米IBMとサムスン電子など5社、32nm半導体プロセス開発と生産技術で協業
IBM、チャータード、サムスン、インフィニオン、フリースケールの5社が
32nmテクノロジー開発で連携
最先端32nm半導体プロセス開発と生産技術で協業
2007年5月23日(現地時間)、イースト・フィッシュキル(米国ニューヨーク州)/ シンガポール(シンガポール)/ ミュンヘン(ドイツ)/ソウル(韓国)/オースチン(米国テキサス州)
将来のテクノロジー・リーダーを目指し継続的な取り組みを進めている、IBMとCommon PlatformTM テクノロジー・パートナーであるチャータード・セミコンダクター・マニュファクチャリングとサムスン電子、さらに共同開発アライアンス・パートナーであるインフィニオンテクノロジーズとフリースケール・セミコンダクタの5社は、このたび半導体プロセス技術および同生産技術の開発を共同で行うことに合意しました。
今回の5社による共同開発の合意には、32nmバルクCMOSプロセス技術とそれを支援するプロセス・デザイン・キット(PDK)の開発が含まれています。
共同開発および製造におけるこれまでの90nm、65nmおよび45nmの実績を踏まえて、Common Platformのアライアンス・パートナーは高性能で電力効率に優れた32nmのチップを製造できるようになる予定です。
パートナー企業は2010年まで、先端技術によるデザイン、開発および製造において互いの専門知識と経験を活かし、協業していく予定です。この5社およびその他の企業は、次世代の携帯機器から世界最高性能のスーパーコンピュータにいたる広範囲なシステムのための主要なプラットフォームであるこれらの技術を、医療、通信、輸送およびセキュリティ分野における現実的な課題を解決するために活用することができます。
■テクノロジー・リーダーシップを確立する、共同開発によるイノベーション
IBM Global Engineering Solutionsで半導体ソリューション部門のゼネラル・マネージャを務めるマイケル・キャディガン(Michael Cadigan)は、「IBMは現在でもまた将来においても一貫して、テクノロジー・リーダーシップを確立するための鍵はコラボレーティブ・イノベーションにあると確信しています。32nm世代への共同開発契約の延長は、製造およびIBMのリサーチ部門を含む10年以上にわたる共同開発モデルの実績を補完するもので、IBMはパートナー企業と共同で、人々の娯楽や仕事、生活様式を劇的に変える先進技術の提供に取り組んでいきます」と語っています。
インフィニオンテクノロジーズの基礎技術およびサービス部門を率いる上級副社長のフランツ・ネプル(Franz Neppl)は次のように述べています。「インフィニオンは、このアライアンスを通じて最先端技術を開発し、その技術を用いた製品製造を行う戦略を継続します。インフィニオンのアプリケーションおよび製品設計上のノウハウと併せて、共同開発によるテクノロジーは、当社のお客様にコスト効率の高いシステム・オン・シリコンのソリューションと通信および自動車/産業分野での我々のコア・ビジネスのための優れた製品製造能力を提供してくれるでしょう」。
また、サムスン電子半導体総括システムLSI事業部社長の権五鉉(グォン・オヒョン)は「32nmノードでは、材料とデバイス構造の両面において新しい大きなチャレンジが必要となります。我々は、業界リーダーとして多様な知識経験を有するパートナー企業と共同で作業することにより、半導体技術に大きな進歩を提供できると期待しています」と語っている。
Common Platform テクノロジーの製造メーカーであるIBM、チャータード、サムスンの3社は共同開発による32nmプロセス技術および製造設備と相関のあるデザイン・キットの利用が可能になります。これにより、それぞれ大量の需要をかかえマルチソーシング(複数調達先)モデルを必要とし、かつ最先端プロセス技術の早期利用を期待しているOEM顧客向けに、ほぼ同品質のチップを製造、供給する柔軟性を提供することが可能となります。
5社は協力して、高性能で低スタンバイ電力の製品を供給するために業界をリードするテクノロジーを以下の方法で開発します。
・性能面での優位性を維持しつつ、低コストと複雑さを最小限にとどめることを追求
・high-k/メタルゲート、先進歪みシリコン技術などの新しい材料や製造ラインの後半の工程(BEOL)における究極のlow-k 絶縁膜の導入
・最先端の液浸リソグラフィ技術の実用化による、競争力の高い集積度とチップサイズの実現
・デジタル通信市場向けの高品質アナログモデルへの注力
・RF CMOSやエンベデッドDRAM(eDRAM)等の派生テクノロジー向けプラットフォームの提供
さらに、製造プラットフォームのパートナー各社が共通の電気的製造仕様を用いることにより、パートナー間のテクノロジー移転はさらに容易になります。
チャータード・セミコンダクターの社長兼CEOであるチア・ソン・フィー(Chia Song Hwee)は次のように述べています「業界はすでに、強固でコスト効率の優れたソリューションを開発する場合の共同作業モデルの有効性と重要性を認識しています。このモデルにおける第4ノードでの共同開発を行うにあたって、我々はお客様中心のソリューション提供を推進するために各社がいかにして独自の得意技術と専門的知識を持ち寄るかを確認しています。この共同開発の結果は、世界レベルの柔軟性に富んだ製品供給ソリューションをお客様に提供するためのプラットフォームとして役立っています」。
