ルネサステクノロジ、高性能CPUコア搭載のフラッシュメモリ内蔵32ビットマイコン2品を製品化
産業機器や民生機器等の幅広い分野向けに、フラッシュメモリ内蔵32ビットマイコン「R32C/118グループ」を製品化
― 当社従来品と互換性のある高性能CPUコア「R32C/100」を搭載し、
約2.2倍の処理性能向上により、機器の高性能化を実現可能 ―
株式会社ルネサス テクノロジ(本社: 東京都千代田区、会長&CEO 伊藤 達)は、このたび、32ビットの高性能CPUコア「R32C/100」を搭載した「R32C/100シリーズ」において、産業機器やカーオーディオ等の民生機器を始めとした幅広い用途に適用可能なフラッシュメモリ内蔵マイコン「R32C/118グループ」を計2品種、製品化しました。2007年9月からサンプル出荷を開始します。
「R32C/100シリーズ」は、自動車や産業、民生機器などの制御用CISC(Complex Instruction Set Computer)マイコンとして高い実績がある「M16Cファミリ」(注1)の最上位シリーズです。また、本「R32C/118グループ」は、「M16Cファミリ」における「M32C/80シリーズ」の後継品であり、特長は以下のとおりです。
(1) 当社従来品「M32C/80シリーズ」に対し、処理性能を約2.2倍に向上
本グループが搭載しているCISC CPUコア「R32C/100」は、「M16Cファミリ」における既存のCPUコアと上位互換の最上位CPUコアで、加えて、演算処理性能やバス使用効率、コード効率を改善しています。また、本グループの最大動作周波数は、「M32C/80シリーズ」での32MHzから48MHzに高速化しており、CPUコアアーキテクチャの改善と合わせ、処理性能を約2.2倍に向上しています。
上位互換であることから、既存のソフトウェアを流用でき、加えて機器の高性能化を図ることが容易です。
(2) 幅広い用途に適用可能な周辺機能の構成
本グループは、車載機器分野やFAなどの産業分野のネットワークで広く使用されているCAN(注2)モジュールを搭載しています。また、従来製品の「M32C/80シリーズ」に対し、シリアルインタフェースを7チャネルから9チャネルと強化している他、ウォッチドッグタイマやDMAコントローラ、高機能タイマ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータなど、幅広い用途への適用に適した構成の豊富な周辺機能を内蔵しています。
(3) 動作電圧範囲拡大やピン配置互換により、既存資産の流用や機器の高性能化を実現可能
最大動作周波数で動作する電圧範囲は、当社従来品「M32C/80シリーズ」の4.2~5.5V(32MHz動作)に対し、本グループは、48MHz動作に高速化しながらも、3.0V~5.5Vと動作電圧の下限を拡大しています。また、従来品とピン配置互換、周辺機能上位互換を維持しています。これにより、ユーザは既存のハードウェア資産を流用することができ、加えて機器性能向上や機能拡張を図る開発が可能です。
<製品化の背景>
近年、産業機器や民生機器、OA機器などの組み込み機器の制御分野では、機器の高機能化や高性能化、インテリジェント化が進む一方で、機器はさらなる低価格が図られています。このため、機器制御の中心であるマイコンに対しては、これらを実現する機能や性能が求められるとともに、低価格化に対応したコストパフォーマンスに優れた製品が望まれています。
加えて、制御用ソフトウェアは、高機能化にともなってプログラムサイズが大規模になり、プログラム開発期間が長期化しています。このため、機器開発に際しては、ソフトウェア、ハードウェアともに既存の資産を有効に活用できることが、ますます重要になっています。
当社は、これまでこのような機器制御向けマイコンに対するニーズに対応するため、機能の上位互換性やピン配置互換性を配慮した「M16Cファミリ」を製品化し、多くの機器に採用され、好評を得ています。そして、今回、さらなる市場ニーズに対応するため、従来品との互換性を維持しつつ、高性能CPUコアを搭載した「R32C/100シリーズ」において、「R32C/118グループ」計2品種を製品化しました。
<製品の補足>
「R32C/118グループ」が搭載している「R32C/100」CPUコアは、「M16Cファミリ」の最上位CPUコアで、以下の内容により高性能化を図った高性能CPUコアです。
・32ビット乗算器や単精度浮動小数点演算器を内蔵、かつバレルシフタの強化等により、演算処理性能を飛躍的に向上。
・内部メモリバス幅の拡張によるバス効率の改善。
・命令セットの最適化によるコード効率の改善。
