ユニチカ、車両電照カバー用ガラス繊維織物「ティンクル」を開発
車両電照カバー用ガラス繊維織物「ティンクル(R)」の開発について
当社は、煙の発生がなくガラスクロスのほつれを防止する特殊な樹脂の開発に成功し、この特殊樹脂を用いることで炎を当てても煙の発生がなく、有毒ガスの発生しないガラス繊維織物「ティンクル(R)」の開発に成功いたしました。
平成15年2月に韓国・テグ市地下鉄において、放火により地下鉄車両の内装材が燃え大量の煙が発生したことから多数の死傷者を出す鉄道事故が発生しました。この事故を受けて、国土交通省は鉄道車両に対する火災対策制度の改正を平成16年12月に行いました。従来の車両の天井材には、煙の発生しやすいFRP(ガラス繊維強化プラスチック)が使用され、電照カバーはアクリル・ポリカーボネート類の成型物が使われており、省令改正後は耐燃焼性、及び耐溶融滴下性が強く求められるようになりました。
「ティンクル(R)」は、鉄道車両用材料試験で不燃性・耐溶融滴下性の適合基準に合格しており、さらにコーンカロリーメーター燃焼発熱性試験による耐燃焼性の適合基準にも合格したことを受け、車両向け照明カバー(グローブ)向けに販売を開始いたします。
I.開発の経緯
地下鉄道の火災対策基準の改正により従来の防火基準を見直し、大火源火災において車両での延焼拡大を防止するため、防火能力の低い材料及び溶融滴下する材料は車両天井部への使用を制限する等の措置が講じられるようになりました。
そこで当社では、不燃材料であるガラスクロスでの開発を進めてまいりました。ガラスクロスは炎を当てても煙・溶融滴下は発生しませんが、織物であるため繊維がほつれやすく成型保持性がありません。この問題を解消するため、従来はアクリル等の樹脂をコーティングすることによって対応していました。しかし、従来樹脂による処理では、溶融滴下は起きないものの煙が発生してしまうため、煙を出さない樹脂の開発が不可欠となっていました。新開発の樹脂は、煙や有毒ガスの発生が無くガラスクロスのほつれを止める機能を有しており、この特殊樹脂をガラスクロスにコーティングすることにより、高い防火性能を持ったガラス繊維織物「ティンクル(R)」が完成いたしました。
II.ティンクルの特性
1.炎が直接当たっても、煙の発生がありません。
2.燃焼ガスに有毒ガス(一酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物、塩化水素)が発生しません。
3.ホルムアルデヒドの発生がありません。(F☆☆☆☆レベル)
4.静電気を帯びにくく、埃などの汚れが付着しにくい。(静電気の発生はアクリル板の20分の1以下、ポリカーボネート板の15分の1以下)
5.織物組織の工夫により高い光透過率(50%程度)を実現しながらも、蛍光灯が透けて見えることがなく、柔らかな光を表現することが出来きる。
6.軽量(212g/m2)で車両の軽量化にも貢献できる。
III.ティンクルの用途
鉄道車両他、自動車、船舶、飛行機の照明カバー
不燃壁紙、建築用照明カバー等
ご参考
コーンカロリーメーター燃焼発熱性試験:コーンカロリーメーター(発熱性試験装置)は「酸素消費法」と呼ばれる原理を用いて発熱速度や発熱量を求めることができます。
