サイバネットシステム、アジレントのオシロスコープ上で米社製「マットラブ」を動作させるソフトを発表
マスワークス社のソフトウェア「MATLAB」を
アジレントのオシロスコープ上で動作させるソフトウェアを発表
MATLABの豊富な解析・演算機能をオシロスコープ単体で実現
サイバネットシステム株式会社(東証第一部、本社:東京、資本金:9億9500万円、代表取締役社長:田中邦明、以下“サイバネット”)とアジレント・テクノロジー株式会社(本社:東京都八王子市高倉町9番1号、代表取締役社長:海老原 稔、以下“アジレント”)は、アジレントのオシロスコープ上で、サイバネットが販売する米国The MathWorks,Inc.(本社:マサチューセッツ州ナティック、CEO:ジャック・リトル、以下“マスワークス社”)の数値計算、データ解析、シミュレーション・ソフトウェアMATLAB(マットラブ)を動作させるためのソフトウェア「Agilent N5430A Infiniium UDF(User-Defined Function)」を発表します。
「Agilent N5430A Infiniium UDF(User-Defined Function)」は、アジレントのオシロスコープ「Agilent Infiniium 80000シリーズ」および「Agilent Infiniium 8000シリーズ」用のソフトウェアです。マスワークス社の「MATLAB」と、アジレントの「Agilent N5430A Infiniium UDF」をオシロスコープにインストールすることで、ユーザが独自に定義した解析および演算機能をオシロスコープ上で使用することができるようになります。
◆市場状況
パソコンやPCサーバの内部で使用されているメモリ・バスや、画像処理をともなうディジタルTVやDVDレコーダに搭載されている高速インタフェースなど、大量なデータ転送を必要とする機器に搭載されているシリアル・バスの伝送速度の高速化が飛躍的に進行しています。そのため、従来のシリアル・バス通信では問題にならなかった伝送信号の減衰だけでなく、伝送ラインを流れるデータが時間方向で揺らぐことによって発生するジッタ量が増加し、データ・エラーを引き起こします。そのため、ディジタル機器開発においては、こうしたパラメータを正確に評価したいというニーズが急速に高まっています。
例えば、伝送信号の減衰をイコライジングという手法を用いて補正する方法が一部採用され始めていますが、こうしたイコライジングで使用される関数は、従来のオシロスコープが搭載している機能では対応することが困難であったため、一般には測定データを外部PCに取り込んだ後に、シミュレーション・ソフトウェアを使用して補正後の波形解析やジッタ量の測定などを行なっています。
しかしながら、こうした手法では、測定波形データをパラメータの変更ごとにPCに取り込む必要があるため、デバッグ効率が非常に悪くなります。そのため、実際の測定波形とイコライジングした波形を、リアルタイムで比較しながら観測すると同時に、そこで発生しているジッタ量などのパラメータも併せて解析したいという要求が非常に高まっていました。
◆「MATLAB」の主な特長
MATLABは、行列・ベクトル演算、グラフ化や3次元表示などの豊富な関数ライブラリを搭載した高性能なテクニカルコンピューティング環境です。
データ解析、可視化、アルゴリズム開発、アプリケーション開発のためのコアとなる数値演算機能と高度なグラフィカルツールを提供します。MATLAB環境が提供する600以上の豊富な関数群およびToolboxと呼ばれる拡張ライブラリを追加することにより、制御系設計、信号処理、画像処理、通信、実験計測などの様々な分野に特化した問題を解決することが可能となります。
MATLABプロダクトファミリは、80種類以上のオプション製品群により構成されており、全世界で100万人以上のエンジニアや研究者に利用されています。
◆「Agilent N5430A Infiniium UDF」の主な特長
*ユーザが定義した機能を最大20個まで登録可能:
MATLABに用意されている豊富な解析ライブラリを使用することで、オシロスコープに搭載されていない解析および演算機能を最大20種類まで追加することが可能です。そのため、これまでオシロスコープ単体では実現できなかった波形解析や複雑な演算、フィルタリングなどを行なうことも可能になります。