・内部演算回路を工夫し、「32ビット×32ビット+64ビット → 64ビット」の積和演算を1クロックで実現。
・アドレス空間を64Mバイトへ拡張し、大容量の外部メモリや周辺デバイスを接続可能。
「R32C/118グループ」は、動作電圧が3.0V~5.5Vで、最大動作周波数は48MHzです。また、本グループは、当社従来品「M32C/80シリーズ」の後継品であり、処理性能は約2.2倍に向上しています。また、40Kバイトの大容量RAMを内蔵しており、通信履歴データなどを格納する用途にも適用可能です。
さらに、本グループは、産業機器やカーオーディオ等の民生機器など幅広い市場向けに適した構成の周辺機能を搭載しています。LAN対応として、自動車やFAなどの産業機器で広く使用されているCANモジュール(32スロットメッセージバッファ対応)を2チャネル搭載しています。これにより、CANを使用したネットワーク対応機器の開発が容易です。また、シリアルインタフェースについて、従来品「M32C/80シリーズ」での最大7チャネルを9チャネルに強化しています。これにより、機器の高機能化に伴う制御対象の増加に容易に対応可能です。その他、ウォッチドッグタイマや高機能タイマ、DMAコントローラを4チャネル、10ビットA/Dコンバータを26チャネル、8ビットD/Aコンバータを2チャネル、通信データの信頼性を向上するCRC演算回路、画像データの反転や拡大などを高速に実行するX-Y変換回路など、幅広い用途に適した構成の豊富な周辺機能を内蔵しています。
さらに、512Kバイトの大容量フラッシュメモリを内蔵しているため、プログラムの大容量化に対応できます。また、プログラム格納用途とは別に、データ格納用途として8Kバイトのデータフラッシュ(注3)領域を設けています。本フラッシュメモリを使用することで、従来は外付けしていたEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)を削減できるため、部品点数を低減できます。
加えて、1線式デバッグインタフェースを搭載しています。本インタフェースは、マイコンの端子を1本使用するだけでエミュレータへ接続できるため、ユーザは実動作状態でデバッグすることが可能です。また、本インタフェースにより、内蔵フラッシュメモリのオンボード書き換えも可能です。開発ツールとしては、「E30A」エミュレータ(開発中)を提供します。
パッケージは、「M32C/80シリーズ」と同じ100ピンLQFPを採用しています。
今後、更なる幅広い市場に対応するため、内蔵フラッシュメモリ容量が256Kバイトから1Mバイトの製品、内蔵RAM容量が40Kバイトから64Kバイトの製品、さらに、144ピンLQFP等のパッケージ品や5Vトレラント対応品、ネットワークシステムコントローラ内蔵品などの豊富なラインアップを揃え、市場ニーズに対応していきます。
■ 注記
(注1) M16Cファミリ: 制御系CISCマイコン(マイクロコントローラ)で、M16CシリーズとM32Cシリーズによる16ビットから32ビットまでの多彩な製品ラインアップがある。高効率C言語対応、優れたノイズ特性、低消費電力、豊富な内蔵周辺機能などを特長とする。同一アーキテクチャで、ピン配置互換、周辺機能上位互換を保持したローエンドからハイエンドまでのシリーズ展開により、自動車分野、産業分野、民生分野などの幅広い応用分野に対応している。
(注2) CAN(Controller Area Network)は、独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用ネットワーク仕様。
(注3) データフラッシュ: 当社独自のもので、通常はソフトウェア格納用として使用されるフラッシュメモリとは別に、主にデータ格納用として使用するフラッシュメモリ。
* 記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■ 応用機器例
カーオーディオ、オーディオ等の民生機器、FA等の産業機器他
■ 価格
・製品名/サンプル価格(円)<税込>
R32C/118グループ
R5F64186NFB 1,400
R5F64186DFB 1,550
・内蔵フラッシュメモリ/RAM
512KB+8KB/40KB
・パッケージ
100ピンLQFP
■ 仕様
* 関連資料 参照
■ お客様からの問い合わせ先
株式会社ルネサス テクノロジ マイコン統括本部 マイコン製品技術統括部
マイコン製品技術第一部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号(日本ビル)
電話 03(5201)5249 (ダイヤルイン)
以 上