米IBM、通信やコンシューマーなど向け半導体チップ・テクノロジーのイノベーションを発表
IBM、半導体チップ・テクノロジーのイノベーションを発表
新しいテクノロジーが通信、ストレージ、携帯市場におけるワイヤレス機器のチップの高集積化と低消費電力でのパフォーマンス向上に貢献
[米国カリフォルニア州サンディエゴ 2007年6月5日(現地時間)発]
IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長:サミュエル・J・パルミサーノ、NYSE:IBM)は5日(現地時間)、2007年度のDesign Automation Conference(DAC)において、チップ・テクノロジーの飛躍的進歩から生まれた半導体の新製品を発表しました。その一つであるCu-45 High Performance Custom Chip(Cu-45HP ASIC)は、これまで高性能マイクロプロセッサーにのみ使われていたSOI(Silicon On Insulator)技術を、通信やコンシューマーなど主要な市場向けに初めて商用展開をするものです。またこのCu-45HP ASIC製品は、SOIテクノロジーを利用した新世代のeDRAM(embedded Dynamic Random Access Memory)を業界で初めて搭載したものです。なおeDRAMにおけるSOIテクノロジーの利用は、IBMが2007年2月に「International Solid State Circuits Conference(ISSCC)」で発表しています。
ASICは、航空宇宙、防衛、ストレージ、家庭用電化製品、ネットワーク機器などの主要業界における製品や、その他の高度な画像処理の必要なマルチメディア・アプリケーションの差別化を目的とする、特定用途向け半導体です。ASICの一例として、携帯電話専用のチップが挙げられます。
IBMのサーバー製品に搭載された、6世代にわたるPower Architecture TM プロセッサーにおいて不可欠なSOIテクノロジーは、業界で標準的に使われているCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)テクノロジーに比べ最大で30%高いパフォーマンスを発揮します。
SOIを利用したIBMの新しい45nm eDRAMテクノロジーは、プロセッサー上のメモリー・パフォーマンスの劇的向上を実現できるだけでなく、従来型のSRAM(Static Random Access Memory)に比べてサイズは約3分の1、待機時の消費電力は5分の1ですみます。
またIBMは5日、携帯端末などのワイヤレス製品を対象とする、デジタルおよびアナログ半導体製品3種も発表しました。これらの新製品にはオンチップ・インテグレーションを促進する機能が盛り込まれており、コスト効率、パフォーマンス、集積密度の向上に貢献します。
・SiGe BiCMOS 5PAe-このシリコンゲルマニウム・ベースのアナログ半導体は、IBMの「Through-Silicon Via」テクノロジーを利用した初の製品です。携帯電話、移動電話、およびWLAN/WiMAXアプリケーション用の電力増幅器を設計するお客様の場合、当製品を使用することでコスト削減が可能になります。
・CMOS 11LP-携帯端末設計の際にデバイス・リークを抑制できるよう最適化された半導体で、低リーク型SRAMと2つのスタンダード・セル・ライブラリーを備えています。なお、最新鋭の液浸液浸露光技術をベースに構築されています。
・SiGe BiCMOS 6WLテクノロジー-既存のIBMテクノロジーのコスト効率を最適化したバージョンです。この製品は、携帯電話、WLAN、GPS機器といった大量コンシューマー・アプリケーション用に高性能のアナログ半導体を使いたいというお客様に価値をもたらします。
IBM Global Engineering Solution(GES)セミコンダクターおよびサービス担当バイス・プレジデントのトム・リーブス(Tom Reeves)は次のように語っています。「研究およびイノベーションにおいて最も進んでいるIBMの技術を活用した半導体製品を、いよいよ市場に提供できるようになりました。初の45nm ASIC SOIチップから、新しいeDRAMやチップ・インテグレーション・テクノロジーの利用まで、今回の新製品には多彩な進歩が盛り込まれています。これにより、フレキシブルでコスト効率の優れた製品が実現し、お客様の要望に合わせたIBMの半導体ソリューションの価値が発揮できます。」
IBM(R) SiGe BiCMOS 6WL設計キットはすでに提供を開始しています。またSiGe BiCMOS 5PAe 設計キットは2007年夏、CMOS 11LPファウンドリー製品の初の設計キットは2007年後半に、それぞれ提供を開始する予定です。また、Cu-45HP ASICは2008年早々に提供を開始する予定です。
マイクロエレクトロニクスにおけるIBMのイノベーションと、画期的なSystem-on-a-Chipの設計は、半導体産業を大きく進歩させてきました。IBMが達成した飛躍的進歩の例としては、トランジスターの機能を増強すると同時にそのサイズを現在の限度を超えて縮小できるHigh-k(高誘電率ゲート絶縁膜)、2コアおよびマルチ・コアのマイクロプロセッサー、オンチップ銅配線、SOI、およびシリコンゲルマニウムのトランジスター、歪みシリコン、そしてコンピューター・チップが自身の状態変化に自律的に対応できる技術「eFUSE」などがあります。IBMが培ってきた40年におよぶ半導体分野のイノベーションに対し、技術分野における米国最高の栄誉であるNational Medal of Technology(アメリカ国家技術賞)が、米国政府から贈られています。
IBMのサーバー、ストレージ・システム、世界最速のスーパーコンピューター、そして広く知られ普及している多くの通信および家電ブランド製品の心臓部には、IBMのチップが使われています。
IBMマイクロエレクトロニクスの詳細は、http://www.ibm.com/chips/をご覧ください。
以 上
当報道資料は2007年6月5日(現地時間)にIBM Corporationが発表したものの抄訳です。なお原文は下記URLを参照ください。
http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/21648.wss
IBM、Power Architectureは、IBM Corporationの商標。
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