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2024'11.24.Sun
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2007'06.14.Thu

独メルク、結腸直腸癌に対するアービタックスの有効性を示す試験結果を発表

ドイツメルク
結腸直腸癌に対するアービタックス(R)の有効性を裏付ける多様な試験結果を発表


 メルク株式会社(本社 東京、社長 クラウス・ディール)の親会社であるMerck KGaA(本社 ドイツ ダルムシュタット市、会長 カール-ルドウィッグ・クライ)は2007年6月5日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、同社の分子標的薬アービタックス(R)(セツキシマブ)に関し、転移性結腸直腸癌(mCRC)のファーストライン治療およびセカンドライン治療における本剤の一貫した有効性を示した新しい試験結果が発表されたことを公表しました。

 ASCOで発表された2つの新しい試験では、2つの異なるタイプの化学療法と併用した場合のmCRC患者における有効なファーストライン治療としてのアービタックス(R)の可能性を検証しています。CRYSTAL(*a)試験―アービタックス(R)+FOLFIRI(イリノテカン・ベースの治療法)群をFOLFIRI単独療法群と比較した第III相試験―では、前治療のないmCRC患者において主要評価項目である無増悪生存期間中央値が有意に延長されたという結果が得られました。この国際的な無作為化比較試験は1,000例以上の患者を対象に行われ、アービタックス(R)+FOLFIRI群(8.9ヶ月)がFOLFIRI群(8ヶ月)(p=0.0479)と比較して無増悪生存期間を統計的に有意に延長させることが明らかになりました。ただし、これは点推定値であり、より重要な結果として転移性結腸直腸癌の増大・転移のリスクを15%低下させることが示されました。この試験では、副次的評価項目である奏効率(50%以上の腫瘍縮小)も有意な差が認められました(アービタックス(R)+FOLFIRI群47%、FOLFIRI単独群39%、p=0.0038)。さらに、サブグループ解析において、肝転移のみの患者が最も無増悪生存期間が長く(アービタックス(R)群11.4ヶ月、対照群9.2ヶ月)、転移性結腸直腸癌の増大・転移のリスクが36%低下していました。肝転移のみのサブグループにおける転移の完全切除例数は、アービタックス(R)+FOLFIRI群が対照群の2倍以上でした(9.8%対4.5%)。全集団における完全切除例数はアービタックス(R)+FOLFIRI群で3倍になっていました(p=0.0034)。

 「これらの結果は我々が転移性結腸直腸癌のファーストライン治療の新しい選択肢を手にしたことを示しています。また、アービタックス(R)+FOLFIRI併用療法により、完全切除を受けられるようになった患者に治癒をもたらす可能性を強く示唆している点で注目に値します。」と、この試験の筆頭著者であるEric Van Cutsem, MD, PhD(ベルギー ルーベン; University Hospital Gasthuisberg教授)は述べています。

 以上の結果は他のOPUS(*b)試験の結果によっても裏付けられました。この試験では、アービタックス(R)+FOLFOX(オキサリプラチン・ベースの治療法)群をFOLFOX単独療法群と比較して奏効率(50%以上の腫瘍縮小)を評価しました。奏効率はアービタックス(R)併用群では46%、FOLFOX単独療法群では36%でした。アービタックス(R)と化学療法の併用療法の安全性プロファイルは良好で、現在の安全性情報にも合致していました。

 これらのファーストラインにおける試験は、現在の標準化学療法にアービタックス(R)を追加した場合に奏効率および切除率が有意に上昇し、その結果としてmCRC患者の治癒の可能性を有意に上昇させることを示しています。

 ファーストライン治療に加えて、前治療のある患者に対するアービタックス(R)の投与についてもASCOで新しい試験結果が発表されました。オキサリプラチン・ベースの化学療法が無効であったmCRC患者においてアービタックス(R)+イリノテカン・ベースの治療法をイリノテカン・ベースの治療法単独と比較したEPIC(*c)試験の新しい解析結果から、アービタックス(R)群でのQOLの有意な改善が明らかになり、無増悪生存期間の延長と奏効率の上昇も確認されました。標準化されたQOL評価ツールを用いた結果、アービタックス(R)群においては疼痛(p<0.0001)、悪心(p<0.0001)、および全般的健康状態(p=0.047)を含む15項目中10項目で統計的に有意な改善が認められました。

 「EPIC試験の最初のデータから、この患者集団にアービタックス(R)を投与した場合に、無増悪生存期間が有意に延長すること、ならびに腫瘍が有意に縮小することが実証されました。この度の新しい結果から自覚的指標と他覚的指標に基づくアービタックス(R)の優れた臨床有用性が確認できたことは非常に心強いことです。mCRC患者にとっては、分子標的療法の利点を享受する間ずっと具合が良いと感じていることが、明らかに非常に重要なのです。」と、治験責任医師であるイタリア ジェノバのHospedale San MartinoのAlberto Sobrero教授は述べています。

 南米でのLABEL(*d)試験では、多数の治療歴のある患者集団(そのうち24%は3種類以上のmCRC治療を受けた患者)におけるアービタックス(R)の治療効果が実証されています。この単群での試験において、アービタックス(R)+イリノテカンは奏効率27%、無増悪生存期間中央値4ヶ月以上、生存期間中央値9.7ヶ月を達成し、これまでの試験におけるアービタックス(R)の一貫した効果が裏付けられました。

