新日本石油、OCT設備とイソオクテン製造装置の本格稼動を開始
CRI※1によるプロピレンの増産体制について
~エチレンセンターからプロピレンセンターへの転換~
当社(社長:西尾進路)は、当社グループの石油化学製品製造会社である新日本石油化学株式会社(社長:高橋良昭、川崎市)川崎事業所(所長:土師省司、川崎市)において、9月1日よりOCT※2プロピレン設備(以下「OCT設備」)およびイソオクテン※3製造装置の本格的な稼動を開始いたしましたのでお知らせいたします。
OCT設備は年間14万トンの生産能力を有し、その原料には、同事業所で生産されるエチレン、ブテン留分のほか、新日本石油精製株式会社(社長:小沢 稔、港区)の室蘭製油所、根岸製油所内のFCC装置※4から発生するFCCブテンを活用します。従来FCCブテンはLPGや自家燃料等に使用しておりますが、これを、より高い収益性の見込めるプロピレンの原料として使用します。プロピレンへの使用例は世界的にも少なく、石油精製/石油化学間における有効留分の画期的な活用と言えます。またOCT設備の稼動により、同事業所のプロピレンの年間生産能力は現有の生産能力38万トンと併せて計52万トンとなり、これまで同事業所の主製品であったエチレンの年間生産能力(45万トン)を上回ることで、同事業所は名実共にエチレンセンターからプロピレンセンターに転換いたします。
なお、当社グループは2007年度中に80万トンのプロピレン生産体制を構築すると共に、アジアのプロピレンメーカーでは初めて大型船(5千トン級)での出荷を可能にし、今後需要の増大が見込める中国、台湾などのアジア向けに年間で30万トンの輸出体制を構築いたします。更には、2010年に向けて100万トンのプロピレン生産体制を目標に掲げ、グループ一体となってプロピレンの増強計画を取り進めて参ります。
一方、イソオクテン製造装置(年間生産能力:4万トン)では石油化学における未活用留分の高付加価値化を目的に、OCT設備で副生されるイソブテンから、新規触媒の開発に基づく自社技術により、オクタン価の高いガソリン基材であるイソオクテンを製造いたします。
当社グループはCRIの推進により、石油精製/石油化学の高付加価値化を目指して参ります。
以上
※1 Chemical Refinery Integration:石油精製と石油化学の統合による、原油から石油化学製品までの一貫生産体制
※2 Olefin Conversion Technology:エチレン、ブテン系のオレフィン(不飽和炭化水素)を反応させてプロピレンを製造する技術
※3 C4留分の一つであるイソブテン同士を、触媒を用いて反応させたもの
※4 流動接触分解装置:触媒を用いて減圧軽油を効率的に分解し、ガソリンや中間留分を製造する装置
【 別添資料 】
1.OCTプロピレン設備、イソオクテン製造装置
2.新日本石油精製株式会社の概要
3.新日本石油化学株式会社の概要