32nmノードでの共同開発には、以前の共同開発と同様に、使用するパッケージの共同開発も含まれています。このパッケージはお客様に共通のデザインツールをサポートし、お客様は各社固有の製品にこの先端技術をフル活用することが可能となります。
従来ノードと同様に、32nmプロセス技術の開発はイースト・フィッシュキル(ニューヨーク州)にあるIBM社の300mm最新半導体製造施設で行われます。
フリースケールはこの発表に先駆け1月23日に共同開発への参加を発表しています。
■IBMについて
IBMの詳細については、下記サイトをご覧ください。
http://www.ibm.com/chips (英語)
■チャータードについて
世界有数の半導体ファウンドリーであるチャータード・セミコンダクター・マニュファクチャリング社 (ナスダック: CHRT, シンガポール証券取引所: CHARTERED)は, システム・オン・チップ設計を可能にする65nmまでの最新鋭技術を提供しています。また32nmまでの技術ロードマップに基づく共同開発により、顧客のニーズに対応しています。チャータードの戦略は、オープンな総合的デザイン有効化ソリューション、製造能力強化戦略、そして柔軟な調達に対応するコミットメントに基づいており、シンガポールに300mm工場と4つの200mm工場を操業中です。詳細はWebサイト www.charteredsemi.com で入手可能です。
■サムスン電子(Samsung Electronics)について
サムスン電子は、半導体/LCD/情報通信/デジタルメディア/生活家電の5つの主要な事業部で構成されています。2006年の売上は634億米ドル、純利益は85億米ドル、世界56カ国、120以上の事業所に約138.000人が勤務しています。
世界16ヶ所にR&D拠点を有し、サムスン電子全社員の4分の1が研究開発に従事しています。また世界6カ国のデザインセンターをネットワーク化し、積極的なデザイン改革を進めています。サムスン電子は世界で最も急成長しているブランドの一つとして認識され、これからも人材と技術を通じて人類社会の発展に貢献してまいります。詳しくは www.samsung.com をご覧下さい。
■インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、エネルギー効率、コネクティビティ、セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2006会計年度(9月決算)の売上高は79億ユーロ(キマンダの売上高38億ユーロを含む)、従業員は世界全体で約4万2,000人(キマンダの従業員約1万2,000人を含む)でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米国ではカリフォルニア州ミルピタス、アジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
ドイツ本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
■フリースケール・セミコンダクタについて
フリースケール・セミコンダクタ・インクは、自動車用、民生用、産業用、ネットワーキングおよびワイヤレス・マーケット向け組込み用半導体のデザインと製造の世界的リーダーです。フリースケールは、テキサス州オースチンを本拠地に、世界30カ国以上の国で、半導体のデザイン、研究開発、製造ならびに営業活動を行っています。フリースケールは世界的な大手半導体メーカーです。2006年度の売上高は64億ドル(USD)でした。詳細は、 http://www.freescale.com (英語)、または http://www.freescale.co.jp/ (日本語)をご覧ください。
■Common Platform について
IBM、チャータード、およびサムスンの3社は、最先端のデジタルCMOSプロセス技術と先進的な製造技術に焦点を合わせたユニークな共同開発体制で半導体産業界に新境地を開いています。Common PlatformモデルはEDA、IPおよびデザイン・サービス業界からのデザインおよびそれらを実行するビジネス・パートナーの包括的エコシステムによってサポートされています。このエコシステムにより、ファウンドリー・ユーザーは彼らのチップデザインをこれまでにない高い柔軟性と選択肢を備えた複数の300mmファウンドリーに同時に発注することが可能となっています。このCommon Platform モデルは90nm、65nm、45nmおよび32nmテクノロジーに適用可能です。
Common Platform の概念と共同開発は、先端技術を共同で開発すること、およびお互いのお客様に対して複数のファウンドリーにまたがる製造能力を提供するというチャータード社とIBM社間の合意により2002年11月にスタートしています。その後2004年3月にサムスン社が加わり、この時以来3社は世界をリードするいくつかのエレクトロニクス企業の協力を得て、最先端テクノロジーの提供およびCommon Platform が可能とするシームレスな製品供給体制を実現して来ました。
※Common Platformは、IBM Corporationの商標です。
この資料に記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。