アウディAG、コンセプトモデル「アウディTTクラブスポーツクワトロスタディ」を発表
アウディTTクラブスポーツクワトロスタディを発表
-プレミアムレベルにおけるスパルタンを表現-
インゴルシュタット発:
クリーンなライン、卓越したダイナミズム、スポーツカーを彷彿とさせるドライビングキャラクター。これらがすべてのアウディTTに共通する特徴です。そしてアウディは今、史上もっともスパルタンなアウディTTクラブスポーツクワトロスタディを発表します。
アウディAGは、5月16~20日に南オーストリアにあるヴォルターゼー湖畔のライフニッツで開催された第26回ヴォルターゼーツアーで、コンセプトモデル、アウディTTクラブスポーツクワトロスタディを世界初公開しました。
ヴォルターゼーツアーは近年「GTI Meet」として知られ、ハイパフォーマンスカーエンスジアストがヨーロッパ各国から集う一大イベントです。今年は、20万人以上の参加者が5万台以上のクルマで参加すると予想されます。
アウディTTクラブスポーツクワトロスタディは、TTロードスターを純粋なドライビングマシンに仕立て上げたコンセプトモデルです。パワフルなエンジン、最先端のテクノロジー、そしてモータースポーツ直系を感じさせるさまざまなアイテムが、TT クラブスポーツクワトロスタディを彩ります。
開発担当エンジニアは、「プレミアムレベルのスパルタンとは何か」をテーマに、TTコンセプトの開発に取り組みました。キャンバストップのみならず、Aピラーさえも省かれています。コクピットは通常のフロントウィンドーではなく、ごく低い、ラップラウンド型ウィンドスクリーンで保護され、ロードスターのイメージを喚起します。その左右には、薄めのスモーク処理が施されたウィンドーストリップが配置され、運転席と助手席の背後には2個のコブ状の造形が存在感をアピールするなど、レーシングカーを連想させるデザインが施されています。TTロードスターでもお馴染みのロールオーバー・バーは、フラット化され、スポーツバケットシート最上部と同じ高さに設定されています。
圧倒的な存在を見せるシングルフレームグリルには、アルミニウムインサートを施して、広がり感を表現しています。
このデザイン処理により、TTクラブスポーツクワトロ特有のフラット&ローフォルムが強調されています。4リングエンブレムは、量産モデルではシングルフレームグリルに一体化するケースがほとんどですが、TTクラブスポーツクワトロの場合、ボンネット先端に装着されています。フロントエンド左右の巨大なエアインレットは、過去最高のパワーを誇るTFSIエンジンに大量のエアを供給するための機能パーツです。LEDデイタイムランニングライトは、常にアイキャッチャーとして異彩を放ちます。一方、リヤエンドでは、バンパーからステンレス製サイレンサーと、その直下にあるブレードが、このモデルのスポーツキャラクターをアピールします。楕円形テールパイプのデュアルエキゾーストシステムは、RS4などのピュアスポーツモデルとの関連性を物語ります。
一方、サイドシルエットからは、意図的に視覚的要素が打ち消されています。特に、エクステリアドアハンドルが装着されていないことに驚くかもしれません。TTクラブスポーツクワトロのドアは、リモートコントロールによって開閉します。リモートコントロールのボタンを押すと、ドアがスプリングによって開きます。左右ドアミラーも最小限のサイズに抑えられ、流麗なシルエットに貢献しています。20インチホイールには、265/30R20のロープロファイルタイヤが組み合わされるとともに、トレッドは80mmも拡大されています。大型化されたホイールアーチと相まって、TTクラブスポーツクワトロスタディのマッシブなフォルムがいっそう強調されています。
ボディは、アウディRS4とS8で採用されているデイトナグレーにペイントされ、スパルタンなクラブスポーツにふさわしい色調に仕立て上げられています。グリルやサイドグリルには、メタリックエレメントを装着していますが、敢えてガンメタリックにペイントすることにより、スポーツ性と同時に、ピュアでスパルタンなイメージを醸し出しています。
一方、ブレーキ・キャリパーは、鮮やかなオレンジにペイントされ、外観のアクセントになっています。また、インストルメントカウル、アームレスト、バケットシートのシートバックにもオレンジが施され、美しいコントラストを放っています。ブラックのレザーシートは、シートに施されたレーザーパターンによって特別な存在感を放っています。このシートはTTクラブスポーツ専用にデザインされ、TTロゴがあしらわれています。
エクステリアに表現されたスポーツキャラクターは、インテリアにも採用されています。したがって、インテリアデザインの基本テーマも、スパルタンです。運転席と助手席に用意されたスポーツバケットシートには、3インチ幅の4点式フルハーネスが組み合わされ、サーキット走行など、限界領域においても抜群のサポートを提供します。アルミニウムを多用するのは、アウディ特有のスタイルです。TTクラブスポーツクワトロもその例に漏れず、3スポークスポーツステアリングホイールの下部に施されたアルミニウム製のツインスポーク、スリット付ペダルにもこの素材が採用されています。アルミニウムペダルは、スリップを防止するとともに、軽量化にも貢献しています。運転席と助手席の双方に用意されたフットレストも、TTクラブスポーツクワトロの性格を物語っています。
