シェリング・プラウとバイエル薬品、6月11日から高脂血症治療剤「ゼチーア」を販売開始
高脂血症治療剤「ゼチーア」6月11日新発売
-世界初の小腸コレステロールトランスポーター阻害剤-
シェリング・プラウとバイエル薬品が共同販売
シェリング・プラウ株式会社(本社:大阪市中央区 社長:鳥居正男)とバイエル薬品株式会社(本社:大阪市淀川区 社長:ジャン‐リュック・ロビンスキー)は、高脂血症治療剤「ゼチーア錠10mg」(Zetia(R)Tablets 10mg)(一般名:エゼチミブ)を、「1ブランド2チャンネル」による共同販売のもと、6月11日新発売いたします。
◆日本で18年ぶりに登場した新しい作用メカニズムを持つ高脂血症治療剤「ゼチーア」
世界初の小腸コレステロールトランスポーター(輸送タンパク)阻害剤である「ゼチーア」は、既存の高脂血症治療剤(スタチン系、フィブラート系など)とはまったく異なる新しい作用メカニズムを持つ高脂血症治療剤として、4月18日、日本で18年ぶりに承認されました。今後「ゼチーア」が、日本における高脂血症治療の選択肢を広げ、動脈硬化による脳・心血管系疾患の発症の軽減に貢献することが期待されています。
生体内のコレステロールには、主に肝臓で合成されるものと小腸で吸収されるものがあります。小腸で吸収されるコレステロールには、肝臓から小腸に排泄される胆汁性コレステロールと、食事に含まれる食事性コレステロールがあります。ゼチーアは小腸においてこれらの胆汁性および食事性コレステロールの吸収を選択的に阻害することにより、血中のコレステロールを効果的に減少させます。
◆科学的インパクトをもたらした、「ゼチーア」の創生と標的タンパク(小腸コレステロールトランスポーター)の解明
これまで、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン系)の開発(約20年前に最初のスタチンが米国に登場)は、肝臓におけるコレステロールの合成経路について多くの新しい知見を生み出しました。一方、小腸からのコレステロール吸収メカニズムについては、ほとんど解明されていませんでした。「ゼチーア」がシェリング・プラウの研究所で創生されると、その作用メカニズムを明らかにする研究が進められ、その標的タンパクとして小腸コレステロールトランスポーター(Niemann-Pick C1 like 1)が特定されました。この成果は、世界で初めて、小腸におけるコレステロール吸収のメカニズムを解明するものとされ、科学論文誌として権威ある「サイエンス」(2004年2月号)に掲載されました。この論文は、欧米の学会で高く評価され、革新的新薬の創生に贈られる、「米国年間最優秀循環器系化合物賞」「ドイツ年間最優秀革新的治療薬賞」を2004年に、また、「スイス・ガリエン賞」、「フランスMEDEC年間最優秀治療薬賞」を2005年に受賞し、昨年の2006年には「米国研究製薬工業協会 創薬者賞」を受賞しました。
◆「ゼチーア」が提供できる治療の選択肢
ファーストラインとしての単独投与、スタチンとの併用投与
日本人の総コレステロール値は、食生活の欧米化などにより上昇傾向にあります。高コレステロール血症は自覚症状がないのでサイレントキラーとも言われ、放置すると動脈硬化を招き、知らない間に脳卒中や心臓病など、脳・心血管系疾患の発症につながります。潜在患者も含めた日本の高コレステロール血症患者数は約3,000万人とも推定され、そのうち約8割の患者さんが未治療と考えられています。ゼチーアは効率的にLDLコレステロール(“悪玉”コレステロール)を低下させ、ファーストラインとして単独投与、ならびに各種スタチンとゼチーアを併用投与することにより、LDLコレステロールをさらに低下させる効果が期待できます。
◆すでに世界で1,000万人以上に処方されている「ゼチーア」
2002年米国FDA承認以来、「ゼチーア」はすでに世界90ヵ国以上で承認・販売され、その効果と安全性の高い評価により1,000万人以上の患者さんに処方されています。また、小さな錠剤(直径8.1mm、短径4.1mm、厚さ2.4mm)の1日1回投与なので、飲みやすく良好な服薬コンプライアンスが期待できます。
◆シェリング・プラウとバイエル薬品から「ゼチーア」を日本の患者さんに
シェリング・プラウ創製の「ゼチーア」は、すでに全世界の患者さんに処方され豊富なデータを有します。また、バイエル薬品は、高血圧や糖尿病といった脳・心血管系疾患に関連する製品を多く手がけています。このように、両社それぞれの強みを活かして共同で「ゼチーア」を販売していくことは、日本の高脂血症の患者さんにとって、大きな意義をもたらすものと期待されます。
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(※参考資料あり)