日立金属、7月納入分から工具鋼の価格を値上げ
工具鋼の価格改定
日立金属株式会社(本社:東京都港区、社長:持田 農夫男、以下 日立金属)は、工具鋼の原材料と副資材の価格が高騰したため、価格改定を7月納入分から実施することといたしました。
記
1.背景
主に金型材料として使われる工具鋼は、ねばり強さや耐熱性、耐酸化性など用途に適合した性能を持たせた高級金属素材です。性能を実現するために、原材料にはベースとなる鉄のほか、モリブデン、バナジウム、タングステン、コバルト、ニッケル、クロムなどのレアメタル、その他微量元素を組み合わせて使用しております。
現在、工具鋼の原材料は、旺盛な需要のため価格が上昇しております。特にレアメタルは投機的な要因も加わり価格が高騰する状態が続いております。さらには、生産に必要な重油、電力、ガスなどエネルギー代や生産設備の治工具、部材などの副資材までもが価格上昇する状況が続いており、これまでの値上げや歩留向上、生産合理化など企業努力での吸収を遙かに超える状態となっております。
そこで、日立金属は、鉄、クロム、ニッケルと重油、電力、ガス、副資材の価格高騰分から企業努力での吸収分を除いた工具鋼の価格改定を、2007年7月1日納入分より、実施することといたしました。
また、不採算品については、今回の価格改定と平行して、価格是正を行うと共に、生産単位の見直し、鋼種の見直しなどの施策も進めます。
今回の価格改定と施策により、経営資源の最適配分を行い、安定・継続的に高品質な製品を供給する体制の維持改善、きめ細かいお客様へのサービス体制の維持改善、コスト低減を図ってまいります。また、お客様のニーズを満たす新製品の開発にも注力してまいります。
2.実施内容
(1)対象鋼種:
高速度工具鋼、冷間ダイス鋼、熱間ダイス鋼、特殊工具鋼、炭素工具鋼、刃物鋼※
(2)改定率:
鉄、クロム、重油、電力、ガス、副資材相当分
高速度工具鋼 3~8%、冷間ダイス鋼 7~12%、熱間ダイス鋼 6~12%
特殊工具鋼 7~12%、炭素工具鋼 9~12%、刃物鋼 5~9%
ニッケル相当分
熱間ダイス鋼(プラスチック型)6~10%、(ハンマー型)6~8%、(ダイカスト型)5~8%
(3)実施時期:
2007年7月1日納入分より
(4)適用範囲:
直接納入する大口顧客向け、販売店向けとも実施
輸出価格も国内と同率で改定を実施
(モリブデン、バナジウム、タングステン、コバルトについては引き続き価格スライド制を実施してまいります。)
以上
◆お客様からのお問い合わせ
特殊鋼カンパニー TEL03-5765-4405
ご参考
【用語解説】
※高速度工具鋼
耐摩耗性、靱(じん)性が高く、主にドリルやエンドミルなどの切削用工具として使われる。英文ではhigh speed steelと表記することから、ハイスとも呼ばれる。
※熱間ダイス鋼
高温における耐熱性、耐磨耗性が高く、熱間押し出し、ダイカスト金型、熱間プレス型などに使われる。この他金型などの冶工具などにも使用される。
※冷間ダイス鋼
常温で行われる板金プレスの型などに使われる。
※特殊工具鋼
低合金工具鋼で、打抜型、タップ、鋸、たがね、測定工具、ゲージ等に使用される。
※炭素工具鋼
0.6~1.5%の炭素を含む。加工が容易で各種工具に用いられる。
※刃物鋼
包丁、ナイフなどに使われる。刃物の特性を発揮させるため高い硬度での靱性を大きくしている。