*解析結果をリアルタイムで表示:
オシロスコープで取り込んだ実波形は、バックグランドで動作しているMATLABで高速処理されるため、演算結果をリアルタイムでオシロスコープの画面上に表示することが可能になります。これにより、システムのデバック時間を大幅に短縮することができます。
*Infiniiumの解析機能と併用が可能:
オシロスコープの画面上に表示されている波形解析結果に対して、Infiniiumが従来から搭載しているジッタ解析機能(EZJIT)や高速フーリエ変換(FFT)などを用いて、さらに複雑な解析を行なうことができます。例えば、ユーザ独自のイコライゼーションを測定波形に印加し、その結果得られた波形に対してジッタの解析をすることができます。従来、こうしたシミュレーションは外部PCを使用して行なう必要がありましたが、Agilent N5430A Infiniium UDFとMATLABが提供する豊富な解析ライブラリを組み合わせて使用することによりオシロスコープ単体で行なうことが可能になります。
◆販売方針
*目標市場:高速シリアル・バスや高速メモリ搭載するすべてのディジタル機器の開発部門、国や民間の研究開発機関および教育機関など
*販売価格(発表日時点での参考価格です):
Agilent N5430A Infiniium UDF 約24万円
※このほかに、「MATLAB」と、「Agilent Infiniium 80000シリーズ」または「Agilent Infiniium 8000シリーズ」が必要となります。
*販売・出荷開始日:2006年9月4日
◆お客様からのお問い合わせ先:
サイバネットシステム株式会社
応用システム第1事業部 電話:03-5978-5410
アジレント・テクノロジー株式会社
計測お客様窓口 電話:0120-421-345
◆マスワークス社について
マスワークス社(The MathWorks,Inc.)は、民間・政府・教育分野のエンジニアと研究者向けにテクニカル・コンピューティング・ソフトウェアを開発する世界でも有数の企業です。
MATLABとSimulink(シミュリンク)を中心とする幅広い製品を開発・販売しており、自動車産業、航空宇宙産業、通信産業、金融サービス産業、バイオテクノロジー産業、エレクトロニクス産業、機械工学産業、プロセス産業等の課題を解決し、革新を加速するソフトウェアとサービスを提供しています。マスワークス社は1984年に設立され、現在全世界に1,000人以上の従業員を有しています。本社所在地は米国マサチューセッツ州ナティックです。その他の情報についてはウェブサイトをご参照ください。
URL:http://www.mathworks.com/
◆サイバネットシステム株式会社について
当社は、科学技術計算分野、特にCAE(註)関連の多岐にわたる先端的なソフトウェアソリューションサービスの提供を行っております。電気機器、輸送用機器、機械、精密機器、教育・研究機関など様々な業種および適用分野におけるソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティング等を提供しております。構造解析、音響解析、機構解析、制御系解析、通信システム解析、信号処理、光学設計、照明解析、高周波回路解析など多様かつ世界的レベルのCAEソフトウェアを取扱い、様々な顧客ニーズに対応しております。
サイバネットシステム株式会社に関する詳しい情報については、下記サイトをご覧ください。
http://www.cybernet.co.jp/
註 CAE:Computer Aided Engineeringの略。コンピュータによる工学的数値解析・シミュレーション
◆アジレント・テクノロジーについて
アジレント・テクノロジー(NYSE:A)は、コミュニケーション、エレクトロニクス、ライフサイエンス、化学分析市場における世界のプレミア・メジャメント・カンパニーであり、またテクノロジー・リーダーでもあります。20000名の従業員を擁し、110カ国以上でビジネスを展開しています。アジレントは、2005年度、51億ドルの売上高を達成しました。アジレント・テクノロジーの情報は、以下のウェブサイトでご覧ください。
http://www.agilent.co.jp