法を求める患者様に対して最新治療の提供が可能となる新薬開発に力を入れています。クリニカルエフォートのようなネットワーク型支援システムは、当院のように専門のIT部門を持たないに医療機関にとっては、導入が容易でかつ、運営ノウハウが抱負なネットワーク通信会社にアウトソーシングできることが大きな利点だと考えています。」と語っています。同病院では、治験データを共有する製薬会社を除々に増やしていき、2007年5月の本格導入を目指す予定です。
厚生労働省は、『治験』の活性化を目的に2006年6月に「次期治験活性化計画策定に係る検討会」を設置しており、「2007年度5ヵ年計画」を策定しています。策定にあたり検討会では、治験の状況調査項目の中に<治験の効率化に向けた治験書式、手続き、IT化に関する現状>を挙げています。その調査結果として‘治験事務の効率化が治験のコストに直接的に影響を及ぼす事項である’と報告されていることから、5ヵ年計画の実施に向けたアクションプランには、‘治験のスピードアップとコスト低減を図るため、医療機関と企業の役割分担を明確にし、治験関係書式の共通化や、治験データのIT化による効率化を一層推進する’という‘治験の効率化’が項目に盛り込まれています。**
** 第8回 次期治験活性化計画策定に係る検討会 資料 治験活性化5ヵ年計画(案)
今後ともソフトバンクテレコムは、これからも治験に積極的に取り組んでいる病院を中心に、クリニカルエフォートを展開していくと共に、ネットワークをベースとする最新の技術でサービスを創造し、お客様のビジネス課題の解決に向けて最適なICTソリューションサービスを提供し、お客様のビジネスをサポートしていきます。
臨床研究・治験支援ソリューション「クリニカルエフォート」の詳細についてはこちら
http://www.softbanktelecom.co.jp/business/solution/clinical_effort/index.html
以上
※1 近畿大学医学部附属病院は、同病院の臨床試験管理センターの治験業務を支援するSMO(治験施設支援機関)企業を通じて「クリニカルエフォート」を導入し、当初は安全性情報管理など治験事務局内の業務に活用します。