TDK、UWB通信機器の評価・測定サービスを拡充
日本初、UWB*1評価サービスを開始
TDK株式会社(社長:上釜 健宏)は、UWB通信機器の評価・測定サービスを拡充し、2006年10月より日本でのUWB評価サービスを開始します。新たに評価システムを千葉県市川市のTDKテクニカルセンター内に導入し、日米の両規格に対応したUWB無線機の評価や認証取得サポートを行います。
TDKでは2004年10月より、米国研究開発子会社TDK R&D Corporation(社長:高橋 毅)内のTDK Test Services(TTS)において、非常に微弱な電磁波を用いるUWB通信機器の精密な測定・評価の受託業務を行っております。また、今年8月に総務省より日本におけるUWB利用が認められたことにより、日本におけるUWB評価の需要が高まることが予想されます。このようなUWB実用化に向けた動きに対応するため、日本における評価サービス提供を開始することとしました。
米国FCC*2ではUWB通信に利用される無線機から放射される電波を評価することを求めておりますが、日本のTELEC*3による技術基準適合証明のための「超広帯域無線システム」の特性試験方法においては、受験機器をケーブルで接続した試験を想定しています。TDKでは、このような試験方法や、周波数マスクの違いなどに対応した評価サービスを日米において提供します。評価サービスにおいては評価と試験レポートの発行に加えて、認証を得るための各種手続のサポートも行います。また、評価用広帯域アンテナ、電波暗室、ソフトウェア等からなる評価システムの開発も進めており、UWB機器の開発、登録認証において常に最先端のUWB測定を追求しております。
【 主な特長 】
1.規定 FCC Rule Part15 Subpart F に対応した評価システム
UWB通信機、アンテナ等の開発に際して、周波数帯域3.1~10.6GHzやGPS帯域での信号・ノイズレベル限度値等を定めるFCC Rule Part15 Subpart Fの規定に対応したUWB評価を実現しています。
2.日米のUWB規格や試験方法に対応した評価
日米で異なるUWB評価が求められますが、いずれの評価方法も実現できるようシステムアップしています。無線機の特性試験にとどまらず、アンテナ評価など幅広くUWB無線機器の開発や認証取得に必要な評価サービスを提供します。
3.電波暗室にTDKの高性能電波吸収体を採用
電波暗室にTDKの高性能電波吸収体を採用し、数十GHzまで求められる放射試験を可能にしています。また、アンテナやキーパーツを自社生産することにより、効率的で精密なUWB測定を実現しています。
【 用語解説 】
*1)UWB(Ultra WideBand)
非常に広い周波数帯域の電波を利用することにより、100Mbpsを超える近距離高速通信が実現される次世代の通信方式。ハイビジョン画質で動画データのライブ転送も実現可能とされ、デジタルAV、ワイヤレスUSBを中心に様々なエレクトロニクス機器への応用が想定されています。米国では2002年2月にFCCが3.1~10.6GHzの非常に広い周波数帯域を使い、低出力での通信を行うことを認めています。日本においても、2006年8月に無線設備規則と電波法施行規則の一部を改正する省令によって、UWBの利用が認められました。国際電気通信連合、ヨーロッパ、アジアの各国でも周波数帯域の開放や通信に関する標準・規格制定に向けた取り組みが進められています。
*2)FCC(Federal Communications Commission)
米国の連邦通信委員会。米国と海外、または米国内のテレコミュニケーションについての規制団体。FCC Class(電子機器からの放射電波に関する許容値を規定)などがあります。詳しくは次のURLをご参照ください。 http://www.fcc.gov/
*3)TELEC
財団法人テレコムエンジニアリングセンター。情報通信にかかわる総務大臣の指定機関・登録機関として技術基準適合証明、測定器等の較正等を行っています。UWB無線機を日本において利用するためには、TELECより技術基準適合証明を得ることが必要です。詳しくは次のURLをご参照ください。 http://www.telec.or.jp/