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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2007'04.18.Wed

NICT、東京上空に飛来した”黄砂”の流れ可視化に成功

東京上空に飛来した”黄砂”の流れ可視化に成功
―都市部上空気流の立体観測実現に向けて―


 独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT。理事長代行:田中栄一)は、平成19年4月1日未明から夕方にかけて東京上空に飛来した"黄砂"の空間分布と、その流れを可視化することに成功しました。
 これまで、3次元的な黄砂の流れと密度を同時に計測するシステムは実用化されておらず、黄砂がどれくらいの速度で流されているかを実測した例はありませんでした。今回、NICTがセンシングネットワーク(注1)構築の一環として行ったドップラーライダー(注2,3)による3次元計測フィールド実証実験によって、黄砂の流れが初めて明らかになりました。
 この観測技術は、都市部上空で見られる大気汚染物質の拡散や、集中豪雨などに密接にかかわる気流の精密計測を可能とするもので、最近懸念されている都市型災害の予測に寄与できるものです。


<背景>
 NICTは、都市部上空等の気流を精密に計測するための“センシングネットワーク”技術開発を進めています。その一環として、人間の目に安全なレ-ザ光を用いたドップラーライダーを3次元スキャンシステム(水平方向に約10kmの範囲の気流を約100mの空間分解能で計測)に組み込んで試験計測を行いました。
 一方、平成19年4月1日から2日にかけて、沖縄から東北地方までの広い範囲で黄砂が観測され、各地で水平方向数km先までしか見通せない状況となりました。気象庁が発表した同日の黄砂視認地点を参考資料に示します。

<今回の成果>
 平成19年4月1日にNICT(東京都小金井市)において、NICTの都市気流3次元計測システムを用いた黄砂観測を実施しました。その結果、夜半から観測され始めた黄砂が、地表から高度5kmの範囲で層状構造を形成し、高度2km以上ではほぼ東の方向に約20m/sから30m/sの速度で流れた状況を克明に捉えることに成功しました(補足資料図1参照)。
 また、午前中に黄砂の密度が高くなった後、午後に一時的に密度が低くなり、夕方に再び密度が高くなった時間変化を捉えることにも成功しました。こうした黄砂の空間分布とその流れの速度実測は日本で初めてです。

<今後>
 今後、こうしたライダー複数台をネットワークで結合し、都市部上空での気流の動きをリアルタイムで3次元計測する技術の開発に取り組みます。さらに、NICTが独自に開発中の高出力レーザを計測システムに組み込み、20km以上の広範囲な気流計測を可能にする実用的なセンシングネットワークの構築(補足資料図2参照)を目指します。


【用語解説】

注1.センシングネットワーク
 センシングネットワークとは、近年発達してきたリモートセンシング技術、例えば複数のライダー(光を利用)やレーダー(電波を利用)などをネットワークを介して接続して、都市部上空の大気状態を空間情報として取得する技術です。都市上空の気流の立体観測を実現し、都市の環境や気象の把握・予測精度向上に寄与することを目指しています。図2にセンシングネットワーク技術を用いた都市環境の立体計測の概念図を示します。

注2.ライダー
 ライダー(LIDAR)はLIght Detection And Rangingの略です。光を用いたリモートセンシング技術の1つで、対象物に向け照射したパルスレーザ光に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析する装置です。光は電波より波長が短いため、微小な物質、例えば、エアロゾル(大気浮遊粒子状物質)や雲の粒子の検出に適しています。

注3.ドップラーライダー
 パルスレーザ光を望遠鏡で大気中に照射し、風とともに移動するエアロゾルからの反射光を望遠鏡で受光し、そのドップラーシフト量を計測して視線方向の風速分布を観測する装置をドップラーライダーといいます。今回用いたセンサーでは、風速の検出方法としてヘテロダイン検波(参照レーザ光と反射レーザ光を混ぜ合わせてビート信号を作り、ビート信号からドップラー周波数成分を検出する方法)を採用しています。コヒーレントドップラーライダー装置外観写真を図3に示します。

◇距離
 大気中にレ-ザ-光を発射して、反射光が返ってくる時間を測定し、光を反射した物質までの距離を計算します。光が大気中を伝わる速度は、1秒間に約30万kmですので、大気中にレ-ザ-光を発射して反射光が返ってくるまでの時間が1万分の1秒とすると、物質までの距離は15kmということになります。

◇風向・風速
 レ-ザ-光による風速測定は、光のドップラ-効果を利用して行われます。大気中のエアロゾルや雲にレ-ザ-光を当て、観測地点から遠ざかっている物質は光のスペクトル(分光器で分解して波長の順に並べたもの)が赤の側に、近づいている物質は青の側にずれるのを測定して物質の移動の向きと速さを測ります。

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