アウディ初のミッドシップスポーツカーであるアウディR8で採用されたシフトレバーゲートおよびアルミニウム製シフトレバーも注目に値するでしょう。この軽量素材はインテリアのドアハンドルおよびドアオープナーにも使用され、削り出しのアルミニウムが室内のスパルタンなキャラクターをさらに強調しています。
量産モデルとの違いは、シルエリアにも見て取れます。市販モデルよりもインテリア側にシルストリップを装着し、ワイド感がアピールされています。フロアマットにもTTのロゴがあしらわれ、アルミニウムパーツと相まって、視覚的ハイライトを構成しています。トップショルダー部のサラウンドストラップにも、アルミニウムが使われています。
エンターテインメントにも、独自の工夫が凝らされています。TTの市販モデルのダッシュボード上部には、3個の円形エアベントが並べられていますが、TTクラブスポーツクワトロの場合、その中央の円形エレメントにバング&オルフセンのMP3プレーヤー、BeoSound2のインターフェースを埋め込んでいます。プレミアムオーディオブランドとして知られる同社は、アウディのパートナーであり、その代表作、BeoSound2は円をモチーフとするデザインが特徴です。TTクラブスポーツクワトロの円形エレメントとも見事に融合し、視覚的にも、音響的にも豊かな世界を創り上げています。
インストルメントクラスターは、市販されているTTとの差異が強く感じられます。真下を示す針とカラーグラフィックが、見る者の目を奪います。スパルタンな1台、という基本コンセプトに基づいて、時計やオドメーターは省略されました。
TTクラブスポーツクワトロは、そのテクノロジーでもレーシングキャラクターを意識させます。アウディのエンジニア陣は、この車に2.0リッターTFSIエンジンを組み合わせ、アウディS3に搭載された同エンジンの最高出力265psをさらに上回るパワーを獲得しています。この4気筒ガソリン直噴ターボエンジンは、高効率が評価され、2005、2006年と2年連続で「エンジンオブザイヤー」を受賞していますが、今回は、さらにインテークマニホールドに改良のメスを入れ、ついに300psの大台に達するパワーを実現させました。この強大なエンジンパワーは、クワトロフルタイム4WDシステムを介して、4輪に伝達されます。TTクラブスポーツクワトロは、4気筒ユニットとクワトロを組み合わせる新世代のTTです。
トランスミッションも、新たな時代へと突入しています。デュアルクラッチを特徴とするSトロニックダイレクトシフトギアボックスは、パワーフローを中断することはありません。しかもシフトチェンジは非常に滑らかに行われるため、ドライバーでさえその瞬間に気づかないでしょう。マニュアル操作によって6速ギアボックスの変速を積極的に行うことも可能です。その際にもシフトチェンジはコンマ数秒単位で完了します。
ボンネットを開けると、そこには魅力的な光景が待っています。ケーブルや補器類が見当たらないエンジンルームは、非常に新鮮でクリーンな印象を与えます。一方、エンジンには、敢えてカバーを施していません。エンジン上部を横に走るクロスブレースには、工夫が込められています。ボディ剛性を高めることはもちろん、その内部にはクーラントリザーブタンクが収納されています。さらに、ABSシステムをインテリアに移動させただけでなく、エアコンディショナーや活性炭フィルターもエンジンルームには存在していません。エアフィルターにはレーシングタイプを採用、エンジンに十分なエアを導入しています。エキゾーストシステムは、TTクラブスポーツクワトロのスポーティなキャラクターに合わせて専用チューン。排気音にもチューニングを施した結果、レーシングカーそのもののサウンドを奏でます。
TTクラブスポーツクワトロは、TTモデルラインアップで初めてセラミックブレーキが採用されました。耐フェード性が非常に高く、制動力の低下なしに常にシャープなブレーキングを約束します。アウディはこのブレーキをRS4、A8、S8などに装着し、ユーザーにも高い評価を受けるなど、すでに多くの実績を築いています。
アウディTTクラブスポーツクワトロは、スポーツカーのパフォーマンスとアウディ独自のデザイン手法を融合させる、スパルタンなドライビングマシンです。TT特有の雰囲気を漂わせながら、TTのポテンシャルを存分に引き出し、その可能性を追求しています。なお、アウディは、TTクラブスポーツクワトロの少量生産を検討しています。
日本市場への導入については未定です。
■お客様の本件に関するお問い合わせ先
アウディコミュニケーションセンター0120 598 106