野村総研、国内主要資産運用会社の株式電子取引に関する実態調査結果を発表
国内主要資産運用会社の株式電子取引の実態調査を実施
~ DMAへの取り組み方に温度差、アルゴリズム取引は黎明期 ~
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は今年2月から3月にかけて、「国内主要資産運用会社のトレーディングに関する実態調査」を実施しました。調査対象は、投資顧問、投信、生保、信託銀行など資産運用会社の中から、電子取引への関心が高いと思われる、比較的大きな運用資産残高を有する会社を中心とする48社を抽出し、34社から回答を得ました。その結果、これまで実態が明らかになっていなかった株式の電子取引、特にDMA(Direct Market Access)やアルゴリズム取引への、国内主要資産運用会社における取り組み状況や意識などが分かりました。
DMAとは、資産運用会社のトレーダーが証券会社のシステムを介して、あたかも取引所に直接注文を出しているかのような取引を可能にするサービスです。資産運用会社が証券会社のトレーダーに対して株式売買の指示を行い執行する、という従来の方法に比べ、素早い売買を可能にします。
アルゴリズム取引とは、資産運用会社のトレーダーに代わってコンピューターがプログラムに沿って自動的に注文を行うサービスです。トレーダーは、自らの執行ニーズにあったアルゴリズムを選択することで、売買執行を効率的かつ有利に進めることできます。例えば、自らが行う売買で株価が上下してしまう影響を最小限にとどめることも可能です。
DMAとアルゴリズム取引は、米国ではすでに一般的です。日本でも、情報技術・金融技術の発達と、資産運用会社のトレーダーのプロフェッショナル化を背景に、今後普及していくものと思われます。
【 DMA普及率は4割超も未導入の会社は消極的 】
今回の調査結果から、国内主要資産運用会社でのDMA普及率は44.1%であることが判明しました(図1)。またDMAを導入している資産運用会社の中には、計らい注文の8割以上をDMAで執行している会社が4割近く存在します(図2)。一方、導入していない会社の半数はDMAの必要性を感じていません(図3)。国内の主要資産運用会社において、DMAに対する取り組み方に大きな温度差が存在することが分かりました。
【 アルゴリズム取引は普及拡大の見込み 】
今回の調査結果から、アルゴリズム取引を利用したことのある会社は35.2%あり、利用を検討しているところも41.2%で、今後普及が進んでいく可能性が高いことが分かりました(図4)。また、現在も今後もアルゴリズム取引を利用するつもりのない会社にその理由を聞いたところ、「人間の介入がないことが不安」と「アルゴリズム取引を適切に評価する手段がない」との回答がともに最多でした(図5)。また、アルゴリズム取引を現在利用、または今後利用を検討している会社の多くが、アルゴリズム取引をコントロールするための機能が必要であると感じています(図6)。今後、評価手法やモニタリング機能の整備が期待されるという意味において、日本におけるアルゴリズム取引は黎明期にあると分析できます。
NRIでは、上記を含むアンケート調査の結果をレポート(「金融ITフォーカス特別号:日本の資産運用会社のトレーディング2007」)にまとめ、「TradeTech Japan」*のNRIブースにおいて配布する他、NRIホームページでの公開(6月7日より)を予定しております。
*6月4日~5日、東京三田のウェスティンホテル東京にて開催(Worldwide Business Research社主催)
*参考資料あり。