京セラ、安定した鋭い切れ味を実現した工業用精密ナイフ「セラナイフ」を発売
新開発材料「FW60」高靭性超微粒子超硬合金を使用
従来比約2倍の靭性を実現した工業用精密ナイフ
「セラナイフ(登録商標)」販売開始
京セラ株式会社(社長:川村誠)は、機械工具事業において、当社従来品比で約2倍の靭性値(欠けにくさ)を有する新材料「FW60」の開発に成功し、これを使用した工業用精密ナイフ「セラナイフ」を販売しますのでお知らせいたします。
工業用精密ナイフは、さまざまな製品や部材のスリッティング(切断)加工に用いられています。今回の新製品は、高靭性・高硬度・長寿命などの特性から、安定した鋭い切れ味が実現し、金属刃との置き換えを可能にするものです。特に機器やデバイスの不良の原因となるバリ(切れ残り)や切断粉の発生がおきにくいため、主に液晶ディスプレイに用いられる偏光フィルムやプリント配線版(FPC)など、機能性高分子フィルムのスリッティング加工に最適な製品です。
■「セラナイフ」の概要
材料名:FW60(超高靭性超微粒子超硬合金)
用 途:機能性高分子フィルム材料等の切断加工
生産拠点:鹿児島川内工場
発売日:2007年5月1日
生産目標:10,000枚/年
【 ご参考 】
本製品は、「第8回コンバーティング機材・特殊印刷展(CMM JAPAN & JSP 2007)」に出品いたします。
2007年4月25日(水)~28日(土)/東京国際展示場(東京ビッグサイト)東1・2・3ホール
■開発の背景
液晶ディスプレイに使用される表示用のフィルムやシートなど、エレクトロニクス製品における部品や部材の切断加工では、バリや変形のない品質の高さはもちろん、切断粉の発生や加工のばらつきなどに対する制限要求が非常に厳しくなっています。これは、刃のわずかな欠けや刃の不規則な摩耗によってできる切り残しなどが製品不良の発生に直結するからです。
こうしたことから、エレクトロニクス製品に使用される工業用精密ナイフには、高品質な切断面を実現するとともに、高品質な加工ができる耐摩耗性や高靭性、そして切れ味の良さが長続きする欠けにくい刃と長寿命が求められています。
■製品の特長
1.超高靭性超微粒子合金「FW60」の開発
工業用ナイフの新材料として開発した「FW60(超高靭性超微粒子合金)」は、一般的な超硬合金の粒径が3~8μm(1μmは100万分の1m)であるのに対して、平均粒径0.8μmという、著しい超微粒子化を実現しました。また、原料となる金属のコバルトの含有率を最適化しており、これらによって、靭性値を従来比約2倍にすることに成功しました。
「FW60」の採用により、高い靭性をもつ鋭利な刃先が可能となり、切断工程での品質と生産性の向上に貢献します。
2.長寿命化
工業用精密ナイフの寿命は、切断面の劣化などにより、被切断材料が品質不適合とされるまでの稼動時間や被切断材料の切断長さによって評価されます。今回の新製品は、従来の金属製ナイフと比較して、約15倍~40倍※1の超硬ならではの長寿命となっています。
※1 被切断材料によって寿命は変動します。
*参考資料あり。