タカラバイオ、沖縄産ヤムイモの一種「トゲドコロ」に抗疲労作用を発見
希少品種である沖縄産のヤムイモの一種(トゲドコロ)に抗疲労作用があることを発見
タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)のバイオ研究所は、沖縄で栽培されているヤムイモの一種であるトゲドコロ(Dioscorea esculenta)に抗疲労作用があることを発見しました。なおヤムイモの他品種(ジネンジョ:自然薯など)では、このような抗疲労作用は認められませんでした。これらの成果を、京都市で開催される第61回日本栄養・食糧学会大会で5月20日に発表します。
ヤムイモは、アフリカで約4億人が主食としており、日本では古くからナガイモ、ジネンジョ(ヤマノイモ)、ダイジョ、トゲドコロ等の様々なヤムイモが栽培されています。ヤムイモの一種であるトゲドコロは、タイ、ベトナム付近を原産地とし、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属するヤムイモで、粘りが強く、甘みやコクがあるという特徴を有しています。またトゲドコロは、沖縄ではクーガイモとも言われており、国内ではその生産量が年間数トン程度の希少品種です。
ヤムイモには滋養強壮作用があることが伝承されていますが、トゲドコロの抗疲労作用については明らかにされていませんでした。当社バイオ研究所では、マウスを用いた実験で、予めトゲドコロを餌に混ぜて(1%)投与しておくと、投与しなかったマウスに比べて、強制的・水泳運動時間が約1.2倍に長くなることを確認しました。さらに分画を進めたものを投与すると、この水泳運動時間が1.3倍を超えました。一方、同じヤムイモの一種であるジネンジョ(Dioscorea japonica)を投与した場合には、このような作用は見られませんでした。当社バイオ研究所では、引き続きどの成分がトゲドコロの抗疲労作用に関与しているかについて研究を重ねていきます。
当社は、今後、トゲドコロの生産拡大を進め、味のよさと機能性を併せ持つこのトゲドコロを高齢化時代に向けた、新しい機能性食品素材として提案していきます。
参考資料
【語句説明】
●ヤムイモ
農学の分野で用いられる用語で、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属し、人間が利用している有用植物の総称として用いられています。例えば、ナガイモ、イチョウイモ、ツクネイモ、ジネンジョ、ダイジョをはじめ、トゲドコロもそれぞれヤムイモの一種です。ヤムイモの90%は、アフリカで生産されており、その地域はヤムベルトとも言われています。
●ナガイモ
北海道、東北地方、長野県、鳥取県などで栽培されている長く棒状のナガイモ群、関東地方で栽培される扁平状のイチョウイモ群、関西地方で栽培される球状のツクネイモ群の3種類に分けられます。
●ジネンジョ
ヤマノイモとも言われ、国内の山中に自生します。滋養強壮作用があると言われていますが、市場に出ることは少なく、希少価値が高いヤムイモです。鹿児島名産の「かるかん」の原料は主にジネンジョです。
●ダイジョ
原産は東南アジアであるが、太平洋諸島や中南米からインドやアフリカまで、もっとも広範囲に栽培されているヤムイモです。ダイジョの茎の断面は、四角く角が翼状になっているので他のヤムイモと区別できます。
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