旭化成メディカル、新型ポリスルホン膜人工腎臓の紡糸・組立一貫工場を設立
新型ポリスルホン膜人工腎臓の紡糸・組立一貫工場新設について
旭化成メディカル株式会社(本社:東京都千代田区 社長:吉田 安幸)は、自社革新技術による新型ポリスルホン膜人工腎臓(商標名APS)の製造プロセス建設を目的として、宮崎県延岡市岡富地区での紡糸・組立一貫生産工場の新設を決定しましたのでお知らせします。これにより当社のポリスルホン膜人工腎臓は、2010年3,000万本体制への拡大ステップとして、約2,600万本/年の生産能力となります。
1.新工場建設計画の概要
(1)場所 宮崎県延岡市岡富地区
(2)着工 2007年7月予定
(3)稼動 2008年9月予定
(4)生産能力 中空糸膜:600万本/年、組立:550万本/年
(5)投資額 約75億円
2.新工場建設の目的と特長
人工腎臓市場は、日本ならびに世界各国での高齢化の進展及び透析患者数増加と医療環境の整備に伴って、需要量が着実に増加しております。中でも高性能で生体適合性に優れたポリスルホン膜人工腎臓が大きな伸びを示し、今後もこの傾向は続くことが予想されます。
国内トップの人工腎臓メーカーである当社は、国内外の需要増に対する供給責任を果たすと同時に、日進月歩で進化し続ける透析医療技術の向上に貢献するために、より優れた新製品開発と生産技術革新に取り組んでまいりました。今回新設する工場は、これまでの技術開発成果を集大成することにより、以下の特長を有する最新鋭工場となります。
(1)中空糸膜の紡糸設備と最終製品の組立設備を同一工場内の連続自動プロセスで生産することにより、高い生産効率と品質安定性を実現する。
(2)従来のAPS製品シリーズの新たな品揃えとして、新型APSドライタイプ人工腎臓を国内外に供給する専用生産工場である。
(3)新型のドライタイプ人工腎臓は、従来の高性能・高品質に加えて、小型化・軽量化による取り扱い性改善、省エネと環境ニーズ対応、物流・保管効率の向上等の特長を兼ね備えている。
3.人工腎臓事業方針
当社は、今後とも透析医療に携わる方々からの信頼と満足を獲得できる「優れた製品・情報・サービス」の提供、患者様のQOL(Quality of Life)の向上、さらに世界最高水準にある日本の透析医療技術の進歩に貢献できるよう、積極的な新製品開発と拡大投資を継続していきます。本年10月に事業統合するクラレメディカル株式会社のEVOH中空糸膜製品および今回の新型APSドライタイプ人工腎臓を加えることで、製品ラインアップが拡充し多様化する透析治療ニーズにお応えすることができます。これにより、日本トップメーカーの地位を揺るぎないものとし、今後のグローバル事業拡大を加速します。
<ご参考>
〔会社概要〕
※ 関連資料参照
〔用語解説〕
1.人工透析
血液を体外に誘導し、中空糸膜(人工腎臓)を介して血液と透析液を接触させ、本来尿中に排出される尿素、クレアチニン、尿酸などの老廃物を除去して浄化された血液を体内に戻す療法。国内で約25万人が人工腎臓等による透析治療を受けている。1回4~5時間、週3回の治療が必要。
2.人工腎臓(ダイアライザー)
上記の治療を行う際の血液と透析液を接触させるための半透膜を容器に組み込んだもの。透析療法の初期にはコイル型とかキール型といわれるものも使用されていたが、紡糸技術を応用した中空糸膜が開発され、取扱性、効率性などの特長から現在ほとんどが中空糸膜型になっている。
素材としてはセルロース系(再生セルロース、セルローストリアセテート)、合成高分子系(ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタアクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体等)がある。
透析膜として使用される中空糸は、内径180~230μm(1μmは1mmの千分の1)、膜厚10~50μm、長さ約30cm。この中空糸を1万本前後束ねてカートリッジに組立てて人工腎臓にする。
3.ドライタイプ人工腎臓及びウエットタイプ人工腎臓
人工腎臓モジュールに充填液を封入したものがウェットタイプ人工腎臓、充填液を 封入していないものがドライタイプ人工腎臓。
以上