日立マクセル、デジタル音楽の高音質化技術を用いた音響機器製品シリーズ「VRAISON(ヴレソン)」を発表
人間工学に基づく「本物の音」を実現
マクセルが新製品シリーズ「VRAISON(ヴレソン)」を発表
~九州工業大学との産学一体によるデジタル音楽の高音質技術を開発~
日立マクセル株式会社(執行役社長:角田 義人)は、国立大学法人 九州工業大学 佐藤 寧 教授と協力し産学一体の共同研究を進めておりましたが、このたびデジタル音楽の高音質化を実現する技術開発を完了しました。また、マクセルはこの高音質、高機能の技術を備えたヘッドホンなど音響機器製品のための新製品シリーズ「VRAISON(ヴレソン)」を立ち上げて、今後、音の専門メーカーとして製品を順次市場に投入します。「VRAISON」シリーズの第一弾となる製品(PC用高音質化システムヘッドホン)は本年11月に発売予定です。
1982年の音楽CDの登場から昨今のMP3、WMAを代表とするデジタル圧縮方式により、音楽は様々な手段で楽しめるようになった反面、自然音に含まれる高域音がカットされて「本物の音」を聴く機会が著しく少なくなっております。マクセルは現在の圧縮音楽インフラを生かしながら、高音質化技術を導入した「VRAISON」シリーズ製品により、「本物の音」をユーザーに提供していきます。
【 新開発の高音質技術「Bit-Revolution(ビット・レボリューション)テクノロジー」 】
今回発表のデジタル音楽の高音質技術は、2005年からのマクセルと九州工業大学 ヒューマンライフIT開発センター佐藤 寧 教授の共同開発により、人間工学に基づく音響理論を具現化したものです。
CDのフォーマットでは記録される周波数とダイナミックレンジの上限は22kHz/96dBまで、さらにMP3などの圧縮フォーマットでは16kHz/96dBまで制限されてしまいます。しかし、自然界や楽器の音には記録フォーマットにより制限を受けカットされてしまった高音部分や微小音が含まれており、その成分は響き・臨場感・雰囲気などを演出する大切な要素と言われています。
本技術は、圧縮などで制限されたデジタル音楽をSACD*1に迫る音質に向上させるもので、高域周波数の補間・スムージング処理などを行うことによって、周波数とダイナミックレンジを44kHz/120dBまで拡大・原音の信号波形に近い音をシミュレートし、響き・臨場感・雰囲気などが加わった「より自然な心地良い音」を実現します。また、ユーザー個人の可聴範囲に合わせた聴覚感度補正など独自技術により、一人一人のユーザーに優しい音質で再生します。
*1 SACD:Super Audio CD。DSD(Direct Stream Digital)という方式を採用し、120dBのダイナミックレンジと100kHz以上の周波数特性を実現している。
【 本技術の特長 】
●高域補間
CDやMP3等の圧縮やサンプリングにより失われた高音域を倍音成分*2を利用し補完することにより、SACDに迫る高域周波数(44kHz)の音楽再生が可能となります。また、高音域の補間には、原音の周波数解析から傾向補正することにより、より自然な高域再生としています。
*2 基本となる音の倍の周波数成分。すべての楽器や声の周波数成分に含まれている
(※ 参考画像あり。)
●聴覚感度補正
ユーザーの聴覚感度を測定・分析し、それぞれのユーザーに合った高域感度補正をおこなうことにより、聴覚感度の低下したユーザーにも原音に近い聴感を得られるようにしています。
●スムージング
CDやMP3等の16ビット信号を24ビット信号に拡張変換することにより、デジタル信号の分解能を向上させ、より自然な音楽再生としています。
【 新製品シリーズ「VRAISON」 】
「VRAISON(ヴレソン)」はフランス語のVRAI(本物の)+SON(音)を合わせた造語で、「本物の音」をユーザーに提供することをコンセプトとしています。今後、マクセルは高音質、高機能を備えたデバイスを「VRAISON」シリーズとして商品化を行い、「本物の音」を体感できる製品を開発していきます。