メディビック、病理・組織学用サンプルの遺伝子解析に利用できるRNA増幅キットを販売
ファーマコゲノミクス(PGx)試験及びバイオマーカー探索を
加速する新製品ご提供に関するお知らせ
このたび、当社の子会社である株式会社メディビックは、提携先であるNuGEN Technologies Inc.(以下「NuGEN社」という。)が開発した病理・組織学用サンプルの遺伝子解析に利用できるRNA増幅キット「WT-Ovation(TM) FFPE System」を新たに販売することになりましたのでお知らせいたします。
本製品は、臨床データと共に保存されていた組織サンプルからの遺伝子発現解析を可能にし、臨床データと遺伝子発現データの関連性を明らかにすることができるため、ファーマコゲノミクス(PGx(*1))試験やバイオマーカー(*2)探索を強力に加速すると期待しております。また、提携先であるNuGEN社とAffymetrix,Inc.(以下「Affymetrix社」という)も共同でマーケティングすることを決定しており、この共同マーケティングがバイオマーカーの発見と評価に向けた第一歩であるとされています。
マイクロアレイをはじめとする遺伝子発現解析は、疾患のバイオマーカー探索、新薬のターゲット分子の同定、分子メカニズムの解明などの目的で盛んに行われています。最近では、微量RNAサンプルによる遺伝子発現解析に対するニーズが高く、多くの研究者から望まれています。
しかしながら、微量サンプルからの遺伝子発現解析は、サンプルの保存方法や量的・質的などの問題を抱えています。特に、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE: formalinfixed, paraffin-embedded (*3)) 組織サンプルの多くは、癌の研究や診断を目的に、臨床データと共に何年も保存されていますが、そのサンプルから抽出されるRNA は非常に微量かつ、分解が進んでいるケースがほとんどで、既存の増幅キット等では遺伝子発現解析が困難な状況です。
新製品「WT-Ovation(TM) FFPE System」は、そのようなFFPE 組織サンプルから得られた微量で分解の進んだRNAであっても、精度・再現性共に良く簡単に増幅することができ、その増幅産物は定量PCR(*4)やAffymetrix社のGeneChip(R)などを用いた遺伝子発現解析に利用可能です。
本製品の導入により、メディビックが推進するPGx試験支援やバイオマーカー探索支援のソリューションを強化し、特に癌領域での国内外のPGx試験支援事業の拡大を目指す予定です。
本件が当社の平成19年12月期(平成19年1月1日~平成19年12月31日)における当期業績見通しに与える影響については現時点では未定ですが、状況が分かり次第、速やかに詳細をお知らせする予定です。
以上
(*1) ファーマコゲノミクスとは
ファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics:PGx)は、2000年にヒトゲノムが解読されてから著しい早さで発展したゲノム科学を、新薬(創薬)開発や医療現場で活用する「テーラーメイド医療」の基礎となる新しい領域です。Pharmacology(薬理学)とGenomics(ゲノム学)を組み合わせた造語で「ゲノム薬理学」とも訳されています。
PGxは網羅的・体系的なヒトゲノム情報を用いることで副作用や薬効を予測し、患者にとって最も副作用が低く有効性の高い治療を提供することが可能な科学的領域(研究、概念、手法、戦略など含む)です。さらに、創薬研究や臨床開発の効率化を促し、より安全な薬剤を迅速に創出することが可能となります。
(*2) バイオマーカーとは
生体内では常時、さまざまな生化学的/生物学的反応が起こっています。それらの過程を経て生体が発する反応を一般的にバイオマーカーと呼び、生体の状態を示す数値化・定量化した指標です。例として、高血圧の指標となる血圧、心疾患や脳卒中リスクに関連する血中蛋白(高感度CRP)から、癌に関連した遺伝子発現などがあり、新薬開発から臨床現場まで活用されています。
(*3) ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE: formalinfixed, paraffin-embedded)組織サンプルとは
疾患の診断や研究などのために、採取した組織サンプルをホルマリン液により固定し、その一部を切り出してパラフィンに埋め込んだ標本を指します。
(*4) 定量PCRとは
定量PCRとは、DNAを増幅するために広く用いられる方法(ポリメラーゼ連鎖反応:PCR)を利用して、遺伝子発現の結果として作られたRNAの量を測定する実験手法を指します。
【ご参考】
<NuGEN Technologies Inc.(ニュージェン社)の会社概要>
NuGEN社は、高感度で迅速かつ効果的な増幅技術の開発と販売およびゲノムやたんぱく質の検出技術の開発を専門としています。
NuGEN社独自のRNA増幅技術は、様々な研究分野で用いられており、遺伝子発現解析の感度、簡便性および正確性の向上に大きく貢献しております。
「NuGEN(TM)」、「Ovation(TM)」、「SPIATM」、「Ribo-SPIATM」はNuGEN 社の商標登録です。
商号:NuGEN Technologies Inc.
所在地:821 Industrial Road, Unit A, San Carlos, California, USA
電話:1(650)590-3600
設立:2000年2月
代表者:President & CEO Elizabeth A. Hutt