旭硝子、低誘電率特性を持つ高周波デバイス用フッ素系絶縁材料の量産化に成功
低誘電率特性を持つ高周波デバイス用フッ素系絶縁材料の量産化に成功
旭硝子株式会社(本社:東京、社長:門松正宏)は、比誘電率が2.4~2.5と業界最高レベルの低誘電率特性を持つフッ素系絶縁材料の量産化に成功しました。今回量産化に成功した製品は、GaAs(ガリウム砒素)系やGaN(窒化ガリウム)系化合物半導体等、広範囲の高周波デバイス用の層間絶縁膜として適用でき、スピンコート法により簡便に塗布が可能な有機塗布系絶縁材料です。また高い耐熱性能(350℃)を持ち、高温プロセスにも使用可能なことから、従来フッ素樹脂を使用できなかった耐熱性を必要とする用途や、熱硬化性を利用する用途等に広く採用が見込まれ、当社のエレクトロニクス&エネルギー事業の中で大きな成長が期待される製品です。
携帯電話や通信回路に使用される高周波デバイスは、動作周波数の高速化や消費電力を下げる方向で開発が進められています。しかしながら、デバイスの高速化に伴い配線容量の影響が増大してしまうため、信号の伝播速度が遅延したり消費電力が増加してしまうという技術課題が顕著になってきました。
この課題を解決するためには現在広く使われているポリイミド系絶縁材料(比誘電率3.2~3.5)よりも誘電率の低い材料を使う必要があります。
当社は、2005年からの中期経営計画“JIKKO-2007”において、エレクトロニクス&エネルギー事業を第3の柱として育成することとしていますが、今回は当社の保有するコアテクノロジーであるフッ素化学技術を活かし、低誘電率特性を持ち高周波デバイスに使用できるフッ素系絶縁材料の開発に成功しました。この低誘電率絶縁材料を使用することにより、大幅に配線容量を低減することができ、デバイスの高速化、低消費電力化が達成できます。また吸湿性も0.2%(条件:温度85℃、湿度85%)と低いため、安定した特性を維持することができ、平坦特性も優れていることからデバイスの多層配線構造が可能となり、歩留まりの向上が期待できます。
当社は、既に千葉工場で量産しており、今後順次お客様への出荷を開始します。
以上
(※参考資料あり)