 Merck KGaA(ドイツ ダルムシュタット)のMerck Seronoオンコロジー担当上級副社長Dr Wolfgang Weinは「我々はASCOで発表したこれらの試験結果に大変満足しています。我々はオンコロジー領域において重要な節目に到達したと信じています。アービタックス(R)はmCRCのあらゆる治療ライン(ファーストライン~サードラインあるいはそれ以降)で、常に重要な有効性を付加します。我々が確認した切除率の上昇は、これらの患者に治癒をもたらす可能性を示唆しています。」と述べています。

 これらの有効性試験に加えて、infusion-related reactionおよび投与法に関する試験が実施されました。ASCOで発表されたMABEL(*e)試験の新しい結果は、mCRC患者に対する前投薬の方法がアービタックス(R)+イリノテカン療法に伴うinfusion-related reaction(IRR)の発現に影響する可能性があることを示唆しています。データは抗ヒスタミン薬にコルチコステロイドを追加するとIRRが減少することを示していますが、重要なことには抗腫瘍効果に影響を与えずにこれを達成しています。

 最後に、アービタックス(R)で患者を治療した場合の皮膚反応の発現率と治療効果の間に相関があることを裏付けるエビデンスがあります。EVEREST(*f)試験では、標準用量のアービタックス(R)(250mg/m2)で3週間治療した場合に、皮膚反応が皆無または軽度であったmCRC患者に対するアービタックス(R)の用量増加の影響について検討しました。この試験の結果、アービタックス(R)を500mg/m2/weekまで漸増すると、標準用量で抗腫瘍効果を示さなかった患者において腫瘍縮小をもたらす可能性があることが明らかになりました。

(*a)CRYSTAL:Cetuximab combined with iRinotecan in first line therapY for metaSTatic colorectAL cancer
(*b)OPUS:OxaliPlatin and cetUximab in firSt-line treatment of mCRC
(*c)EPIC:European Prospective Investigation of Cancer
(*d)LABEL:Latin American ErBitux prE-License study
(*e)MABEL:Monoclonal Antibody ErBitux in a European Pre-License Study
(*f)EVEREST:Evaluation of Various ErBitux REgimens by means of Skin and Tumour biopsies


[注釈]

アービタックス(R)に関して
 アービタックス(R)は、世界で初めての上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を標的とする非常に活性の高いIgG1モノクローナル抗体です。アービタックス(R)はモノクローナル抗体であるため、従来の非選択的化学療法とは作用機序がまったく異なり、EGFRを標的として特異的に結合します。この結合により受容体の活性化とその下流のシグナル伝達経路が阻害され、結果的に正常組織への癌細胞の浸潤と腫瘍の新たな遠隔転移が減少します。さらに、腫瘍細胞が化学療法や放射線療法によって受けたダメージを修復する能力を阻害し、腫瘍内の新生血管の形成を阻害し、これが全体的な腫瘍成長の抑制につながると言われています。

 最もよく見られるアービタックス(R)による副作用は、にきび様皮疹で、奏効率と相関すると言われています。患者の約5%においてアービタックス(R)に対する過敏性反応が起き、このうちの約半分は重度の反応です。

 アービタックス(R)はすでに66ヵ国において販売許可を受けています。現在、アービタックス(R)をEGFR発現転移性結腸直腸癌患者に使用することが承認されているのは65ヵ国です。アルゼンチン、オーストラリア、ベラルーシ、カナダ、チリ、中国、コロンビア、コスタリカ、クロアチア、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、欧州連合、グアテマラ、香港、アイスランド、インド、イスラエル、カザフスタン、レバノン、マレーシア、メキシコ、モンテネグロ、ニュージーランド、ニカラグア、ノルウェー、パナマ、ペルー、フィリピン、ロシア、セルビア、シンガポール、韓国、スイス、台湾、タイ、ウクライナ、米国、そしてベネズエラでは、イリノテカン療法で効果が見られなかった場合に、イリノテカンと併用して結腸直腸癌の治療に使用することが承認されています。単独療法としてのアービタックス(R)の使用が承認されている国は、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、香港、レバノン、メキシコ、ニュージーランド、ニカラグア、パナマ、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、タイ、米国、ベネズエラです。

 さらに、放射線療法と併用して局所進行性頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)の治療にアービタックス(R)を使用することが承認されている国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベラルーシ、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、エルサルバドル、欧州連合、グアテマラ、香港、アイスランド、インド、イスラエル、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、モンテネグロ、ニカラグア、ノルウェー、フィリピン、ロシア、セルビア、シンガポール、スイス、台湾、ウクライナ、米国、ベネズエラ等55ヵ国です。アルゼンチン、チリ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、香港、イスラエル、メキシコ、ニカラグア、フィリピン、ロシアそして米国においては、他の化学療法が無効の再発性および/または転移性SCCHNの患者に対するアービタックス(R)の単独療法がすでに承認を受けています。


 メルク株式会社はドイツのダルムシュタットに本社を置く、世界的な総合医化学メーカーMerck KGaAの日本法人であり、1968年に設立、液晶や顔料などの化学品や試薬・分析薬、医薬品などを手がけています。
 また、Merck KGaAは1668年に設立され、現在世界62カ国で事業展開を行っており、グループ従業員総数は約35,000人。2006年売上高は約63億ユーロ。

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