沖電気、スピーカアンプを内蔵したMP3デコーダLSIのサンプル出荷を開始
沖電気、世界最小パッケージのMP3デコーダLSIのサンプル出荷を開始
~スピーカアンプを内蔵し、手軽にMP3機能の組み込みが可能~
沖電気工業株式会社(社長 篠塚勝正)は、このたび、手軽にMP3再生を可能にするLSI 「ML2011」のサンプル出荷を開始いたしました。本LSIは、世界最小パッケージ 3.6mm×4.2mm のW-CSP(注1)パッケージでMP3デコーダとスピーカアンプを1チップ化した商品です。評価ボードや組み込みソフトウエアサンプルも合わせて提供いたしますので、手軽にMP3に対応したシステムを実現することができます。12月より本LSIの量産出荷を開始します。
【開発の背景】
昨今、デジタルオーディオプレーヤや音楽再生機能付き携帯電話の普及により、今まで以上に音楽が身近で手軽に楽しめる環境が広がってきています。今後、記憶媒体であるFlashメモリの大容量化、低価格化の後押しもあり、MP3方式をはじめとするデジタルオーディオ機能を搭載するシステムの一層の拡大が期待されます。実際に、ローエンドGSM携帯電話における着信音、電子辞書などに搭載される語学学習の音声再生などに、その用途が拡大する傾向があります。
一方MP3による音楽再生機能を追加するためには、DSP(Digital Signal Processor)や高速CPU(Central Processing Unit)を搭載する必要があり、大幅なシステム変更が必要でした。
そこで当社では、既存のシステムにLSIを追加するだけでMP3による音楽再生機能を追加できるよう、MP3デコーダとスピーカアンプを1チップ化し、低コスト・低消費電力・世界最小パッケージのLSIを開発しました。
本LSIは、当社が先行して取り組んできたSystem C(注2)・動作合成技術の応用によりMP3デコーダの小型化に成功したことで実現したLSIです。
【ML2011の特長】
全てのMP3フォーマットに対応:
本LSIは全てのMP3方式 (MPEG 1 Audio Layer III, MPEG 2 Audio Layer III, MPEG2.5)に対応しています。ビットレートは8kbps ~ 384kbps、サンプリング周波数は8kHz ~ 48kHzまで、幅広い選択ができるため高圧縮な音声から高音質な音楽まで用途に合わせたサウンドを再生することができます。また、従来ソフトで実現していたMP3デコーダをハード化しましたので、従来比 50%の消費電力で動作するMP3デコーダです。
スピーカアンプ内蔵:
5V動作が可能で650mWを出力できる、8Ω駆動スピーカアンプを内蔵しました。
2種類のパッケージに対応:
MP3デコーダに対応したLSIとしては世界最小パッケージである3.6mm×4.2mm W-CSPと、実装しやすい5 mm×6 mmQFNパッケージの双方に対応しました。
評価ボードと組み込み用サンプルソフトウエア:
手軽に本LSIの開発・評価を行えるよう、評価ボードと組み込み用サンプルソフトウエアの提供も開始いたしました。
評価ボード"ML2011 reference board"は、本LSIと音を出力するために必要な基本部品を搭載したボード(下の写真を参照)です。この評価ボードをお客様の既存システムに接続するだけで、容易にソフトウエアの開発・評価を行うことができます。
サンプルソフトウエア"SoundLib"(C言語)は、本LSIに対応した組み込み用ソフトウエアサンプルです。本ソフトウエアをご使用頂くことで、組み込みソフトウエアの開発期間を削減することができます。
【既存品との比較】
音源LSIとの比較:
音源LSIは、予め内蔵された楽器の音を、SMF(Standard MIDI File)に代表される楽譜ファイルによる組み合わせで再生します。そのため、音源LSIは予め内蔵していない人の声などを再生することができませんでした。本LSIはMP3に対応しているため、人の声やボーカル入りの音楽など、様々な音を再生することができます。
また、当社の音源LSI (ML2871, ML2873, ML2863, ML2865, ML2874)と端子互換であり、ハードウェアの新規設計をしなくても音源からMP3への変更を短時間で行うことができます。
音声LSIとの比較:
OkiADPCM (注3)に対応した音声LSIと比べて、
・ 効果音の音質改善
・ 約50%のデータ圧縮
が可能です。
【今後の展開】
沖電気では今後もサウンドLSIの製品ラインアップを増やし、様々なアプリケーションで豊かな音を再生できるLSIを開発、販売していきます。なお、サウンドLSIの技術および商品に関しましては、弊社のサウンドLSIのサイトをご覧ください。
( http://www.okisemi.com/jp/semicon/speech_audio/246/index.html )
【商品概要】
・ MP3デコーダ搭載: MPEG1/2/2.5 Audio Layer III Mono, Stereoモード
・ 14bitステレオDAC搭載
・ 3.6V 8Ωスピーカ駆動時に 650mW出力可能なスピーカアンプを搭載
・ 音源LSI「ML2871」ファミリと端子互換
・ FIFOバッファメモリ内蔵
・ 3 or 4線式シリアルインターフェースと8ビットパラレルインターフェース
【販売計画】
・ 商品名 ML2011
・ サンプル価格 450円(税別)
・ サンプル出荷時期 出荷可能
・ 評価ボード出荷時期 出荷可能
・ 量産出荷時期 2006年12月
【仕様】
・ 動作周波数: 2.7MHz~34MHz
・ 駆動電圧: 2.7V~3.6V
・ パッケージ: 32pin QFN(5mm×6mm)、35pin W-CSP(4.2mm×3.6mm)
【用語解説】
(注1) W-CSP(Wafer level Chip Size Package):
ウェハ状態で一括してパッケージングを行う技術。チップと全く同じ外形寸法にまでLSIパッケージを小型化できる。
(注2) System C:
ハードウェア記述言語(HDL) の一種。汎用プログラミング言語であるC++をベースにしており、アルゴリズムの記述・デバッグ・ハードウェアへの変換を全てC++の枠内で行なうことができる。
(注3) OkiADPCM:
沖電気独自で開発したADPCM方式の音声圧縮技術。ADPCMはAdaptive Differential Pulse Code Modulationの略で、日本語では適応型差分パルス符号変調という。音が連続的に変化することを利用して、直前に数値化したデジタルデータとの差を記録する音声圧縮技術。
記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
< 本件に関するお客様からのお問い合わせ先 >
シリコンソリューションカンパニー 販売本部 営業企画部第二チーム
電話:03-5445-6027
e-mail: semi-salesjp@oki.com