NEC、ユーザビリティの高いシステムを開発できる仕組みを構築
ユーザ中心設計プロセスを取り込んだシステム開発手法を体系化して
ユーザビリティの向上を推進
NECはこのたび、ユーザ中心設計プロセスの国際標準(ISO13407/JIS Z8530:注1)を社内のSI標準プロセスに組込み、そのプロセスに従うことでユーザビリティの高いシステムを開発できる仕組みを構築しました。
このたびの取り組みは、「SystemDirector Enterprise(注2)」をベースとした社内のSI標準に、国際標準化されているユーザビリティ重視の視点をシステム開発現場における具体的な手順として体系化して盛り込んだもので、NECが受託開発するシステムのユーザビリティのさらなる向上を図ると共に、システムのユーザインタフェース(以下UI)部分の開発効率を向上して開発コストの低減を目指すものです。
このたび構築した仕組みを試験的に新規のシステム構築案件に適用したところ、UI部分に関する設計及び仕様化に必要なコストを6~7割程度削減することができました。
従来、システムのユーザビリティ向上は、完成したシステムを評価し、その結果を次期バージョンに反映させるという形で行っていました。しかし、これでは、完成したシステムのUIが顧客の求めるイメージと異なった場合に作り直しが必要となり、また、運用開始後に顧客からUIの改善要求が出されたとしても次のバージョンアップまで待たなければならず、修正に時間がかかるという課題がありました。
こうした課題を克服し、顧客満足度の高いシステムを提供するため、現在、NECでは、同社中央研究所内のヒューマンインタフェースセンターが、個々の開発プロジェクトに上流工程から入り込み、専門的な視点からユーザビリティ向上のためのコンサルティングを行っています。また、事業領域毎にUI設計ガイドラインやUI部品を作ることで、開発効率化を図ってきました。
今回の取り組みでは、従来行ってきたこれらの個別の取り組みを体系化し、国際標準であるユーザ中心設計プロセスを開発プロセスに組み込むことで、各開発フェーズで担当者が参照できるドキュメント体系を整備しました。この結果、プロジェクトマネージャーやUI標準策定者をはじめとするシステム開発担当者がユーザビリティ向上のために何をすべきかが具体化し、担当者ごとに異なる「使いやすさ」の基準の統一も実現したため、ユーザビリティの高い製品を効率的に開発できるようになります。
なお、このドキュメント体系はアクセシビリティについてのガイドラインも含んでいるため、本プロセスに従うことで、アクセシビリティ規格「JIS X8341」にも準拠したシステムを構築することができます。
NECは今後、この標準開発プロセスを社内の主なUIに適用し、顧客にユーザビリティの高い製品を効率よく提供していきます。
以 上
(注1)ISO13407:Human-centered design processes for interactive systems 1999
JIS Z8530:人間工学-インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス(2000)
(注2)SystemDirector Enterprise:
NECグループが培ったSIノウハウを結集し、オープン技術を用いたシステム開発における開発方法論、開発基盤、サポートサービスを体系化したシステム開発向け統合開発環境。
【 本件に関するお客様からのお問い合わせ先 】
NEC 研究企画部 企画戦略グループ
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